パドックに魅せられて

パドックに魅せられて

競馬歴45年。
馬ほど美しい動物はいません。

雪が融けて、閑散としていた、ここ美ケ原の別荘地も、続々と住民たちが戻ってきた。車は増え、夜には家に明かりが灯る。

だけど人々はなぜ雪に覆われた暮らしを選ばず、人で密集した暮らしを選ぶのだろう。

私の、雪に覆われた暮らしの感想を言うと、退屈の一言だった。やはりほかの人たちも同じ気持ちだったのだろうか。別に、雪に覆われてもテレビが映らないわけではないし(二度ほど一瞬BSが映らなくなったことがあったが)、外出できないわけでもない。道は凍結して徐行運転を強いられたが、コンビニやスーパーには行けた。ただ、暮らしが単調で、雪が融けるのをじっと待つ生活だった。それは気分的な問題で、アクティブな暮らしができない閉塞感とでもいえばいいのだろうか。東北や北海道の人たちは大変だなあと思った。ずっと都会で暮らしていたので、冬、たまに雪が積もると嬉しかった。だが、ずっと雪に覆われた暮らしは、正直つまらなかった。

年金生活になって、人生そのものがつまらなくなってしまったのかもしれない。いつか死ぬ。それまでの時間つぶしがつまらないのかもしれない。そのことを忘れるぐらい、何かに没頭できれば、雪に覆われた暮らしも楽しくなるのかもしれない。