gyz(削減派代表格)VSクボリン(増員派代表格) | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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福岡若手弁護士のブログ「ろぼっと軽ジK」は私です。交通事故・企業法務・借金問題などに取り組んでいます。実名のフェイスブックもあるのでコメントはそちらにお寄せ下さい。

 記事を併記して呟き風に論評します、ダラダラした感じですが
削減派 http://toyokeizai.net/articles/-/72085
増員派 http://toyokeizai.net/articles/-/72088
 
 ここ10年の訴訟件数の推移について、金判1467号1頁ではこう紹介されています。
民事訴訟  3%減(最盛期からは46%減)、不動産執行 55%減
債権執行  30%減、動産執行  81%減、破産    68%減
民事再生(通常再生) 78%減

 訴訟件数の減少統計に比し、訴訟以外の業務がどの程度増えているかの統計的実証はなされていないので、増員派はある意味感覚に依拠して自己主張を強弁できます。

 増員派は「まだ知り合いに弁護士がいるという人は少ない。100歳以上の高齢者はいま日本には6万人以上いるが、私の廻りにはいない。一般人にとって知り合いに弁護士がいる確率はもっと少ないことになる」というたとえをしていますが、スマホがこれだけ普及し、全人口でのネット利用率が90%を超える今、弁護士にアクセスするのはもはや困難とはいえない時代に突入したのではないでしょうか。

 削減派は「日弁連の中小企業法律相談センターが、ひまわりほっとダイヤルを開設し、問い合わせをしてきた人を最寄りの弁護士会にふる形の相談窓口を設けたが、相談は全くといっていいほどなかった」と言っていますが、これも統計数値を伴っていないのでほんとのところはわかりません。
 
 増員派は「現に、弁護士がいない町に即独で事務所を構えたら大盛況という事例はいくつもある」と言っていますが、ここ数年は全国レベルでもそういう事例に接したことはないですね、いつの話を出してるんでしょうか。
 

 削減派は「弁護士志望者の多くは弁護士事務所、それもまっとうな事務所に就職し、OJTの機会を得たいのであって、最初から企業を志望しているわけではない。 」と言っていますが、現にインハウスに就職している弁護士を一段下に見下したこの言い振りはマズイのでは。

 増員派は「ジョブスが開発したスマホの例をつかって、消費者は欲しいものを知らない、供給が需要を生むんだ」と言っていますが、スマホは技術革新に裏づけられています、技術革新を伴わない供給は無駄を生みだすにとどまることはすぐ喝破できます。

 削減派は「
経済的に余裕がない若い世代は、弁護士会活動に不熱心。これでは人権どころではない。」と言っていますが、これも福岡の感覚からすると微妙に違います。
 正確には「収益に直結する委員会活動(例:交通事故や労働)には物凄く熱心だけど、収益に直結しない委員会活動(例:刑務所収容者の人権擁護や給費制復活)には不熱心」というところでしょうか。

 増員派は「弁護士を増やすと、競争に敗れた弁護士が窮乏化して悪事を働くというが、懲戒処分を受ける弁護士はおもに競争に敗れた高齢者層だ。そういう弁護士こそ淘汰されなければならない。どんなに窮乏しようが、悪事を働かないのがプロたるゆえんだ」と言っていますが、最近は若手の横領事件も見受けられますし、増員しようが弊害がでるはずはないという理想郷にいまだ住んでいることがよくわかります。

 増員派は「根本原因は2割しか受からない試験にしたことであって、当初の想定とおり7割が受かる試験にすれば希望が持てる。合格者数を増やす方向が見えれば志願者は増える。」と言っていますが、クボリン自身も500人合格時代は2・3万人の受験者がいたと言っていますよね。当時の10倍の合格率を示しているのに受験者数が減っているのは合格率の問題じゃないとすぐわかるはずなんだけどなあ。

 削減派は「人権を蹂躙する問題企業を弁護する問題事務所は昔からあったが、就職難で若手がやむなく問題事務所に就職しているため、問題事務所の戦力が拡大している。問題事務所は弁護士会活動への参加など当然認めない。弁護士人口を増やした結果、増えたのは人権を蹂躙(じゅうりん)する側の弁護士だ」と言っていますが、メディア記事の特性とはいえ、具体的名称があがっていないので感覚的な主張である印象をぬぐいきれません。
 
そもそも社会生活上の傭兵を増やしたんだから絶対善とは限らない者が、自己の利益を擁護する為に傭兵を雇って防御するのも自然之理といわざるをえない
http://hanamizukilaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-34ad.html

 増員派は「弁護士会活動は無給だし、10年選手くらいまでは基本的に下働き。若手が自分のことで精一杯で関心が薄いというのは今に始まったことではなく、昔から そうだ。ただ、私が関与している弁護士会活動で言えば、若い人たちが積極的に参加しているし、後輩も積極的に引き込んでいる。研修会も盛況で、若手が弁護 士会活動に無関心という印象は私の周囲ではあまり実感がない。」と言っていますが、それは無償だろうとクボリン個人を慕う若手もいるからだと思うんだよね(例:1人1票運動)

 削減派の「久保利弁護士らが3000人を主張していることについてはどうお考えでしょうか→
そこまで言うなら自分の事務所で大量に雇えと言いたい。彼らはそれもせず増やせと言っており、極めて無責任。」という箇所には喝采。
 ちなみに増員派のインタビューでは自分で雇うべきという点のやり取りはありません。記者が片方にしか聞かなかったとは想定し難く、増員派が掲載を拒絶したんでしょうか。
 なお増員派の主張は「供給はそれ自身の需要を生み出す」という19世紀のセイの法則に立脚しているようですが、セイの法則が好況で十分に潜在需要がある場合や戦争などで市場供給が過小な場面といった限定的な場面、すなわち供給された量が必ず受容される場面でしか成立しないことは経済学の常識です。
 
 増員派は「予備試験については、医科大学教育(≒LS教育)抜きの医師国家試験なんて考えられない」と相変わらずLS礼賛の様子だが、そうかそうか、クボリンのところでは予備試験合格者は医科大学教育抜きの医師国家試験合格者と同じような見方をしてるのだな。とはいえ、日比谷パークLOの募集要項では予備試験合格者も同列で扱っている様子だけどなhttp://www.hibiyapark.net/recruit2.html
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