今朝、病院へ行った彼が戻らなくなりました | Tへ

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ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

 

梅雨の訪れは

優しく緩やかな空気を包み

時に穏やかな

気持の変化を与えてくれる

でも

いま

私の心も精神も

土砂降りの大雨です

泣きじゃくり

嗚咽を漏らしながら

ブログを開きました


明日は病院で定期検診だから

早めに出るわ

かのんは寝といてな

前日に、そう言っていた彼

病状は安定していても

一度この病気にかかると

治療後も定期的に

検診が必要になります

たとえ5年経過して寛解と言われても

油断は出来ない状態

身体の中にひそむ病魔が

いつ彼の身体を脅かすかわからない

翌日の明け方

彼が起きてふすまを閉める音に

目を覚ました私

眠くて布団から出られずにいた

私に気遣って静かに

玄関に向かい出ていく彼の気配

気付いていながら

見送らずに布団に潜っていた


バタンっと車のドアが閉り

エンジン音が聞こえて

彼は病院へ

遠ざかっていく車の音を耳に

私は身体を起こした

いつもなら玄関まで見送るのに

この日は妙に咽が痛くて

体調が優れず

起きて常備薬を飲み

熱を測ったら

珍しく微熱があり

嫌な予感がよぎる

私は咽は弱くても

風邪はずっとひいたことがない

なのに、この日は少し

調子が良くなくて

彼が病院から帰宅したら

相談しようと思っていた

椅子に座っているのもけだるくて

ずっと彼の帰りを待っていた

そのうちに常備薬が効いて

だいぶラクになってきた

彼が帰宅したら

一緒に買物に行こうと思った

お昼が過ぎて

午後になった

けれど彼は帰ってこない

こんな時はたいがい

病院帰りにスーパーへ寄り

買物をしてきてくれる

今日も買物かな

なんて気楽に待っていた

それから

1時間2時間と経過していく

随分、遅いなと思っていた

今朝 起きた時の嫌な予感が

私の脳裏をよぎる

嫌な予感というのは

私自身のことではなく

彼の状態

不思議な話

以前

彼が声帯の手術を受ける朝

私の声が

突然出なくなった事がある

心因性失声症かな

彼に依存しすぎて

少しでも彼に何かあると

私の体調に変化が起きる

今朝の私の体調も

今後の彼の病状を告げる

サインだったのかもしれない

随分時間が経過した頃

スマホに彼から着信が

出先から電話など

ほとんどしない彼だから

不安な気持で受話器をとる

もしもし

スマホに出ると

かのん

おれ

ガンが再発して帰れなくなった


目の前が真っ白と言うよりも

真っ黒に染まっていく

今から手術するから

入院の荷物を届けて欲しい

すぐ手術って

そんなに緊急な状態

午後から一緒に買物なんて

呑気な思いが粉々に砕けていく

どうすればいい

いつもいつも

彼に頼っていたから

いざとなるとオロオロして

動けない弱い自分

現実を受け止めて

入院に必要な物をかきあつめて

タクシーで病院へ

救急病棟で待ちながら回想する

そういえば

数日前から食事の時に食べづらそうだった

むせてテーブルに突っ伏してしまったり

トイレに駆け込んでリバースも

鼻血や血痰も出ていたし

体重も激減

2階へ上るだけで過呼吸に

眠っている時も

異常に苦しそうなイビキ

それに

倒れて自力で動けず

うずくまっていた事も数回

何故もっと早く

身近にいる私が

気付いてあげられなかったのだろう

全ては病気の兆候だったのに

彼の異変を知りながら

何も助言しなかった自分を責める

この日の手術は

あくまでも応急処置であって

本当の手術は、これからと知る



受付で看護師さんから

彼の車の鍵とサイフを手渡され

救急病棟の椅子で

オペの終わりを待つ

数時間後

緊急手術を終えた彼が

車椅子に乗って看護師と共に現れた

彼の鼻と喉から

痛々しい血痕が

少し涙目の彼と共に

救急談話室へ

声を発せない彼の手を握りしめる

昨日まで

一緒にずっと過ごしてきたのに

何故・・・


前日に彼が言った言葉

今日はスパゲティな気分

オムライスとどっちがいい?

オムライス

リクエストに応えて

オムライスを作ったら

美味い美味いと言って

完食してくれたのに

何故、突然こんな事に

朝から感じた嫌な予感

それを意味するかの状況


しばらくして

主治医が来て説明してくれた

彼の咽頭の横が腫れて

気管を塞ぎ呼吸が困難に

このままだと

窒息死してしまうので

応急処置で気管に穴を開けて

そこから空気を取り入れた

今後、この咽頭の腫れを

検査することに

もしガンであっても

以前 舌に出来たものが

転移したわけではなく

新たに生まれた物

これが陽性でも

他の気管に転移していなければ

声帯ごと取り除く事になる

その手術をしたら

食べることは出来ても

匂いがわからず声を失う


声を 失う・・・


過去に施した舌癌の手術後

声帯が麻痺して

ウグイスの様に歌の上手だった

彼の声はガラガラの声に

元の声を取り戻すために

声帯の手術を何度かしても

元の声に戻ることはなく

それでも話すことは出来た

なのに今度は彼から

声を奪うなんて

彼の心の苦しみは

どんなに深いことだろう

病院を出ると

日も暮れて真っ暗な駐車場に

彼の車が1台だけポツリと

雨に濡れていた

買い換えたばかりの愛車に

またも雪風号と名付けていたっけ

車内に入り彼を思う

いつも二人で過ごした車の中ですら

寂しくて

帰宅して号泣した

ガン患者と知っていながら

惹かれた人

それだけに

いつもいつも

未来に怯えながら

今の幸せに浸っていた

幸せは、いつまでも続かない

田舎で自然の多い

この街は大好きなのに

彼のいない家は寂しい

病院の面会は完全禁止で

会うことすら出来ない

言葉で伝えるのが苦しすぎて

彼の両親には

手紙で事情を伝えた

そう言えば、ここ数日

乱れた食生活

と言うより

食べるより飲んでばかり

再々発ではなくても

新種のガンである可能性は高い



まさか突然 入院だなんて

心が掻き乱れて折れそう

料理をする気力を失い

自分の動画を

今までのように

作れない心情に

心のダメージは非常に深く

辛い

ずっと更新をしていない

私のブログの

初期の話を知る皆様は

お気づきかもしれない

こんな思いは初めてではなく

過去にもあった事だけど

辛い気持は変わらず

彼が食べてくれたから

動画が作れたのに

料理に気持を注げない心情

大好きな人との暮らしが

ある日突然、失われる辛さ

見えない未来に

日々怯えながら

今までも幸せに生きてきたから

1番辛いのは本人なのに

メンタルの弱い自分

ただ今は

必死で現状を受け入れるだけで

辛すぎて

食欲も無く半日以上

布団に潜って

蓑虫になったり

それでも

治療がある限り

彼のかたわらで

彼を支えていきたい



かなり

 

重いブログの文章だけれど

誰にも語れない気持を

ここに

綴りました



かのん

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