愚の骨頂/もんじゅ  廃炉に3000億円…原発の数倍、機構が試算 | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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原子力規制委員会から運営組織の交代を求められている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、現在の運営主体の日本原子力研究開発機構が廃炉に約3000億円以上かかると試算していたことが15日、分かった。もんじゅの廃炉費用が明らかになったのは初めてで、通常の原発の数倍に上る。もんじゅにはこれまで1兆円超がつぎこまれ、再稼働する場合も改修費など1000億円超が必要。運転を再開しても廃炉にしても、さらに巨額の費用負担が発生する実態が明らかになった。


「毎日新聞」より一部転載



この「もんじゅ」の問題について「朝日新聞」は次のようなレポートを掲載している。


高速増殖炉、夢から重荷へ


昨年11月に原子力規制委員会が運営主体の交代を勧告し、廃炉が現実味を帯びてきた「もんじゅ」(福井県)。高速増殖炉は発電しながら使った以上の燃料をうみ出す「夢の原子炉」と言われ、開発に巨費が投じられた。だが、世界的にも実用化の見通しが立たず、「重荷」になっている。

政府「ごみを宝に」推進

 

 「こんこんと尽きることなくわき出る夢のエネルギー源として期待したが、現実は理論通りにいかなかった」


黎明期(れいめいき)から日本の原子力研究開発にかかわってきた元科学技術事務次官の伊原義徳さんは振り返る。


 高速増殖炉(Fast Breeder Reactor=FBR)は、秒速約2万キロの「高速」中性子を使って、燃料のプルトニウムを「増殖」することからそう呼ばれる。仕組みはこうだ


 高速中性子がプルトニウムにぶつかる(〈1〉)と、核分裂を起こしてエネルギーを放出し、このとき一緒に複数の高速中性子も飛び出す(〈2〉)。その一つがプルトニウムに再びぶつかれば、エネルギーを継続して取り出して発電できる。一方、余った高速中性子とぶつかった燃えない(核分裂しにくい)ウランがプルトニウムに変わり、使った以上に増える(〈3〉)。

 ふつうの原発(軽水炉)との大きな違いは、炉心から熱を取り出す冷却材に水ではなく液体ナトリウムを使うことだ。水では中性子の速度が落ちて、プルトニウムを増殖できなくなる。また、炉心を通るナトリウムと別の配管系統のナトリウムとの間でいったん熱交換した後に、蒸気発生器で水蒸気をつくり出してタービンを回す複雑な構造なので、施設が大きくなりやすい。

 炉心の構造も独特だ。プルトニウムが入ったMOX燃料を、燃えないウランでつくるブランケット燃料が包み、高速中性子をできるだけ逃さず効率的に増殖できるように配置されている。ブランケットとは「毛布」の意味だ。


 FBRへの期待が大きいのは、核分裂を起こし燃えるウランは天然ウランの0・7%にすぎず、残り99・3%が燃えないウランだからだ。何もしなければ「ごみ」でしかない燃えないウランに、手を加えることで核燃料という「宝」の山になる、いわば錬金術だ。「数千年以上にわたりエネルギー自給をもたらす」と話す専門家もいる。実現すれば、天然資源に乏しい日本が輸入に頼る必要がなくなるため、政府は「準国産エネルギー」と呼んできた。


 研究開発の歴史は古い。実は、世界で初めての原子力発電は、軽水炉ではなくFBRだ。米国が1951年にごく小さな実験炉で成功させた。すでに冷戦が始まり、原子力のエネルギーで発電するだけでなく、核兵器の材料となる質の高いプルトニウムを同時に生産することも狙ったからだ。米国を追うように、旧ソ連、英国などが開発に着手した。


 日本でも、まだ原発が1基もない56年から、FBR開発を原子力開発利用長期計画(長計)に掲げ、「国策」としてきた。このころ、伊原さんは「15年か20年先には増殖炉もできるようになるだろう」と考えていた。



 ■コスト高、技術も困難

 70年代半ば、「21世紀初頭に世界の原発は2千基ほど(20億キロワット)になる」との予想があった。そのかなりの部分はFBRで、今ごろは日本を含め多くの国で林立しているはずだった。

 しかし、原発は90年代以降ほぼ横ばいで推移し、現在は約440基。FBRとなるとほぼゼロの状態だ。

 「原発が急増してウランが不足、高騰し、プルトニウム利用にメリットが出る」。これがFBRが普及する前提条件だったが、そうはならなかった。

 普及しなかった主な理由は三つ。

 (1)軽水炉より割高で経済性がない。

 (2)水と爆発的に反応するナトリウムを使うので技術的に難しい点がある。

 (3)核燃料のプルトニウムは核兵器材料になる。核不拡散にマイナス。


 この結果、多くの国が開発計画から撤退した。とりわけ米国の撤退が世界に大きな影響を与えた。


 74年、インドは民生の原発技術をもとに核兵器開発に成功した。米国は衝撃を受け、77年、再処理、FBR路線から撤退する方針に転じ、以後、他国にも撤退を勧めるようになった。


 ドイツは原型炉「SNR300」を建設したが、操業直前になって安全性を巡る論争、裁判が起き、91年に放棄された。その後、オランダの業者が買い取り、現在は遊園地だ。


 原子力大国のフランスは原型炉フェニックス(PX)に続いて実証炉スーパーフェニックス(SPX)を建設。SPXは事故などであまり稼働しないまま98年に閉鎖。PXも閉鎖され、現在はFBRをもたない。新しい炉を建設する計画もあるが、まだ不透明だ。


 一方、ロシア、中国、インドは開発を進めている。最も進むロシアは昨年、実証炉「BN800」が送電を始めた。原発の将来技術として重要と位置づけていると思われる。いずれも核保有国であり、プルトニウムを扱う技術の維持を重要視している面もある。


 FBR開発をいったん始めると、なかなかやめられない。原発使用済み燃料の「再処理工場」、再処理で取り出したプルトニウムを材料とする「MOX燃料製造工場」とともに核燃料サイクルの重要施設で、これらは密接につながっている。一つが止まれば、核燃料サイクル、原子力政策全体の整合性が崩れてしまう。


 英国は原型炉「PFR」を約20年運転したが、経済性が期待できないため、94年に開発をやめた。しかし、再処理を長く続けたために、当面使い道のないプルトニウムが約100トンもたまってしまい、困っている。MOX燃料にして原発で燃やすとしているが、地中に捨てる研究も進めている。


 かつて米ホワイトハウスで科学技術政策を担当したフランク・フォンヒッペル博士は「FBRは軽水炉よりずっとコスト高で信頼性が低い。50年にわたり10兆円以上投入されたが、商業化できた国はない」と指摘している。

 (桜井林太郎、竹内敬二)

 

「夢が悪夢」になって負担ばかり増えて、それでも開発を継続してきたのは利益を享受出来る連中がいたからだろう。
3000億円で廃炉出来れば安いものだと言う意見もあるようだが、そんな金額で収まるのか。
いずれにしろ1兆円を超える無駄金について、誰も責任を取らない。
この日本という国は不思議な国だ。