名前のみで実質事件に関与していない複数代理人の責任 | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 えらく堅苦しいタイトルですが、訴状や内容証明に弁護士名がズラズラ並べられることが、わが業界では必ずしも珍しくありません(例:消費者事件

 さて、ある法律事務所が所属弁護士十数名全員の名前を通知書に連ねて相手方に送付したところ、受け取った相手方から「弁護士名をズラズラ並べて威嚇された!」などの理由でその十数名の弁護士全員に懲戒申立がなされたことがあったそうです。
 
 その事案では、その法律事務所のその案件について、実質的に事件に関与している者も関与していない者もいました。
 その場合、関与していない弁護士が「自分は名前を出しただけで、当該事件に一切関与していない」と答弁して、懲戒請求を免れることは許容されるのでしょうか。

 一般市民の感覚からすれば、実質的に数十名もの弁護士が関与しているからこそ、皆名前を出しているんだ、そうでなければ無責任だろう、と受け止めるのが自然でしょう。
 自分の名前を使うことを許容しておきながら、無責任な態度ではないか、内容に責任を持つ担当弁護士のみの記名捺印で済ませるべきではないかという意見があります。

 これに対し、上記のような連名は慣行として行われているし、不当要求やDV案件や民暴の場合には弁護士の身に及ぶ危険を分散させるため、あえて複数代理人を顕名することもあるという意見も出ました。

  結局、複数代理人が名前を連ねることは、個別具体的事案を離れて一般論で許否を決定することはしないけれども、今後も複数代理人への懲戒請求はありえるのだから、名前を連ねる弁護士はたとえ担当外であってもある程度その内容を把握し責任を負うべきことを自覚すべきである、そして名前を連ねただけで実質事件に関与していないとの答弁では当然に懲戒請求に対して責任を免れられるわけではないことを広く周知すべきということになりました(2014/3/31日弁連から各単位会に発信)。
 
 私は基本弁護士1人で仕事していますが、実際、弁護士の名前が5人も6人も連なってる書面をみるとうーん(-゛-)と感じるところがあります。
 弁護士の名前がたくさん並んでいても、新聞に載るような大事件でもない限りは実質の担当者は1名又は2名であることがほとんどなので、そういう実態はぜひ一般市民にも知っていてほしいですねピース
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