【再回顧】凄まじい頭脳戦。「後ろの馬をマークする」川田騎手の怖さ | カンパイ氏の一口馬主ライフ

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ライター。一口馬主ライフを楽しむため、2020年からブログ開設。これまで、クラブ誌や有名競馬ブログにも寄稿してきた。独自の分析方法を確立し、毎年主要クラブの募集馬を分析している。

みなさま、こんばんは。

カンパイ氏です。

 

 昨日の以来、何度もNHKマイルカップのレースを見直しました。昨日もブログに回顧を書きましたが、改めて川田騎手の素晴らしい騎乗テクニックを記録しておきたいと思います。

 

 キーワードは「後ろの馬をマークする」です。競馬で特定の馬をマークする場合、当然多くはその馬の後ろを取ります。対象馬を前に見て、動きを確認し、ゴール前で交わす。マークとは、本来そういうものです。

 

 しかし、今回の川田騎手は違いました。後ろにいるアスコリピチェーノをマークした。つまり、対象馬の前を取りながら、相手に競馬をさせなかったわけです。言い方を変えれば、アスコリピチェーノに後ろを取らせなかったんです。

 

 私は戦前、枠順を見たときに「ジャンタルマンタルの後ろを取りたい」と思っていました。直線でジャンタルが抜けるのは分かっていましたから、そうなれば自然と進路が開きますからね。

 

 これは想像ですが、川田騎手も逆の立場で同じようなことを考えていたのではないでしょうか。すなわち、アスコリピチェーノに後ろを取られたくない、と。

 

 その証拠に、ロケットスタートを切ったジャンタルは、スッとアスコリピチェーノの斜め前まで下げます。そして、過度に内に入れないよう、アスコリピチェーノの前に入らないように考えて進路取りをしているように思えます。パトロールビデオを見ても、川田騎手は道中何度か斜め後ろを見ている感じがしますね。

 

 斜め後ろにアスコリピチェーノを閉じ込めれば、あとは前の馬が下がってくるまでフタをすればいいわけです。具体的に言えば、マスクオールウィンを外に出させなければいいわけです。4コーナーの入口からしばらく、川田騎手は岩田騎手の動きに集中していたことでしょう。

 

 結果として、それは大成功でした。あれだけの着差があったのに川田騎手が最後まで一生懸命追っていたのは、アスコリピチェーノが差してくることがわかっていたからでしょう。いくら閉じ込めても、マスクがバテれば進路は開く。そこからアスコリピチェーノが追ってきたとすれば、最後は詰められる。そう思っていたのだと思います。

 

 今回の着差はそのまま、アスコリピチェーノがブレーキをかけた間にロスした分でしょう。もし、何の不利もなく進路が開いていれば、首の上げ下げになっていたのではないでしょうか。

 

 川田騎手は以上のことをいとも簡単にやってのけたように見えますが、これは並みの技術ではありません。騎手の心理として、馬の力を出し切ること、そして他馬に能力を発揮させないこと、この二つは重要です。ただ、ほとんどの場合はどちらか一つを達成することで精いっぱいになってしまう。それを両方やってのけるのが川田騎手です。しかも、そのレースがG1だろうと、未勝利戦だろうと。

 

 そんな川田騎手に、改めて「怖さ」すら感じました。教科書レベルの素晴らしい騎乗だったと思います。

 

 さて、こうなってくるといよいよ再戦が楽しみでなりません。早ければ秋のマイルCSでしょうか。年末の香港でしょうか。とにかく、まずは両馬とも無事に夏を越し、また一回り成長してターフに戻ってきてくれることを祈ります。

 

 そうそう、読者の方からもメッセージをいただきました。Mさんはアスコリピチェーノについて「強さを再認識しました。秋の巻き返しを期待しています」と書いてくれました。本当にありがとうございます。

 

 ジャンタルマンタルを含め、クラブ馬たちの活躍をまた一緒に応援していきましょう!

 

 それでは、今日はここまで。また、ブログを書きますね。

 

カンパイ氏