前回まで、ピッチングや投球腕トレーニングなどに入る前に
①姿勢のチェック(円背や側弯)
②肩や肩甲骨のメディカルチェック(肩関節の可動域や肩甲骨の位置)
③ゼロポジションのチェック
などが大切だということをご紹介してきました。
そして、ピッチングや投球腕PNFトレーニングなどを指導される方は、
①ピッチングの腕振りのメカニズム
②肩の構造やメカニズム(肩甲骨・上腕リズムや鎖骨・肩甲骨リズム)
③投球フォームと「野球肩」の関係
などを理解することが大切だということもご紹介してきました。
「野球肩」と同じく、多くの野球選手を悩ませているのが、「野球肘」です。
ピッチャーに限った症状ではありませんが、やはり投球動作による負担が大きく、時には選手生命を左右するほどの損傷になります。
そこで、今回は「肘の構造と痛みの発生の仕組み」にについて、摩季れい子学長の著書『野球選手の故障予防と投打のバイオメカニクス』から引用して、ご紹介いたします。
「上腕部と前腕部をつなぐヒジは、上腕骨・橈骨・尺骨の3本の骨でできている複関節で(図34)、関節の両側には側副靭帯が備わり(図35)、関節を安定させています。
曲げる(屈曲)、伸ばす(伸展)、内へ回す(回内)、外へ回す(回外)という動きに加え、ヒジからつながる筋肉によって手首、指の曲げ伸ばしも行っています。
図34 肘関節の解剖図(骨)
【右肘前方の図】
図35 肘関節の解剖図(靭帯)
【右肘前方の図】
ヒジの痛みにはちょっとした張りや違和感といったものから激しい痛みやしびれ、握力低下を伴う脱力感といったものまで程度には差があります。
痛む場所も主にヒジの内側、外側、あるいは後方の3箇所に分かれます。
スローイングの動きのように腕を鋭く振るとヒジの内側には引っ張る力、外側には圧迫する力が働きます。
このストレスが繰り返し加わると炎症から痛みとなり、さらに痛みに堪え続けて投げていればますます悪化していきます。
この時、ヒジの内部でどういうことが起こっているのかというと、靭帯が徐々に微小断裂を起こし、重症化すると断裂まで起こすケースがあります。
(一部省略)
ヒジの損傷としては靭帯に強く表れるものと、筋肉の付着部の炎症、剥離骨折や疲労骨折、あるいは軟骨の損傷といった形で表れるケースがあります。
通称「ネズミ」と呼ばれる障害もその一つで、はがれた軟骨が関節の隙間をネズミのように動き回ることで痛みを感じる症状です。
また、ヒジの痛みは肩の機能とも大きな関わりがあります。肩甲骨の柔軟性が損なわれた状態で投球を続けると、肩甲骨と上腕骨をつなぎ、ヒジの屈伸運動にも関わるヒジの伸筋群(三頭筋)の付着部にストレスがかかり、炎症を招くケースなどもあります。」
つづく
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ゲスト 松本幸大 元プロ野球選手
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