ささやかな晩餐 | Tへ

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ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

クリスマスにケーキを口にしなくなって数年経つ。

甘い物が苦手になったのはワインに溺れたせいかもしれない。

飲まなければやっていられないと言うけれど

私の場合

ワインを飲む事で心の緊張の糸がほぐれてリラックスできる。

フランスの人は昼の休憩がシエスタと言って2~3時間もあり

ワインを片手に食事の時間をゆっくり楽しむみたい。

3ヵ月だけ職場で業務フランス語の教育を受けた事がある。

身につかなかったけれど

せっかくだからと思いフランスへ旅したことがある。

遠い昔に見た映画の影響で南フランスを訪れる事が夢だった。

目的地はカマルグという湿地帯で

野生の白馬やフラミンゴが群れを成し生息している。

そんな場所に身を置いても浮いてしまう自分だけど

大人になったら映画で見たその場所へ必ず行こうと決めていた。

なのにいつも抜けている。

間違えたツアーを選んでしまいカマルグの手前までしか

行くことが出来ず

未だにその夢は実現しない。

自分の人生なんてそんなものだと半ば諦めながら

妥協の中で生きている。

順調だと思っていてもヘマをして

いつも結果はオーライではない。

何度も突き落とされて

それ以上落ちる事もないくらい

どん底まで行っているのかな。

もう落ちる事はないと気付いたら

後は這い上がるしか道はないけど

そんな余力も尽きかけている様な気分。

昨夜の晩もクリスマスらしき料理は作れなかった。

前日に作ったチゲ鍋の残りと

スーパーで購入した2個入りのチキン。

ケーキを3つ購入して2つをTの母に届けて

残りひとつはTが食べた。(写真↓)

 

 

彼が選んだピスタチオのケーキを味見させてもらったら

甘酸っぱくて後味がスッキリとしてとても美味だった。

スポンジは入ってなくてピスタチオのクリームの中に生クリーム

その奥に知らない果実が入っている。

空洞になった小さな種の様なものがサクサクと

食感にアクセントを与えてくれて

見事な完成品だった。

こんなケーキを口にした事が無くて

もうひと口だけ大きく頬張ってみたら

優しい甘みが再び口中に広がってスーッと一瞬にして消えていく。

もう虜になりそうな美味しさに目をそらせてワインを口にする。

やっぱり甘い物よりワインが口に合うみたい。

チキンも温め直して食べやすい様に細かくカットした。

チゲ鍋に使った残りのキムチと一緒につまみながらの

質素な食事だけど

晩酌のアテなら充分だった。

ビタミンBが欠乏していて足の痺れはずっと続いている。

だから無塩のナッツも良くつまむ。

これだけでも満足な晩餐だと思う。

ハッピーには見切り品のバナナを細かくカットして

3㎝だけあげた。

彼女と暮らし始めの頃は私の方に駆け寄ってきたのに

最近はTにベッタリになっている。

私の事は噛むのにTには本気で噛まない。

彼は動物を手名付けるのが上手みたい。

粗相をすると私は彼女を叱るけどTが彼女を叱る事はない。

声を発せない彼の手の動きでハッピーの躾が成り立って行く。

これも凄いなと思う。

小さな体で空気を読む姿に賢さを感じる。

たとえ犬でも

一家族として私たちは見ているから

彼女をないがしろにしない様に気を付けている。

本人の気持ちを考えて常に目を向けているけど

ヤンチャな性格とは裏腹に

ウルウルとした優しい瞳が切なくて

あまり強く𠮟る事も出来ない飼い主失格の自分。

わたしは心配性だからTの様にデンと構えられない臆病な性格。

クリスマスイヴを迎える前に

スジだらけの安いロース肉を手に入れたので

辛うじて動画を作ることが出来ました。

もっと大人の料理が作りたいのに

ハッピーをイメージしてキャラプレートになりました。

ステーキなんてめったに焼く事もないものだから

失敗です。

お時間が許される時に見ていただけたら嬉しいです。↓