#715 【マニアな一基】 東電PG並木線No.1~7 ~イチョウの葉が舞う美化鉄塔群~ | 関東土木保安協会

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関東土木保安協会です。
埼玉県は所沢市、西武池袋線の小手指駅の北東に、美化鉄塔が並んでいるので、行ってきました。
東電PGの並木線といいます。
この鉄塔、イチョウの絵が描かれているんです。

▲並木線No.1(1979/1,28m)

No.1から見ていきましょう。
多数を占める円形の鋼管ではなくボックス鋼を用いた鉄塔になります。
デッキの下側にカラフルなイチョウが描かれています。
ルーツは分かりませんが、並木線の由来となる並木町には航空公園があり、立派なイチョウ並木があるので、そこら辺をイメージされているのでしょうか。

▲正面から見たところ。スクエアな形状だ

前に黎明期の美化鉄塔として大宮線を取り上げました。
だ円形中心の大宮線に対して、こちらは菱形です。
これも柄みたいで素敵ですね。

▲途中のデッキの手摺がお洒落

側面からみると、特徴的な姿がよく分かります。
アルファベットのAのような外観で、中央部の水平材が良いアクセントになっています。
実はこの鉄塔のほか1基以外はモノポールなのですが、このNo.1は耐張型のためか、前後方向の応力にいかにも強そうな主柱を持っています。
この当時の美化鉄塔にあるような、近未来的な雰囲気もありますね。

▲サイドシルエットはA型でこれも珍しい

並木線は東大和線から分岐し、直線的に進んでいきます。
始めは道路の脇の遊歩道部分を進むんですね。

▲少し昭和感ある街中に溶け込む並木線

どことなく昭和50年代にできたような街並みの中、並木線らは道路脇の緑地帯を駆け抜けます。
木々の中に生えている鋼管も、あまり違和感がなく、周囲に溶け込んでいますね。

▲鉄塔達は道路沿いを進む

並木線No.2です。
この鉄塔と次のNo.3はほぼ同じ双子の造りで、お洒落なイチョウカラーは勿論、高さやV吊懸垂碍子も同じです。

▲並木線No.2(1979/1,38m)

美化鉄塔と言えばV吊感があります。
この顔はどこでもみられますが、この子もデッキのお洒落さだけは特徴的なポイントですね。

▲V吊の懸垂鉄塔も同じような意匠だ

少し進むとNo.4が見えてきました。
ここで角度を少し変え、耐張型で集合住宅の間を抜けていきます。
耐張型なのにモノポールなのは、前後方向のかかるテンションがほぼ同じくらいだからでしょうか。

▲並木線No.4(1979/1,31m)

こちらも背の高めのマンションの脇のNo.5です。
この鉄塔なんかは、鋼管柱でないと建てられないような、建てられても視界の邪魔になりそうな場所にあり、美化鉄塔の能力を余すこと無く放っている感がありますね。

▲並木線No.5(1979/1,36m)

No.6です。
こちらもV吊で似たような造りです。
実はNo.4からイチョウのペイントがありません。
コストの関係か、遊歩道部分の鉄塔以外は省略されてしまったようです。

▲並木線No.6(1979/1,36m)

No.6の鉄塔も足元は狭く、今でこそ敷地には狭小根開きのアングル鉄塔が建ちそうですが、美化鉄塔でコンパクトに収めており住宅地にマッチしています。
なおゴミステーションになっていました。
美化鉄塔の足元にゴミステーションというのも、ちらほら見る気がします。

▲No.6基礎部分

最終鉄塔のNo.7に来ました。
この鉄塔もNo.1と同じくボックス鋼の鉄塔でした。
引き下ろし設備の有無は違いますね。

▲並木線No.7(1979/1,28m)

このまま美化鉄塔の並びを見たいところですが、残念ながらここから地中化してしまいます。
ケーブルヘッドの部分で、並木線と別需要家の分岐を行い、地中に潜ります。

▲腕金が伸びてもスタイリッシュ

分岐箇所はジャンパのところで、支持物が鋼管ベースのスッキリしたものなので、ごちゃごちゃしておらず綺麗な見た目です。 

▲鋼管を用いたスマートなケーブルヘッド支持物だ

イラストが描いてある鉄塔はあまり数が多くないので、見つけたら貴重です。
周辺との調和や、無機質感の払拭など様々な目的があるのですが、個人的には見た者にもなにか特別感を与えてくれるように感じます。
次の塗装でもこのまま残ってくれることを願って、さよならとしましょう。