水と空気も金次第?中国大気汚染の憂鬱。 | ビジネス中国語 漢和塾の窓

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漢和塾の代表、小川善久が綴る中国ビジネス関連ブログ

                                         【CCTV(中国中央電視台)新聞より】

            
  地獄の沙汰も金次第と言う言葉がありますが、生命にとって最も大事な水と空気も、お金を出さないと買えない時代になりました。水については、昔は蛇口を捻れば美味しい水が出てきた日本が特別で、国によっては水がビールより高いことはよくある話です。が、空気については、コストがかかるものだと言う認識は低かったのではないでしょうか?


  中国のニュースでは、写真のように大気汚染について、小学校の対策にフォーカスを当てて報道していました。広い中国でも、華北と呼ばれる北京、河北省を中心にしたエリアの大気汚染がひどいわけですが、風通しなど地理的な要因に加えて、河北省に限らず多くの工場が、緩やかとは言いながらも成長を続けなければならない中国経済を支えるために、今日も何かを燃やし、大気中に汚染物質をまき散らしているわけです。


  小学校の映像には、天真爛漫な子供達を心配する親御さん、学校関係者のコメントが寄せられましたが、政府は何台もの空気清浄器を設置することを約束。保障と言う文字が画面にも踊りますが、問題はそこではなく、経済成長と引き換えに半ば黙認された工場の実態です。サミットでもあると、強制的に稼働を禁止できるのであれば、もう少し抜本的な対策がとれそうなものですが、整った施設に通う子供達に対策ができれば、マスクもつけない多くの庶民はスルーですし、外交的にも偏西風の影響があるのは日本だからか、中国にしては珍しく、数値まで公表する割には、注意喚起だけで根本的な対策は遅々として進みません。


  冷静に考えて見ると、お金をかけて空気清浄器を設置したところで、地球は大気に覆われていて、ここからは綺麗な空気です!とか区別することはできません。自分の部屋だけ綺麗なつもりでも、同じ空の下で暮らしているわけです。日本とて、高度成長期の時代には、光化学スモッグ警報が発令され、プール禁止とかになっていたわけですが、産業界では何かと日本の技術を拝借するのですから、是非、環境技術においては戦略的互恵関係を結びたいものですね。空と海に国境はないわけですから。