#729 【マニアな一基】東電PG生実線No.27,28 ~100m超の美化鉄塔~ | 関東土木保安協会

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火力発電所が数多く存在する、千葉県の東京湾沿岸部。
京葉道路の蘇我インター付近では、一帯に大型の鉄塔が立ち並び、送電線の一大ジャンクションの様相です。
そんななか、個人的にはどうしても美化鉄塔があると目を奪われてしまいます。
車窓からも何基もの鉄塔が美化鉄塔で建設されているのが見えますが、そのうち一部はかなりの高塔です。
これは是非とも現地で下から見上げたいと、現地に行ってみました。


蘇我駅からレンタサイクルを借りて15分程、すぐに到着しました。
背の高い2つの鉄塔。
スッキリとした美化鉄塔で、しかもその前後にも数基の兄弟が続いています。
東電PGの生実線という送電線で、東電PG千葉中央線をオーバーパスするために、背がとっても高いようです。

▲蘇我インター付近に広がる送電線のジャンクション

こちらが生実線No.27です。
おゆみせんと呼びます。ダム並の難読線路名です。
生実線自体は154kV2回線で、その下には66kVの4回線があり、上段に蘇我線、下段に塩田線を支持しています。
100m越えの高塔で、電圧に比して高さがあるため、かなりスリムな容姿です。
目立ちますね。

▲生実線No.27(1998/7,102m)

この特徴的な外観を作っているのが、蘇我線と塩田線の間の空間でしょう。
なんだか間延びした姿が愛嬌があるような、シンプルに変な形です。
この場合は、隣接する前後の鉄塔の高さに合わせて支持場所を合わせたと思われ、塩田線が蘇我線直下とはならなかったのでしょう。
ここら辺、様々な送電線を束ねたり、分岐したり、系統を分けたりとしたのかな?とこの一帯の経歴を想像するところです。

▲66kV送電線同士の空間が特徴的な姿に仕立てている

No.27も高かったですが、次のNo.28はもっと高く、105mありました。
これら2基とも、昼間障害標識無しの銀一色の塔体で、一番上に白色のフラッシュライトが設置されています。

▲生実線No.28(1998/7,105m)

きっと、美化鉄塔で建設されている辺り、周辺景観への配慮で昼間障害標識の設置をしない方向で建設されたのかな?と思います。
それにしてもこの高さでは銀一色であったとしても凄い存在感です。
主材の真ん中辺りにアンテナが付いています。

▲とにかく高い

案外鉄塔は古くて、1998年の鉄塔でした。
100m越えの鉄塔は、プレートの高さ部分が賑やかになりますね。
海も遠くはないエリアですが、それほどでもないのか、錆なども目立ちませんでした。

▲誇らしく3桁が並ぶプレート

足元に入れたので入ってみました。
100m越え鉄塔の結界です。
延々とつづく幾何学模様はずっと眺めていられます。
高さに比して電圧が比較的低いので、先が小さく細くなっていくのもいいですね。

▲高塔の結界は見ていてより楽しい

基地局のアンテナがありましたが、ケーブルが主材に併設されていたラックに載せられていました。
延々と続く束も素敵です。

▲基地局併設により、主柱にはケーブルラックが並んでいる

さて、この高塔2基の他にも美化鉄塔が並んでいたので、前後区間も見てみます。
こちらは南方にあるNo.26です。
下段が村田川線で、No.27に続く塩田線を段違いで分岐する鉄塔です。

▲生実線No.26(1998/7,69m)

生実線のこの区間はどれも凄い角度で電線を支持する鉄塔ばかりですが、このNo.26も生実線1番線側の腕金が片方向にせり出ていたりと、なかなか見ていて面白いです。

▲腕金が線路方向の片側にせり出している!

北の住宅地内にあるNo.29では、下段は蘇我線のみとなり、かつ蘇我変電所への分岐があるため段違いとなります。
こちらも少し忙しいですが、ベント点より上でシングルワーレンとなる共通する構造がよく見え、一番これら美化兄弟の鉄塔達の中で見やすい鉄塔かもしれません。

▲生実線No.29(札未確認)

最後のNo.30は、分岐こそしないものの、6回線の方向をそれぞれ急な角度で支持している鉄塔で、これまた忙しく見える迫力ある容姿でした。

▲生実線No.30(1998/7,74m)

下から見た生実線No.30。
どこから見ても重厚感があり格好よいですね。
美化鉄塔特有の上から見ると四角形の腕金も、圧迫感があるようで少なく、なかなかいい相性だとわかります。

▲6回線を束ねる鉄塔で重厚感が凄まじい

蘇我線については一般的な変電所の名前を付与していますが、他の送電線では地名が多いですね。
生実、生浜、塩田、という各送電線の名前の由来は、一帯の地名でした。なかなか読めませんね。


京葉道路の蘇我インター沿いにある、巨大美化鉄塔群。
今日も湾岸から這い出た多数の送電線を束ねています。