心沈む | Tへ

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ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

夕方に帰宅して

そのまま横になり眠ってしまった。

朝が早いのでもたないのかな。

Tが冷蔵庫を開ける音を耳にして目が覚めた。

時刻は20時を過ぎていた。


「ごはん作るから食べて」


キュウリを刻んでカニカマをほぐして和えた。

常備していた万願寺の煮浸しと

春菊のお浸しに少し温めたバッテラを皿に盛った。

冷蔵庫にあった酎ハイがほぼなくなっている。

私が眠っている間に飲んでしまったみたい。

食べないと飲むから危険だった。

出汁巻きも焼こうと思ったけど

きっと食べない予感がしてやめた。

お盆に載せて持っていったけれど

何となく気分が良くない表情をしている。

置いてもしばらく箸をつけない。

仕方のないことだけど何だか落ち込む。

横からサラダを少しつまんで

ポリポリと音を立てて何度か食べてみた。


「冷たくて美味しいよ。」


うながしても険しい表情でうなずくだけだった。

きっと飲み過ぎて怠いのと苦しい呼吸にやり切れない状態だと思う。

それでも私はわざと万願寺を囓って音を立てて食べる。

食べる事に意識を向けさせたくて必死になっている自分が滑稽でもある。

大夫経ってからようやくTが箸を手にして

ゆっくりと食べてくれた。

夕方、眠らずに食事を出しておけば良かったと後悔する。

Tは自分で料理できても今はしんどいからやめている。

ごく簡単なものしか作らない。

だから食事を出さないと食べずに呑んでしまう。

結局、夕食は少し口にして寝室へ行ってしまった。

残った料理を一人でつまんで片付ける。

なんだか惨めな気持が沸き上がってくる。

今日は、ほとんど食べられなかったみたい。

やるせない思いを何処に吐き出したら良いのだろう。

眠剤を飲んで現実から逃避してしまいたい。