#566 【旧道刹那】~踏み潰される現道~ 3.4.35白岡宮代線東北自動車道橋梁 | 関東土木保安協会

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関東土木保安協会です。


高速道路による断絶。
高速道路が通過すると、特に高架でなく盛り土や切り土である場合、道路を越えた反対側へ行くには橋や暗渠を設けなくてはならないため、ハードルが高くなります。
東北自動車道の埼玉県区間もその例に漏れず、東北本線しかなかっただだっ広い平野に高速道路が通過した際に、東西の分断を解消するための道路が新設され、かなりの数が設けられています。
この中で特徴的なのが、その分断解消道路のうちアンダーパスの場合において、東西の側道方向に平行の進入路を設けたパターンがかなり多いという点ではないでしょうか。
下写真がその一例で、南北に貫く側道(写真中央ガードレールの右側)に対して、アンダーパスへの進入路(写真中央ガードレール左側)を側道に対して平行に設けています。
この二方向からの進入路を下るとアンダーパスになります。

▲埼玉県道162号蓮田白岡久喜線 白岡市小久喜付近

上から見ると、アンダーパスの真一文字だけでなく、縦線2本が加わり、Hの字になっている設計です。
他の道路を見ても、この形式はあまり見かけないようで、仮に見かけてもこの一帯ほど多くはないかと思います。

そんななか、ここ白岡市の千駄野では、そのアンダーパスへの道路に見事に巨大構造物によって踏み潰されていたのでした。

こちらでは、写真奥が東北道で、上写真にあるようにガードレール奥がアンダーパスの入口になっていたのですが、なんとも無惨にコンクリートの美しい白い巨体が舗装面に突き刺さっているではないですか。


グサッと突き刺さるスリムなコンクリート。
半分ほどを申し訳なさそうに残したものの、その道路幅では自転車もすれ違えません。
新道で旧道が埋められていったり目立たなくなるのは当たり前のようにありますが、道幅が狭くなって無様な姿(失礼)で残る道路はなんとも新鮮です。


もう歩行者が二人並んだらおしまいです。
一人でもおしまいかもしれません。
昔は車が通れたのですが、今はそんなことをしようものなら車がコンクリートに突き刺さります。


さて、見ての通りなのですが、この白い巨体は橋脚になります。
新道が上をオーバーパスするんですね。
むごい光景に見えますが、安全で便利な交通を得るための道路網の整備による変化だったのです。
この橋脚のほかに橋台の工事も進められるようです。


橋脚付近の舗装はやり替えられており、そこだけ新しいです。
周囲は東北道造成時にできたものとみられ、東北道でも最初期の区間ですので半世紀前くらいのものになるのでしょう。
こっちは東北道の東側なのですが、西側にも行ってみます。


アンダーパスに入りました。入口をみてみます。
場所によって、この中の道幅の広さは同じではなく、車が余裕ですれ違えるものもあります。
ここはすれ違いするのには少し狭く感じる、比較的小さめの方です。


下をくぐり西側へ来ました。
こちらでも同じように立派な橋脚がアンダーパスへの進入路に立ちはだかっています。
先程よりかは橋脚脇のスペースが広いですが、車の通過は不可能でしょう。


入口はガードパイプで塞がれていましたが、やはり「歩行者、自転車専用」化されていました。


さて、地図でも気づいていたのですが、こちらでは東側と比べてだいぶ様子が違います。
既にオーバーパス用の橋台、橋脚が準備されています。
宅地の造成がされた区域なので、予定されていた都市計画道路の土地を確保した上で、予算的、構造的に可能な工事は既に準備してあるようです。


白岡市の看板もありました。
経緯を調べると、白岡駅はこちらの東北道西側にあり、市役所や図書館等の行政施設は先程の東北道東側にあり、東側の発展が遅れていると市議の方も言われるなど、まさに道路が生む分断のデメリットが出てしまっている環境であるようです。
この道路ができれば、西側の市内中心部と東側の行政施設や更なる発展が望まれる地域を結ぶことになり、利便性や交通の安全性が向上するのですね。


こちら、ボーボーと生えた雑草にまみれた立派な橋台です。
このように、橋台や橋脚を準備して計画に備えている例はよくみますが、毎度草が生えまくっており、あるところでは木も生えていたりと、その状況には萌えるものがあります。
特に、工事がなかなかされず数十年そのままになっているものなどは、コンクリートも立派に経年で変色し、計画と実態のミスマッチになかなかグッとくるものがあります。
ここは比較的新しく、まだきれいな方でした。


手摺が途中までできていました。
このようなものも事前に取り付けていると、廃盤になってしまっていて新規工事部分だけ別の製品がついていたりして、萌えますね。
また、そうなった場合部分的に意匠が違うのがおかしいためか、準備されていた部分を撤去して新規に取り付け直す例もあったりしますが、あれは本当に無駄だと思っていて、であればはじめからつけなければいいのに、と思います。


こうやって記録を残しておくと、新道完成後にどう仕上がったかがわかって面白いですね。
完成後にまた来ましょう。

同市の新しい東西連絡の要、文字通りの架け橋になることを期待しましょう。