#305 【一塔両断】横浜マリンタワー ~若返ってお洒落になったおじいちゃんですわよ~ | 関東土木保安協会

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底なしの探究心、田沢湖の如く。
関東土木保安協会です。



久々のタワーネタです。1年以上更新してませんでした。
横浜マリンタワーに(だいぶ前に)行ったので、その時の様子を。
知っている方も多いかと思いますが、このタワーは一度閉鎖されました。2006年の事です。

2009年、市のランドマークとして長年君臨し続けたことを背景に民間事業者によって復活し、今に至ります。
その際、大規模なてこ入れが図られ、古臭い、大衆臭いと言った垢ぬけない部分を払しょくし、お土産から付属施設に至るまでイメチェンを行いました。
ここいら、ベテラン勢でありながら東京タワーなどの大御所の代表に比べ集客力、立地、存在意義を問われ大規模リニューアルを英断した名古屋テレビ塔と似ている感じがします。
どちらもレトロなタワーが持つ良さを失わないまま、洗練された空気を感じさせます。
私はこういうのは好きですね。



▲古さを見せるもなお美しい外観の横浜マリンタワー


ざっと概要になりますが、1959年着工、1961年竣工の歴史あるタワーになります。
国内タワー界でも築53年は結構なベテランです。

高さは106mあります。竣工時の横浜を見渡すには十分な高さであったでしょう。
現在ではみなとみらいの高層ビル群の傍ら、少し肩身が狭そうです。



▲電波塔機能も残るタワー上部


現在ではほぼほぼ観光タワーとして機能していますが、写真の様にマイクロアンテナも残るなど土木臭さも残ります。
なお、「にっぽんタワーめぐり(イカロス出版)」によると、テレビ神奈川の設備とのことです。


公式サイトによるとタワーは12000tあるとのことで、結構な重量です。
それはそうでしょう、鋼管によるスリムかつ多様なデザインを駆使したタワーではありませんから、当時の技術がしっかりと乗っかった重さという事ですね。


▲美しいトラスはリベット打ちによって固定されている


先端に向かって細くなるトラス構造はリベット打ち込みがされ、レトロさと美しさを兼ね備えます。
今の時代、中身を新しくしてこのルックスというのは十分アリですね。
ライトアップもしていますが、ほら、形が美しいとこんなにも美しい夜景を演出してくれます。



▲ライトアップ時の写真。リニューアルで雰囲気は抜群だ


そうそう、勿論景色もよくて、湾岸を走るベイブリッジ、高速道路、川崎の工業地帯などを見ることができます。
夜行くのがお勧めですね。夜景がきれいですので。

ここのウリは混雑していない点(失礼しました)と、景色が見やすいところでしょうか。
ランドマークタワーのほうが高いところから見れますが、高層ビルのためにどうしても分厚いガラスと足元の段差に阻まれてしまいます。
横浜マリンタワーでは、他の展望タワーと同じく純粋な展望フロアを持つので、ガラスぎりぎりまでも近付きやすく、景色を見るには最適です。



▲黄昏時の横浜を望む事が出来る


そういえばマリンタワーと言う名前にしてこの立地と景色。
この後バブル期までに乱立してくる海辺のタワー群の走りとなったのは間違いないでしょう。


それではお待ちかね、アレの時間ですが、勿論ここにもアレがあります。
タワー設置必須条例に準拠するアレです。



▲アレとやらのメダル販売機

メダル販売機にはマリンタワーのステッカーが貼られています。統一感を出していますがリニューアル時に新調したのでしょうか。

メダルはこんな感じです。
横浜市出身にして名誉館長であるクレイジーケンバンドの横山剣氏とコラボしたメダルが売っています。
これは面白いですねぇ。



▲タワーにおいて有名人のメダルは珍しい


タワーについてはリニューアル時に低層部までを含め大規模な改修を行っており、結婚式も可能なプランを押し出すなど高級感を高めていますね。
ここら辺、前にも述べましたが同じくメスを入れてクールな香りを高めている名古屋テレビ塔などと似ていますでしょうか。



▲タワーを模したミネラルウォーター


お土産も洗練されており、従来はあったであろう古臭い所謂土産物は姿を消し、タワーの形を美しくかたどったシンボリックなアイテムがサクサク並ぶようなお土産ショップがありました。
何度も言いますがここも名古屋と似ています。

私はこの雰囲気が好きで、名古屋の時は結構買い込んでしまったのですが、こちらでもいろいろと買ってしまいました。
エッフェル塔のつまらないキーホルダーが定番アイテムとしてあるように、シンボリックなアイテムはそれだけで飽きませんしデザインも優れています。
東京タワーとは違った雰囲気のオリジナルアイテムは洗練されており、なかなか魅力的です。



電波塔が電波塔でなくなり、タワーとして生きなければいけない時代、タワーがタワーとして生きていけない事例も見られます。
高層建築物が当たり前になった現代、単に展望台として行きていく事は難しいと時代が教えてくれています。
東西に点在するレトロ・クールな大人のちょい悪おじいちゃんの姿に、老舗展望塔の生き様を見るのでした。



<参考>
横浜マリンタワー公式サイト : http://www.marinetower.jp/