#428 【マニアな一基】 川中島大豆島線37号/大豆島変電所 | 関東土木保安協会

関東土木保安協会

Kanto Civil Engineering Safety Inspection Association

~ 土木の迫力 機械の技術 礎となった名も無き戦士達の魂 ~
関東土木保安協会は、鉄とコンクリートの美学と保全活動を追求します。

 
皆さんこんにちは。
関東土木保安協会です。
 
久々の信州の話題ですが、長野市は大豆島にあります変電所とそこに建つ鉄塔をご紹介しましょう。
 
こちらは中部電力の大豆島変電所。
これで「まめじま」と呼びます。
こちらも多少難読地名ですね、私は「だいずじま」と読んで笑われてしまいました。

敷地内にはこちらの双子の環境調和型鉄塔がありまして、周囲からもよく目立ちます。
今回の鉄塔はこの子です。


一体には開閉器付きの配電柱が多い事からも変電所の存在を感じさせます。

横から見てみましょう。
環境調和型鉄塔を2本並べ、ラーメン鉄塔のような梁で繋いでいます。珍しい鉄塔です。
通常は1本のみ建てて、その鉄塔から真下へ引き込んで終わることが多いのですが。
なぜこのような構造なのでしょう。近くに行くしかないですね。



引き込んでいるのは川中島大豆島線です。
その名の通り、川中島変電所と大豆島変電所を結んでいる送電線です。
東京電力では、変電所の文字を一字ずつ当てはめた鉄道路線のようだったり、供給先の変電所の名前を線路名につけますが、中部電力では略称とせず変電所名をしっかり載せているので分かりやすいですね。

真下からみます。
 

この鉄塔は川中島大豆島線の37号鉄塔となります。
2本が独立しておらず、2本で1本の鉄塔でした。

前述のルールに則れば、この鉄塔があるここが大豆島変電所なので、この鉄塔を境に線路名が異なる筈です。
実際、そのルールに則って線路名が異なっています。
横から見てみましょう。


右が川中島変電所方で、左が吉田変電所方となります。
川中島大豆島線はここで終了となり、左から立ち上がった線路は大豆島吉田線となります。

私はこれを遠目で見たとき、鉄塔間にはジャンパがあり接続されているものだと思いましたが、違っていました。
そもそも、変電所を挟んで鉄塔の左右で電線路名が違うのでした。
だから送電線も直接繋がっておらず、引留鉄塔となり、鉄塔も2本必要だったのですね。

しっかりと引き下ろしケーブルをカバーするカーブした配管もついています。凝った造りです。


この鉄塔は、様々な鉄塔建設に携わっている株式会社巴コーポレーションが手掛けたものなのですが、同社の公式ホームページにも公開されています。

1992年に建てられた鉄塔です。
きれいにされていますが、もう30年近く経つのですね。
札の「キラナ167」という文字は、暗号でもなんでもなく、中部電力のマッピング上の管理番号です。
北海道の有名なお米ではありませんよ。


この目の前の道路は、県道372号線といい、先を進むと五輪大橋有料道路や国道19号バイパスに続く道路です。
建設当時は、既に冬季オリンピック開催が決まっていたこともあり、道路と並走する他の鉄塔も美観を意識した四角鉄塔であることから、デザイン上の何らかの配慮があったのでしょうか。


白いボディが、夏の緑の山々や冬の白い山々に囲まれても相性がよい、そんな長野の環境調和型鉄塔でした。

 
 
 
〈参考〉
・株式会社巴コーポレーション : : 川中島大豆島線