宋代鬼談 | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:宋代鬼談 中華幻想検死録
作者:毛利志生子(もうりしうこ)
出版:集英社オレンジ文庫
内容:中国宋代、十歳で孤児となった白梨生(はくりせい)は叔父に育てられ、二十歳前に科挙に合格して文官となる。主簿(しゅぼ)の職を得て養老県に赴任することになった梨生は、父母の代から仕えてくれる家僕の老夫婦を連れて旅立った。その道中、川辺で休憩した梨生は子猫を助けようとして川で溺れる。もう死ぬのだと思ったとき、水死して鬼に転じた青年に出会った。水鬼(すいき)は自分が輪廻転生するために身代わりの人間を溺死させると言われている。気を失った梨生が目を覚ましたとき、彼は川原に横たわっていた。傍らには子猫を抱えた水鬼そっくりの青年・蕭心怡(しょうしんい)がおり、老僕が言うには溺れた梨生を彼が助けたのだと言う。従者として心怡を雇った梨生は、夜、宿屋の中庭で事情を聞いた。梨生が善人なので殺せなかったと言う心怡のところへ、光の塊が現われて次のように告げた。「三年間、人の世に暮らし、一度として悪事を働かなければ、ふたたび輪廻の輪に戻ることを許す。見届け役の白梨生とともに行くがいい」かくして心怡とともに赴任地に到着した梨生だが、養老県では行方不明者が多発していると言う。しかも梨生の目は死者の姿が見えるようになってしまう。主簿の仕事は任地の帳簿管理と県内で発見された遺体の検死をすること。到着そうそう犬が咥えていた人骨に気づいてしまった梨生は、さっそく「初仕事」をすることに……。