#672 【マニアな一基】東電PG亀田総合病院線No.4 ~房総半島の地域医療を支える鋼管柱~ | 関東土木保安協会

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関東土木保安協会です。
朝もやの中に浮かび上がる大きな建物と、白いモノポール。
千葉県鴨川市。鴨川シーワールドで有名なこの地に、房総半島の地域医療の要となってきた大きな総合病院があります。
亀田総合病院です。
今回は、そんな巨大病院の電力を担う白い鉄塔を見てみます。


亀田総合病院の歴史を辿ると、創業した亀田家は1600年代から鴨川の地で医療を営んできたそうです。
400年も歴史があるとは、凄いですね。
戦後、亀田病院は医療法人となり、1964年には総合病院の承認を受け、拡大を図ってきました。
様々な施設の増築を進めた後の2004年12月に特高受電設備が完成。
現在の施設群を特高受電が担う、巨大病院に成長しています。

▲亀田総合病院至近に立つ美化鉄塔

鉄塔は特高受電設備の竣工時期と同じ建設です。
この時に初めて特高送電線を引き込んだのでしょう。
鉄塔近隣は病院関係者の駐車場で埋め尽くされていますが、立っている敷地的には多少余裕がありそうです。
そんな中での美化鉄塔の採用。
病院周辺での無機質な幾何学模様が広がる視界を少しでも抑えようとした配慮が見受けられます。
それは病院側からの要望なのか、東電側からの配慮なのか、とちらでしょうか。

▲亀田総合病院線No.4(2004/12,39m)

一般的な66kVの2回線を収めるモノポールです。
ブッシング下部の塔体へケーブルを引き入れるRがついた配管が、何とも可愛いような、味気ない単柱に彩りというか、そんなアクセントになっているように思えて、個人的にはこのタイプはそこがお気に入りです。

▲一般的な腕金四段の美化鉄塔だ

鉄塔周辺は変電所もなく、このように駐輪場になっています。
フェンスと植樹で覆われており、アースカラーと緑化によって景観配慮がなされた優しい空間になっています。
変電所はエネルギー棟という施設に収まっているようで、ここから地中で引き込みとなります。
都市部であればこの鉄塔区間ももっと少なくなるのでしょうが、病院周辺から少し離れると田畑が広がる鴨川。
埋設する道路のルートもあまりいいものではなく、途中で鉄道を跨ぐのもあり、持ってこれるところまでは架空で持ってきたのでしょう。

▲周囲には変電所もなくすっきりとしている

鉄塔には両側に梯子がありますが、道路側の方は同色系で塗られており、調和がとられています。

▲反対側の梯子は同色系で収まりが良い

ここでは、鉄塔下部に金属箱で覆われたケーブルトラフが設けてあります。
鉄塔の一番下に開口部を設け、そこからスロープ状に特高線を地下へ潜らせています。

▲塔体下部に直接トラフが接続している

地中へ潜る箇所はコンクリートのトラフに収められています。
送電線埋設を示すプレートもしっかりとつけられていました。

▲金属箱からコンクリートに変わり地中へ

若番方を見るとまた面白い鉄塔があるようで、行ってみたいと思います。

▲若番側にもまだ面白い鉄塔がありそうだ

こちらは同線のNo.3。
腕金に特徴があります。
偏心アームってやつですね。

▲亀田総合病院線No.3(2004/12,40m)

特に道路や用水路すら綺麗にはトレースしてるわけてはなさそうなのですが、線下の都合か若番方(下写真の上側)で塔体よりも左側へ寄せたいようで、偏心アームとなっています。
線下用地の都合で段違いで2回線を支持する鉄塔はよくありますが、ここではそうせずとも済むものの塔体より脇へ寄せたかったのでしょう。
段違いは鉄塔の高さも大きくなるので、この程度であれば2回線は横並びの大きな変化無いて支持物でクリアしてしまうのですね。

▲線下制約のためか、変則配置の腕金だ

亀田総合病院線は、JR線を飛び越して東電PG上総線に繋がっていました。
上総線も千葉の崖が多い険しい地形をクリアするためにこれまた面白い鉄塔がちらほらみられました。

▲亀田総合病院線を分岐する上総線

山の上に一気に2回線を飛ばすこちらの高塔。
上総線No.87でした。
66kVにして鋼管製の四角鉄塔。
地理的条件で強靭な支持物が生まれます。

▲上総線No.87

お気づきの通り、変角度鉄塔で、これまた見た目に違和感があって良いアクセントです。
色も白系なのが好印象です。

▲背高の変角度鉄塔でこちらも面白い

そんなこんなで周辺探索を終えましょう。
海沿いの病院にポツンと立つ鋼管柱。
大きな建屋達に阻まれ、大通りから裏手にある姿を拝むことはできませんが、しっかりと周辺環境に配慮し、病院というデリケートな場所での視覚的圧迫を減らすのに貢献している、亀田総合病院線No.4なのでした。



〈参考〉