こんにちは。
漢方薬剤師のみゆきです。
梅雨に入り、雨や曇り空の日が増えてきましたね。
勤務先の薬局でも、
「頭痛」「頭が重い」という患者さんが増えています。
梅雨時期の頭痛は低気圧頭痛、
気圧の変化により誘発される頭痛であることが多いです。
低気圧頭痛がなぜ起きるか?
まず、気圧が急に下がると、
内耳(気圧のセンサー役割)が過剰反応して
自律神経のバランスが乱れてしまう
↓
血流悪化により、痛みを感じやすくなる
というメカニズムがひとつ。
そして、もうひとつが、
低気圧になると、
体の外からの圧力が減って血管が膨張してしまう
↓
神経を圧迫して痛みを感じる
というもの。
2番目の血管の膨張による頭痛は、
低気圧だけでなく、湿度が高いことも原因となります。
湿度が高いと、汗をかきにくくなります。
すると、体に余分な水分が溜まったり、熱がこもったりして
体液の循環が悪くなってしまいます
↓
血管が膨張して神経を圧迫して痛みを感じる
漢方的には、
雨が降る前に頭痛が起きる低気圧頭痛は、
体内の水分バランスの乱れが原因と考えます。
体質的には、「水毒:すいどく」といって
体の水分やリンパ液の流れが低下し、水はけが悪い状態です。
低気圧頭痛のほかに、以下のような症状があてはまります。
・乗り物酔いしやすい
・むくみやすい
・めまいや立ちくらみがよくある
低気圧頭痛に役立つ市販の漢方薬4選
前置きが長くなりましたが…
低気圧頭痛で悩む方には、根本原因の改善が期待できる漢方薬の活用もおすすめです。
今回は、市販の漢方薬の中から、低気圧頭痛に役立つもの4つをご紹介します。
■五苓散(ごれいさん):テイラック、アルピタン、キアガード
低気圧頭痛の漢方薬のファーストチョイスといえば、五苓散(ごれいさん)です。
体の水分の循環をよくして、頭にたまった余分な水分を取り除き頭痛を改善すると考えられています。
五苓散はいろいろなメーカーから、違う名前で販売されています。
(どれも面白いネーミング^^)
■キアガード
ツムラの五苓散(医療用)と同じ生薬を同量含む五苓散です。
沢瀉(たくしゃ)が4g、桂皮(けいひ)が1.5g。
(猪苓、茯苓、そう朮は3g)
■テイラック、アルピタン(小林製薬)
クラシエの五苓散(医療用)と同じ生薬を同量含む五苓散です。
沢瀉(たくしゃ)が5g、桂皮(けいひ)が2gとギアガードに比べて多めです。
(猪苓、茯苓、白朮は3g)
・アルピタン
・テイラック
テイラックとアルピタンは名前は違いますが、内容は同じ五苓散です。
ただ、テイラックは錠剤で、アルピタンは顆粒(アルピタンガンマは錠剤)という違いがあります。
低気圧頭痛でつらい時にのむ=早く効かせたいので、
個人的には、生薬量の多いテイラックもしくはアルピタンの方がおすすめです。
■苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
動悸や立ちくらみもするという方には、苓桂朮甘湯がおすすめです。
苓桂朮甘湯は、体の水分の循環をよくしつつ、自律神経のバランスを整えて低気圧頭痛の改善が期待できます。
市販薬としては、クラシエやツムラ、コタローといったメーカーから販売されています。
コタローの苓桂朮甘湯は、医療用の3/4の生薬量と他より多くおすすめです。
■半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
冷えやめまい、吐き気などもある、
もともと胃腸が弱い、冷え、低血圧傾向があるという方には、半夏白朮天麻湯がおすすめです。
この漢方薬が合う方は、胃腸が弱い=働きが低下して、うまく消化吸収ができず、
胃に水分が停滞し、血行不良を起こして頭痛が起きると考えられています。
雨が降る前だけでなく、冷えや疲れがたまると頭痛が悪化しがちです。
■呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
呉茱萸湯は、片頭痛の漢方薬として有名です。
冷えや肩こり、吐き気を伴う頭痛におすすめです。
(五苓散との違いは、「頭痛発作時に足が冷える」という点だと学会で聞きました。)
冷えにより悪化した胃腸のはたらきをよくして、頭痛や吐き気を改善する漢方薬です。
漢方薬の中でも苦いというか飲みにくい味ですが、
不思議なことに、ビンゴ!であっている場合は意外と飲みにくくないそうです。
(患者さんでも結構、好みが分かれます)
低気圧頭痛のファーストチョイスの漢方薬は五苓散ですが、
もし、効き目が悪いと感じたら、他の漢方薬の方が合う場合もあります。
梅雨時期のつらい頭痛のセルフケアに役立てばうれしいです!