業務停止の懲戒処分を受けた弁護士の、受任中の仕事のバックアップ制度が必要では | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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  残念ながら福岡でも毎年のように業務停止の懲戒処分を受ける弁護士が現れるようになりました。
  ところで、業務停止を受けた弁護士が受任中の依頼者(裁判が継続中のものやそうでない場合)のために弁護士会によるバックアップ制度を設けている単位会はあるのでしょうか。
  かつては被懲戒弁護士の同期や大学の先輩後輩が、好意で(無償で)バックアップしたりする慣行がありました。弁護士が少なく弁護士同士の関係が密な時代は、業務停止の発生件数自体も数年に1度あるかないかレベルだったので、それでも何とか回っていました。
 しかし、昨今は被懲戒弁護士のキャリアが若年だったりすると同期に引き受ける余力がなかったり、そもそも同期との縁も薄かったりということも珍しくなかったりします。
 そうすると、弁護士増員したことがあだになって、かえって好意で(無償で)バックアップしてあげる善きサマリア人として手をあげる人が減り(ちょうど弁護士増員により業務に直結しない会務に参加する弁護士が減ってしまった様に似ています)、減った頭数で引き受けるとお人好しの善きサマリア人自体がただ仕事に翻弄されて(しかも仕事としての負荷は依頼者が弁護士に対して信頼感を失った分だけ重くのしかかりかねない)共倒れしかねない気がします。
 たとえ被懲戒弁護士のキャリアが十分であっても、かつてと異なり同期の弁護士が置かれている経済環境にぐっと余裕がなくなっているので、たとえ同期や先輩後輩との縁が濃くても、かつてのように同じ釜の飯を食ったからというノスタルジーに頼って引き受ける人もだいぶ減っているのではないでしょうか。

 私の提案は、
当番弁護士ではないけど、月単位で数人の弁護士をルーティーンで手配するなど、単位会は業務停止を受けた弁護士が受任中の事件を引き受けるバックアップ制度を設ける(その数人の弁護士が稼働する際の費用を単位会で強制的に会費から積み立てておく)などの措置がこれからは大事な気がします。弁護士大増員時代に、一本釣りでお人好し弁護士を探すなど、新たな生贄を作り出すようなもので愚の骨頂です。
 こういうバックアップ制度も伴ってこそ、おためごかしに弁護士会が唱える’’市民の期待に直ちに応える弁護士会’’といえるのではないでしょうか。そして、このようにお金が要るからこそ、見かけばかりの新会館建設に弁護士会費を投じるつづける選択はやはり愚の骨頂に見えてならない私なのです。
 ちなみに、債務整理について非弁提携で業務停止になったケースや、消費者事件の被害者を大量に広告で集めたあげくに弁護士がパンクしたケースでは、対消費者ということで消費者委員会で有志を募るかたちをとっている単位会もあるらしいですが、特定の事件類型に集中していない一般の街弁が業務停止を受けた場合には委員会紹介で引受弁護士を探すシステムはまだどこもないそうです。
 

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