ニューヨークの不動産屋がアメリカ大統領になるまで/トランプ政権の行き末 | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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「朝日新聞」が米国次期大統領トランプに関して精力的な記事を連打していて面白い。

まずはこの記事から。

 

 

トランプ氏…有能なビジネスマンって本当? 

実像を探る

ニューヨーク=畑中徹

2017年1月9日05時02分

 

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トランプ帝国

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 ビジネスで成功した私は大統領にふさわしい――。そう訴えて、米大統領の座に上りつめた「不動産王」トランプ氏。しかし、経営する企業の実態は不明な点が多いうえ、過去には関連会社が次々と経営破綻(はたん)するなどトラブル続きだった。ビジネスマンとして本当に有能だったのだろうか?

■「資産1兆円」というが

 

 ニューヨーク・マンハッタン5番街のトランプタワー。目抜き通りの超一等地にそびえ立つ高層ビルには、トランプ氏のほか、各界のセレブや有名企業のトップが暮らす。1階部分に「グッチ」などの店舗があり、きらびやかな雰囲気は「成功者」のイメージそのものだ。

 

 ただ、光り輝くトランプ氏の所有する建物とは裏腹に、同氏のビジネスの実像となるとナゾに包まれた影の部分が多い。

 

 事業の中核となるのは、不動産会社「トランプ・オーガニゼーション社」。株式を上場していないため財務の状況などはよく分からない。しかも、幹部にはトランプ氏の長男ジュニア氏や長女イバンカ氏、次男エリック氏が名を連ねる。典型的な家族経営だ。

 

 公開資料やメディアによると、企業価値は43億ドル(約5千億円)と推定される。保有する資産の7割近くはニューヨーク地区に集中。トランプ・オーガニゼーションが仮に上場した場合、株式時価総額は全米800位程度にとどまるとされ、世界的な企業というより「ニューヨークの地元企業」といえそうだ。

 

 トランプ氏は、自身が保有する資産総額について「100億ドル(約1兆1700億円)を超える」と豪語するが、米経済誌フォーブスが昨年9月に公表した資産総額は推計で37億ドル。不動産価格の値下がりで、1年前から8億ドル減った。本人の「言い値」と大きくかけ離れている。

 

 フォーブス誌の長者番付で首位のビル・ゲイツ氏(マイクロソフト創業者)の資産総額は810億ドル、同3位で「投資の神様」として知られるウォーレン・バフェット氏は655億ドルでトランプ氏とケタ違い。それでも同氏は、これらの経営者と並ぶような富豪とみられることが多い。イメージづくりのうまさこそ、トランプ氏の真骨頂だ。

 

 ビジネスの実態を知るための一つの手がかりとなる納税申告書については、「監査中」として一貫して公開を拒んでいる。米大統領候補となった人物が公開拒否するのは異例のこと。米メディアから批判を浴びているが、本人は気にする様子もない。

 

■借金重ね窮地 ブランド貸し活路

 

 「政治の世界にも私のような有能なビジネスマンが必要だ」。トランプ氏は選挙戦中から何度もアピールしてきた。だが、過去の事業を振り返ると成功もあるが、失敗の数も多い。

 

 トランプ氏はもともと、父親がニューヨーク地区で手がけていた不動産事業を手伝う形でビジネスを始めた。米経済がバブルに沸いた1980年代は、事業も絶頂期だった。83年に本拠地トランプタワーを建設。88年にマンハッタンを象徴する名門プラザホテルを買い、不動産王の地位を確かにした。

 

 ところが90年代に大きくつまずく。事業を拡大しようと、米東海岸の主要都市を結ぶシャトル便事業に乗り出したが、撤退を迫られた。参入したカジノホテル経営はうまくいかず、少なくとも関連会社4社が次々経営破綻。総額34億ドル(約4千億円)もの債務(借金)を抱え、返済もままならず、金を貸した銀行や債権者から追い詰められた。

 

 85~91年に米紙ウォールストリート・ジャーナルなどに所属し、トランプ氏を取材したニール・バースキー氏は、取材先の銀行員から聞いた例え話を覚えている。「トランプ氏のビジネスは、れんがの壁にブレーキもなしで時速100マイル(約160キロ)で突っ込んでいくような無謀さがある」。バースキー氏は「正直ひどいビジネスマンと感じていた」と話す。

 

 借金まみれの90年代、トランプ氏のビジネスキャリアは終わったかに見えたが、しぶとく生き残った。救いとなったのは、「トランプ」の名前が持つブランド力だった。

 

 原点ともいえる不動産関連事業は徐々に減らし、「トランプ」ブランドをあちこちに貸してもうける名義料ビジネスに力を入れるようになった。ホテルや香水、衣類、帽子、菓子、ステーキ、ウォッカなど、あらゆる商品にトランプの名前が付いた。その多くは自身が販売などをやらず、リスクをとらずに名義料が入ってくるうまみがある。

 

 「手がける事業に名前を付けるだけで、モノが売れたり注目を集めたりする。そんな実業家は他にいないでしょう」。トランプ氏と親交が深いラスベガスの「カジノ王」フィル・ラフィン氏は感嘆する。

 

■お得意の「ディール」、世界に混乱招く懸念

 

 トランプ氏のビジネス手法といえば、「ディール(取引)」だ。

 

 自伝で「ねらいを高く定め、求めるものを手に入れるまで、押して押して押しまくる」と記す。トランプ氏が、債権者に借金の返済条件を緩めてもらう交渉に立ち会った銀行員ロバート・マクスウィーン氏は「トランプ氏はしぶとく、したたかだった。劣勢でも反転の方策を見いだした」と話す。

 

 大統領としても、外交や安全保障、貿易協定の交渉などの課題を取引の対象とし、自分に有利な条件を引き出すやり方を持ち込むとみられる。

 

 昨年12月、台湾総統と電話協議し、米中関係の土台である「一つの中国」原則に疑問を呈した。中国の抗議を受けたが「中国の貿易政策次第だ」として、台湾カードで中国を揺さぶった。日本にも、米軍撤収をちらつかせて米軍駐留費の負担増に言及。米メディアは「外交や貿易問題をビジネスと同じように扱うと世界に混乱をもたらす」と指摘する。(ニューヨーク=畑中徹)

 

     ◇

■「理屈と直感を兼ね備える」

 

《トランプ氏が経営する企業で長年、側近として仕えたルイーズ・サンシャイン氏(75)の話》

 不動産関連の企業で、1970年代から80年代にかけての15年以上、当時の上司であるトランプ氏の間近で仕事をしました。彼は部下から業務の報告を受けた際、AからZまでの全体像を数秒で理解し、大きな絵をえがくことが得意でした。事業の枠組みを決めたら、その後は部下に任せました。「理屈」と「直感」を兼ね備えている企業経営者という印象を持っていました。正直、彼の能力に感銘を受けていました。そばで働いた人の多くは同じような気持ちだと思います。

 

 選挙期間中、暴言が注目されましたが、昔から常識外れの発言は目立ちました。世間の耳目を集める目的だと知っていますから、私は「耳栓」をして聞かないようにしました。彼はそうすることで既存のものを壊してしまいたいのです。

 

 乱暴な人間にみえますが、彼を慕って近づいてくる人に対しては悪いようにしません。私は独立して自分の会社をつくりましたが、とことん事業の教えを請いました。トランプ氏は「私が事業で得た知識を、どれだけでも吸収してくれ」と言ってくれ、本当に多くのことを学びました。

 一方で、ビジネスで利害が対立した人たちが、トランプ氏をうかつに攻撃すると激しい反撃を受けていました。『倍返し』といえる厳しい仕返しでした。このため、多くの敵をつくったわけですが、トランプ氏は意に介していませんでした。その態度は、大統領選でも同じだったと思います。

 

 

そしてもうひとつこの記事。

 

大富豪、GS、将軍… トランプ氏、偏る「3G」政権

 

 トランプ次期米大統領は、20日の正式就任まで2週間を切り、新政権の陣容を固めた。政治経験のない「異端児」の組閣には、大富豪(Gazillionaire)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、将軍(General)という三つの特徴が見られ、頭文字から「3G」政権と呼ぶ声もある。既存政治の打破を掲げるトランプ氏は、共和党主流派と距離を置き、独自の人脈から選んだ側近らブレーンを中心に政権運営を進めるとみられる。

 

 「大富豪、ゴールドマン・サックス、将軍。『3G政権』だ」。民主党のマカスキル上院議員はトランプ次期政権をこう命名した。

 

 ほぼ固まったトランプ新政権の陣容で、目をひくのは大金持ちが多いことだ。

 

 米ボストン・グローブ紙のまとめでは、閣僚でもっとも金持ちなのは教育長官に就くベッツィ・デボス氏。義父が直販大手アムウェイ創業者で総資産は51億ドル(約6千億円)。ウォール街の「再建王」と呼ばれる投資家のウィルバー・ロス次期商務長官の総資産は25億ドルだ。トランプ氏本人も37億ドルで負けていない。

 

 グローブ紙によると、昨年内定した閣僚の総資産の合計は少なくとも131億ドル(約1兆5300億円)に及ぶ。オバマ現政権の5倍、ブッシュ前政権(末期)の34倍になる。

 

 次に目立つのが、金融大手ゴールドマン・サックス(GS)出身者だ。

 

 ホワイトハウスの経済政策の司令塔となる国家経済会議(NEC)議長に、GSのゲーリー・コーン前社長兼最高執行責任者(COO)を起用。財務長官には、元GS幹部でトランプ選対の「金庫番」を務めたスティーブン・ムニューチン氏を指名した。

 

 トランプ氏は選挙中、「私はビジネスの世界で成功した。何も成し遂げていない政治家らとは異なる」とアピールした。政治経験の豊富な人物より、自身と同じようなビジネスの成功者を好んで選んでいる。

 

 ただ、トランプ氏の勝利を支えたのは、かつて栄えた製造業がさびれてしまった「ラストベルト」(さびついた地帯)の白人労働者とされる。富豪や起業家が集まった政権が、大規模減税や規制緩和など「企業寄り」の政策を進めてもラストベルトの景気改善につながるかは分からない。

 

 オハイオ州選出の民主党ブラウン上院議員は「億万長者の大統領が、億万長者に向けた政策を持つ億万長者に囲まれている。この組閣は、トランプ氏の公約を破るだろう」と皮肉る。

 

 もう一つの特徴は、将軍・軍人の重用ぶりだ。

 

 国防長官には、イラク戦争などで指揮を執り、「狂犬」の異名を取るジェームズ・マティス元中央軍司令官(元海兵隊大将)を起用。外交・安全保障政策を統括する国家安全保障担当大統領補佐官に元国防情報局長のマイケル・フリン氏(元陸軍中将)を充てた。

 

 米メディアは、これほど元将軍を重用するのは、南北戦争後の1869年に発足したグラント政権以来と指摘する。

 

 トランプ氏は「私は軍人を強く信頼している」と話す。これに対し、ニューヨーク・タイムズ紙は「文民によるリーダーシップをとる制度のバランスを失わせる」と警鐘を鳴らす。

 

 トランプ氏は「米国は世界の警察官ではいられない」と話し、イラク戦争も「中東を不安定化させた」として開戦すべきではなかったとの立場だ。一方で、第2次世界大戦中に原子爆弾の開発・製造を加速させた「マンハッタン計画」になぞらえ、「就任初日に米海軍再建のマンハッタン計画を開始する」と語り、米軍増強も訴える。「将軍重用」政権が、いかに外交・安全保障政策を進めるのかは未知数だ。(ワシントン=佐藤武嗣、五十嵐大介

 

■家族の意見重視 長女イバンカ氏と夫がカギ

 

 ビジネスにおけるトランプ氏の判断に、家族の意見を重視する特徴が指摘される。政権運営でも、家族の影響力が注目される。

 

 トランプ氏の5人の子どものうち、最初の妻との間に生まれた3人は、自身の中核企業「トランプ・オーガニゼーション」の副社長に就く。3人とも政権移行チームに名を連ねる。

 

 とくに目立つのが長女のイバンカ氏(35)だ。大学を出てすぐにトランプ・オーガニゼーションに就職し、トランプ氏が司会を務めた人気テレビ番組「アプレンティス」にも出演。トランプ氏が「娘でなければ、デートをしていた」と語るほどの寵愛(ちょうあい)を受ける。昨年7月の共和党大会でも、父親を紹介する演説を担った。米メディアによると、多い時には1日5回も電話で話す関係で、大統領選でも副大統領候補の人選や陣営の意思決定で大きな影響を与えていたという。

 

 イバンカ氏は「イバンカ・トランプ」というブランド名で宝飾や洋服の販売を展開。かつてインタビューで「トランプの名字にはすごく価値がある。『ぜいたく』と『成功』に深いつながりがある」と語るなどトランプ一族の知名度を活用してきた。本人の著書では、両親の離婚を機に意図的に父親と接するようになり、より親しくなったと振り返っている。

 

 イバンカ氏には選挙後、ホワイトハウスの役職があてがわれるのではと取りざたされたが、本人はテレビのインタビューで「新政権には入らず、娘として関わる」と話した。その上で「選挙で熱意をもって訴えた問題があり、そのために戦い続けたい」と言及、有給の産休の実現などを指すとみられる。すでにワシントンで住む家を選んだ。トランプ氏の妻のメラニア氏は子どもの学校のために当面はニューヨークにとどまるため、イバンカ氏が事実上のファーストレディーを務めるとの観測もある。

 

 イバンカ氏の夫ジャレッド・クシュナー氏(35)も政権のカギを握る存在だ。敬虔(けいけん)なユダヤ教徒で、トランプ氏は、中東和平の交渉を委ねる可能性にも言及している。

 

 経済誌フォーブスは「この男がトランプを当選させた」との見出しで独占インタビューを掲載。シリコンバレーの人脈などを活用し、支持者の掘り起こしなどを担い、選挙戦の全体図を描いていたと報じた。

 

 クシュナー氏は、ニューヨークを拠点とする「不動産王」の息子という点でトランプ氏と共通点がある。父親が04年に訴追され、脱税などを認めて収監されたため若いころから会社を担い、06年には自分の資金で地元紙「ニューヨーク・オブザーバー」を買うなど、事業を拡大してきた。

 

 クシュナー氏を長時間インタビューしたことのあるニューヨーク・マガジンのガブリエル・シャーマン氏は、クシュナー氏について「若いころから、いかに権力を握るかを考えてきたと感じた」と話す。「冷静で礼儀正しいが、同時に冷たく、ごうまんな部分もある。気になるのは、自分が何を知らないのかを、知らないタイプの人間ということ。不動産業者としての評価はまちまちで、新聞経営も成功はしていないが、義父が大統領になることで何でもできると考える可能性がある」と指摘する。

 

■要職に「異端」の3氏

 

 トランプ氏は「最後に話を聞いた人の意見を重視する」と言われる。政権の意思決定は少数の側近の声が影響する可能性が高い。ただ、既存政治の打破を掲げ、共和党主流派とも距離を置くトランプ氏の周りには、通常の政権なら入るべき党所属議員やシンクタンクなどの識者の姿は少なく、「異端者」が集まる。

 

 大統領上級顧問兼首席戦略官に就くのはスティーブン・バノン氏。米海軍やGSを経て、過激な記事が並ぶニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の会長から、トランプ陣営のトップに移った人物だ。白人至上主義や人種差別的とされる記事も多数掲載しており、「避妊は女性を醜くし、狂わせる」などと女性蔑視の記事で物議を醸したこともある。

 

 バノン氏は選挙期間中、ほとんどメディアに姿を現さなかった。選挙後のインタビューで「知られないことが大切」「政治は戦争だから、テレビに出なかった」と発言。今後も陰の存在として動きそうだ。

 

 国家安全保障担当の大統領補佐官に就任するフリン氏も異端だ。元陸軍中将で、イスラム主義に敵意をむき出しにする。ツイッターで「イスラム教を恐れることは理にかなっている」と発信。講演でも「イスラム教は宗教ではなく、政治だ」「イスラム主義は悪質ながんだ」などと述べている。

 

 一方、経済政策の分野では、新設の国家通商会議の議長に就く米カリフォルニア大アーバイン校教授のピーター・ナバロ氏と、商務長官になるロス氏の2人が中心的存在だ。

 

 昨年、トランプ氏の経済政策についての論文を共著。為替操作や不公正な貿易をしているとして中国を敵視。改善しなければ高い関税をかけることも辞さない考えを示した。

 

 とくにナバロ氏は、経済問題のほとんどは中国に起因すると訴える対中強硬派だ。著書「中国による死」を映画化した映像では、中国製のナイフが米国地図を切り裂くと、血が流れ出るシーンで始まる。トランプ氏も選挙戦中に「中国が雇用を奪っている」と主張。トランプ政権の対中政策がどうなるのか注目される。(ニューヨーク=中井大助

 

 

さあトランプ政権は何をするのだろうか。

二つの記事から浮き上がる不気味さはなかなかのものだ。

世界最強最大の軍事国家のトップにこう言う人物が座る。

核の発射装置のボタンを自由に出来る人物だから、自分がボタンを押したら米国も含めた世界が絶滅する位のリアリティは持っているだろうと願うしかないか。

 

何?日本にはもっと酷いアベがいる?

確かに日米とも常軌を逸した政権が政治を司ることになりそうだ。

ロシアや中国なども含めて自国第一主義がもてはやされる背景には資本主義の爛熟時代を迎えて中間層の没落が加速している現実があるんだろう。

やはり満州進出の熱に浮かされた戦前を想い出さざるを得ない。