#652 【マニアな一基】東電PG上越幹線89号 ~ダブルドナウの3段積み~ | 関東土木保安協会

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江東線ドナウの次に、偶然ながら89号のドナウ鉄塔の記事となりました。
 
群馬変電所の高崎線1号を見に行った後に北へ歩いていると、二段重ねのドナウ型の鉄塔が目に入りました。
下へ向かってみます。
 
 
電圧が上の2回線送電線と、4回線送電線が交差しているんですね。
手前より続く下段の4回線は、プレートより66kV井野線/新前橋線というようです。
こちらの井野線9号は途中で主材が垂直になっていますが、ここで嵩上げしていますね。
そのドナウ鉄塔との間に見える宅地化対策でしょうか。
 
▲奥に下段だけドナウ鉄塔が見える
 
鉄塔は上越幹線89号でした。
上の154kVは上越幹線だったんですね。
6回線を支持しているためか、根開きが広めのどっしりとした構えです。
 
▲上越幹線89号(1983/4,55m)
 
高さが55mとの事ですが、ここでも航空法の規制の話が出てきますね。
仮に井野線と新前橋線を通常の垂直配列で構築しようとすることも可能だったのでしょうが、そうすると恐らくこの高さ制限に引っ掛かってしまうのでしょう。
66kVの4回線側をドナウ型とすることで、通常の鉄塔としてクリアしたのだと思われます。
 
▲どことなく優雅な形状だ
 
根開きも広いため、ドナウ形状にして下相が中相の脇に出てきても、塔体の専有面積的には鉄塔敷地内で収まりそうです。
線下面積を多くとる形になるドナウ型ですが、ここの場合は高塔になる方を避ける道を選んだようです。
 
▲先端は黄色に塗られている
 
それでもドナウ部分はコンパクトに収められています。
根開き広目の塔体で、主材間隔も広いところに、垂直に交わってドナウが形成されていますが、腕金は先端が尖ることない形状で、支持碍子で丁寧に反対側までジャンパを渡らせています。
3線の離隔をしっかりと保ちつつ最小限の広がりで収めています。
 
▲主材間隔が広いため、腕金も横長だ
 
上越幹線側からみてみます。
中相オフセットの配置でした。
優しげに見える、個人的には好きな形です。
優しい表情の高塔がダブルドナウで美しいAラインを描く。
垂直の交差が惜しいところでしょうか。
願わくば同じ角度で重なってほしかったところです。
 
▲中相オフセットがよく分かる
 
折角ですので結界に入ってみました。
縦に3回線あるとあってなかなかな入り組み具合です。
鉄塔は上越幹線側に合わせて建ってあり、井野線と新前橋線は角度がついているのが分かります。
 
 
高さを抑えたい時のドナウ型鉄塔。
横に広がるか。縦に伸びるか。
面白いですね。