間違いなく母です｡私が子供の頃､母は虐待ママでした。毎日､毎日､私たち､妹が二人いたけど、みんな叩かれていました｡父親は建設関係の仕事で飯場に泊まっていることが多く､子供たちが殴られていることは知りませんでした。小学校6年生のとき、私は母親に殴られて､殴り返しました｡それから母は私に手を出さなくなりました。あるときなんか、道で妹が何回も殴られ､トラックの運転手さんが降りてきて止めたことがありました。今から思うに､母は精神を患っていたのだと思います｡発達障がいだったのではないでしょうか。母は親戚に行っては私の悪口を言い､家に帰っては親戚の悪口を言うのです。毎日毎日｡そうやって自分の同情を引くのが母の生き方だったのです。母は70代までは元気でした｡私ともしょっちゅう言い争いをしていました。相変わらず親戚に行って私の悪口を言っていたのだと思います｡母は80代になると一転穏やかになりました。私が｢人の悪口を言うな！｣と怒って大喧嘩してからは､人の悪口は､私の前では言わなくなりました。90歳で亡くなってわかったことがあります。母はいつもベッドで寝ていてばかりでしたが、家の掃除はこまめにやっていたようです。母がいなくなって､トイレや風呂や、家の回りなど、放っておけばすぐにホコリがたまり､汚れるんだということがわかりました｡それを長い間､母がいつもきれいにしてくれていたのです。なにもしない人だと思っていたが、それは私が間違っていました｡母は子供のとき､親の愛情を知らずに育った人でした｡だから子供に対する愛情のかけ方が分からなかったのでしょう。
今は､いつも心のなかで母に｢ありがとう｣を言っています。
