#307 東北縦貫線観察記 第22閉塞 ~新設信号に灯が入る~ | 関東土木保安協会

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関東甲信越に類を見ない大雪が襲った中、東北縦貫線工事は雪かきをしつつ継続中です。

速報で呟かせて頂きましたが、上野駅に新設された信号機群が稼働し始めました。
2月より運用開始している模様です。




▲バッテン印が取り払われ運用中の高架第二・常磐第四場内信号機


写真は先日お伝えした高架第二・常磐第四場内信号機ですが、白い未使用を示す×印が取り払われ実際に運用されている事が分かります。
上野駅7~9番線に新設されたこれらの信号機は、現在3基とも運用されています。
他にも、こちらにてお伝えした常磐線向けの新設信号機、常磐第二場内と進路表示器が運用を開始しているのが確認できます。



▲ご自慢の4灯式で列車を誘導する3基の信号機


この2月より、上野駅にある新設信号機については全て火が入ったようですが、縦貫線開業後でないと使用しない信号機については、未だ×印が取り払われていません。
5番線の常磐出発信号や、6~9番線の東京方各出発信号機がそれですね。



▲×印の下に赤い目が光る8,9番線第一出発信号機


御徒町付近ではフェンスが取り払われ、工事の様子が見やすくなったほか、秋葉原の電留線付近の軌道の基礎工事も進んでいます。
鉄筋コンクリートの打設はもうすぐ完了しそうといったところです。



▲電留線脇では完成目前のコンクリート打設工事を実施中


秋葉原に着いてみると、架線の工事が目前といった様子です。
架線柱には腕金や滑車が取り付けられ、間もなくご自慢のインテグレート架線が張られることでしょう。
バラストも敷かれている量は増えています。



▲秋葉原より上野方を望む。架線工事が仕上がりつつある


目立ったのは総武線高架下の箇所でしょうか。
新たに腕金類が直付けで設置され、リベット打ちの鋼材の部分はリペイントされています。
この部分は、架線柱を建てずにこのようにして架線を張るようですね。



▲総武線高架下の様子。架線を張れる準備は整いつつある


秋葉原の上から高架部を見てみると、両脇に建っていた架線柱同士を結ぶように鋼管が組まれていました。
輝きが強い箇所が最近新設された鋼管の様ですね。



▲高架部にも架線柱が立派に並ぶ


軌道の工事も山場を迎え、上野駅の信号設備にも灯が入った中、いよいよ架線が繋がるまでは時間の問題でしょうか。
なお、上野駅では縦貫線工事の絡みで、一部列車の着発番線変更も同時に行われています。


春先にかけてそろそろ仕上がりかなと思わせる、そんな縦貫線工事であります。


<2/18追記>
本日秋葉原駅のホーム南方にて、南行線路に信号機が新設されているのが確認できました。
高架に向かっての信号設備の工事進捗もだいぶ進んできましたね。
後程載せてみたいと思います。



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そういえば、JR東日本の新技術の紹介を見ていると、本工事で主だって使用されている新型軌道の解説がありました。
この軌道は「弾性バラスト軌道」というようで、バラスト軌道の吸音効果と安価な建設コスト、スラブ軌道が持つメンテナンス性を兼ね備えた新型軌道の様ですね。
なんでも、軌道狂いはほとんどなく保線はほぼメンテナンスフリーで、防振・吸音効果もバラスト軌道とほぼ同等と言うから驚きです。
都市部で用いられているスラブ軌道もバラストを用いずにメンテナンス面等で有利なのでしょうが、同軌道よりも30%も建設費を低減できているとのことです。

はじめはバラストなしの軌道かと思いましたが、流石にそれはなかったようですね(笑)
完成後の姿を見ると、バラストの下にあんなコンクリートの道床が埋もれているとは想像できません。

とはいえ、フローティングラダー軌道等もある中、このようなバラストもまだまだ吸音材の主役を担っているのだと再認識しますね。
バラストを敷き詰める前の写真は貴重なショットになりそうです。



<参考>

JR東日本:建設プロジェクトを支える新技術 弾性バラスト軌道

鉄道ACT研究会:弾性バラスト軌道工法