’’free’’は弁護士業務にどこまで導入できそうか | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 5年以上前に出版された、いっときブームになったクリスアンダーソン''free ''を正月休みで読み終えました。今頃読むのも遅すぎますね
 
 無料からお金を生み出すビジネスモデルは4つ考えられます。
①直接的内部相互補助
 無料の提供物の恩恵を受ける消費者が、他の有料物にお金を支払うことによって、直接的に無料化した部分のコストを回収する。
例)携帯電話の本体は0円で入手できるが、キャリアとの一定期間の通信契約を結ぶ必要がある
②三者間市場
 売り手にも買い手にもコストの負担はなく、第三者がフリーの提供物にかかるコストを支払ってくれる。
例)テレビ局と視聴者など、第三者からの広告収入に依存するモデル。
③フリーミアム
 製品の簡易版を無料で提供するが、上級者向けのプレミアムモデルを有料で提供する。一般に、5%の有料ユーザーが残りの無料ユーザーを支えると言われる
例)ネット上のソフトウェア。95%の無料ユーザーにサービスを提供するコストがゼロに近いデジタル時代だからこそ成り立つモデル。
④非貨幣市場
 消費者はサービスを0円で受け取る代わりに、注目や評判といった労働を無償で提供する。その情報の集積する場に貨幣が集まってくる
例)食べログ、アマゾンのブックレビュー

★まだビジネスモデルとなる儲け方が広告収入以外に見つかっていないツール。ネットの社会は始めるコストが安いので、儲かるかどうかを始める前に考える必要がまるでない。
例)Youtube,twitter,instaglam,facebook

 冒頭の大文字のリンク先で紹介されている10のフリーのルールのほかに、ペニーギャップ 、グーグルの最大化戦略 、といったキーワードがあります。

 例えばTV局のビジネス手法は、もともと売上を獲得しやすい、高い視聴率が一般に期待できるゴールデンタイムの放送枠は増やせないので、有り余る情報を惜しむことなく供給していくネットとは、ビジネスモデルの土台がまるで異なっていることが指摘されています。
 youtubeならば明日から突然誰でも露出できますが、TV番組はそういうわけにはいかないことからも、おわかりでしょう。
 ですから、TV局はフリー時代に収益を上げるには、番組で作ったキャラクターグッズの版権料ビジネスなど、ネット社会があっても損なわれない領域を新たに発掘する必要があるのです。

 弁護士業界に当てはめると法律相談料無料は①でしょうし、法テラス利用して費用償還がない場面は②でしょうし、低廉顧問料契約は③で、④はマザーズ上場を果たした弁護士ドットコムといったところでしょうか。
 ②は法律扶助協会からの引き継ぎとしても、①③④はいずれもニューウェイブ系列の法律事務所がこれをはじめたことが特徴といえます。

 そういえば元栄太一郎社長は参院選に自民党から出馬 するそうですね。政治家になった弁護士でいかにもの存在感を示せているのは、橋下徹氏しか今のところいません。
 並々ならぬ突破力を政治の世界で示せなければ弁護士から政治家に転身する意味はほとんどないのではと私は思いますが、それは自社上場という目的を果たした彼の内部世界の問題なのでこれ以上のコメントはやめときましょう。

 話を戻しますが、リアル店舗やリアル労働者を抱える場合、フリー戦略を開始して失敗した事業例 がいっぱいあります。
 失敗理由として、バーゲンハンターにたかられてリピーター構築につながらないとか、リアル店舗での限界費用はネットビジネスの様に無視できるほどまでは下げられないために期待した売上とのかい離が埋めらぬまま赤字ばかりが累積してしまうとか、まあいろいろです。
 
 私が推察するだけでも、音楽業界なら音楽ソフトを無料提供する代わりにライブでのグッズ売り上げやチケット売上で収益を確保するビジネスモデルへの転換が進められている気がします。
 出版業界で似た手法を考えるとしたら、小説家の講演料で収益を確保するビジネスモデルへの転換ができるかといったところでしょうか。
 
 で弁護士業務の中で既存の①~④に加えて、他に先んじるフリー戦略が打ち出せそうかと考えたのですが、、、フリー戦略成功の前提となる継続コストの徹底低廉化をシステマチックに構築したうえで着手しない限り、失敗した事業例と同じ轍を踏む気がしてなりません、私が今思う限りは
 そのくらい弁護士事務所にとって、継続コスト(高額な弁護士会費やこれを潜脱させない弁護士法規制による丸投げ禁止含む)は、無視できない要素に思えたのです。
 
 そんなことを考えながら過ごしている2016年正月、今年もよろしくお願いします
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