典型例:中小企業Xでは人手不足が慢性化しており、募集してもなかなか人が来ない。
そんなXの人事担当にある日、求人広告サイトYからこんな勧誘電話が舞い込んできた。
「うちは大手の求人広告サイトと提携してます。そこに載せれば補償はできませんけど高い確率で募集が入ってきてます。3週間だけなら無料です。それを過ぎると広告料が発生します。成果が無ければ、その無料期間内に所定の手続で解約してもらえば1円もかかりません。どうですか?」
Xの人事担当にとっては、まさに3週間で解約すれば全く負担はないし、実際に求人広告効果があれば万々歳なので、勧誘電話に従って、広告掲載を申し込んだ。
さて3週間経ったが、景気のよい勧誘電話に対比して、全くリアクションがない。期限ギリギリまで待ったが反応がないので、解約の連絡をギリギリでしたものの、所定の手続に則していないということで期限オーバーになり、契約に記したとおりの有料の広告料支払を請求された。
背景:いま中小企業はどこも求人難です。そこに狙いをつけての手法といえます。
法的に悩ましい所は、消費者契約法の適用がなく(だから消費生活センターも国民生活センターも一切介入できない)、広告申込時にとりきめた細かい規約に拘束されがちで、法的にはYのやりたい放題になりかねないということです。中小企業庁もまだ全く動いていません。
かつてホームページ制作リースをめぐってのトラブルが頻発していましたが、今は求人難に目をつけたこの手口が広がりつつあるようです。
ただ契約してしまってからでは、日常業務に忙殺され、解約タイミングを失することが非常に散見されます。契約書をしっかり読んでと酸っぱく法律家が言っても、世の中はなかなか改善しません。普段から顧問弁護士を就けてこういう契約のレビューを依頼していれば、トラブルに巻き込まれることを回避できます(正直、顧問料よりもはるかに高い効果のない広告料を請求され、有効な抵抗ができなくなることが多い)。
いろんな手口であぶく銭を稼ごうとする新手の業者がいっぱいいます、ご留意を