いきさつは、こうだ。
僕には、揶揄以前に、一年来つき合っているミホというカノジョがいた。
いや、「いた」という過去形はふさわしくない。
揶揄に僕自身の身を強奪された今となっても、元のカノジョとは別れていないので、副カノジョという位置づけで現在も交際が途絶えていない。
そのカノジョに関する驚きの秘密を知ってしまい、僕はその日、ぼーっと散策していた。
散策路沿いの小学校から児童たちが水泳に興じる喚声が聞こえ、何の気なしに足を止めてしまい、フェンスに指をからめて、湧き立ち飛び散る水しぶきを、見るともなく視界におさめていた。
僕自身の名誉のために弁解しておくが、ロ リ コ ン ペ ド フ ィ リ ア 的な嗜好性向があって覗いていたわけではない。
朦朧としすぎていて、楽しそうな音に条件反射的にふらふらと反応してしまっただけなのだ。


教師っぽくない純白の短めなセパレートタイプの水着を着た、目の覚めるような美貌とスタイルを誇る女性教師が、僕を変質者と勘違いし、けたたましく笛を吹いて威嚇しながら近づいてきた。
彼女は颯爽とフェンスを乗り越え、凄い形相で僕を睨みつけて、僕より長身な体を誇示するように仁王立ちした。
僕はすぐに彼女が高校の同級生だった由々乃揶揄だと気づいたけど、黙っておいた。
彼女が小学校の教師になったことは知っていた。
よくもまぁこんなに適性に合わなさそうな仕事を選んだものだということで、あまりにも有名な話だから。
とはいっても、彼女に適した仕事が他に何かあるかと聞かれても答えに窮するのだが……。
揶揄は年齢を重ねて、アイドル並に奇麗でかわいかった顔にさらに磨きがかかっていたが、彼女の奥底に潜む人間性破綻ぶりが今でも変わっていないように直感し、できるだけ関わりを持たないほうがいいと判断したのだ。
それに、孤独を意に介していなかった彼女のことだから、同級生であっても僕のことなど知らないだろうと思っていた。


「ロ リ コ ン? それとも シ ョ タ?」
かすれて感情が少なめな声で、揶揄に詰め寄られた。
「いえ、ちがうんです……すみません……ぼーっと歩いていて、にぎやかだったからつい立ち止まってしまっただけでして……先生が誤解してるような趣味で見ていたわけではないんです……まさか警察沙汰とかには……」
しどろもどろになっていると、揶揄は突如顔を赤らめ、おもむろに僕のメガネをはずして息がかかるほど顔を寄せて、
「かわいい……」
そうつぶやいて、一瞬の後、
「あー!!!!!!!!!!!!!!!!!」
唾をぴしぴし飛ばして絶叫しながら目を剥き、
「尾奈くん!!?? 尾奈覗夢(おな・のぞむ)くん?」
ばれた。
僕の顔と名前を知っていたなんて、なんとなく意外だった。
「ごめんなさい。覗き魔かと思った。あ、でも、覗夢って名前、夢を覗くって書くんだよね。やっぱり天性の覗き魔なのかな。まぁいいわ」
それから冷静な顔で、急に吹き出した突風に長い黒髪をはためかせながら、
「つき合って」
「……?」
「男女交際して」
いきなり話を跳躍させた。
「え!? 偶然再会して、いきなりそんな! しかもこんな状況で?」
「告白はしなかったけど、昔、好きだった」
急に言われても、にわかには信じられるわけがない。
「本気にしてないようだね。それでは、どれだけ私が尾奈くんを好きだったか、アピールさせて。尾奈覗夢(おな・のぞむ)。昭和**年*月**日生まれ。血液型Rh+O型。実家は**県***市**町**の***番地。家は築18年で、ご両親が1900万円で購入。家族構成は、両親と姉・妹がそれぞれ一人。父親の名は政人(まさと)。化学繊維関係の会社の営業部次長。母親の名はスミレ。ダイレクトメールを発送する会社で事務のパートをしている。二歳上の姉、由加里(ゆかり)は地元の聖ケアレス女子短大を卒業後、大根銀行に勤めている。美人なのに気位が高くなくて優しい人なのになぜか良縁に恵まれず未だ独身。妹の縷々亜(るるあ)は優等生の皮をかぶって陰では 変 態 ヤ リ マ ン だったけど、今はすっかり落ち着いてプロの砲丸投げ選手と入籍間近。尾奈くんに話を戻すと、小学四年生の夏休みの宿題の『紀行文による児童読書感想文コンクール』で佳作を受賞。賞品は鉛筆一年分。六年生まで習っていた習字は準一級。同じく六年生まで所属していたソフトボールチームではいつもは補欠だったけど、たまたまインフルエンザで試合に出れない人が多発したおかげで出場できた試合で、三打数二安打、守っては二塁手として好判断でトリプルプレーを成立させるなど、大活躍した。中学二年で『鬼瓜新聞社杯全国中学生絵画展』入選。その時の絵のモデルは隣の席だった関口くん。高校三年生の六月に英語検定二級合格。好きな食べ物はきんぴらごぼう、嫌いな食べ物は豚肉の脂身。身体的特徴としては、右足の親指と人差し指の間に三日月の形をしたホクロがある。体臭は薄い。得意科目は古文と漢文で全国でもトップクラスだったけど、数学的能力は皆無。高校時代につき合っていた久野由美里(くの・ゆみり)とは卒業前に別れた。交際期間は一年と七か月。彼女は現在は地元の歯科医の奥さんに……」


……僕自身でも忘れている姉の名前とか過去の受賞歴とかソフトボールの試合のこととか、姉妹の近況とか、どれだけ知っていたら気が済むんだよ…………怖い……もうやめてくれ……

クレアの生涯 配下の物語 『絵炉人魚』



メルヘンさんが垂れていた釣り糸に人魚がかかった。
見事なプロポーションの美しい女人魚の、人間でいえば 股 間 のあたりに釣り針が食いこみ、
「あ、あう、あ、はあん……」
痛がっているというより、気持ちよさそう。
人魚はとろーんとした、もっといろんなことをしてほしそうな目でメルヘンさんを見た。
「私は レ ズ の趣味はないの」
メルヘンさんは釣り糸を切って人魚を遺棄した。

♪ テレポート テレポート
    都合が悪くなったら きみのいない星に行くの…
          ~『テレポート・テレポート』


暗くはないのだがそこはかとない哀感を帯びた単調なメロディラインと、ぱしんぱしんと打ちつけるようなシンセサイザーのサウンド。
アンプ代わりに小さなラジカセを大音量にしていて、音が割れててしかもハウリングまで起こしているところがB級以下の印象を強調している。
べっとり甘ったるくて気持ち悪い成分を多分に含んだ媚び声と、聞き覚えのある感じの少々かすれたような無機質な声が混ざった歌は、絶対に上手くはないのだけど味がある。
歌以上に下手なのだが芳醇な味わいのあるダンスも披露している二人は、どちらもとてもかわいいのだが、年齢はともに二十代半ばは確実に過ぎている。
遅咲きすぎるのか下積みが長すぎるのか、この年頃で成功するのは難しいとも思えるが、昨今はアイドル寿命も延びてきたことだし、悔いが残らないまで頑張ってみるのも人生也。
お揃いの衣装はきわめてチープで、黒と黄色のビニール袋を切り貼りして自作したとしか見えない、腋の下から臍の上10センチまでを覆うぺらぺらなコスチューム。
下半身は同素材によるミニスカートで、その下はさすがにビニールではないだろうけど同じような色と光沢のパンツが時々ちらちら見える。
売れていない貧乏人はまともな衣装を買えないのだろう。
それでもメンバーの質はアイドルを目指しているだけあって、やはり素晴らしい。
一人はアイドルとしてはかなり長身で、すべすべの太ももが眩しい、ほぼ完璧なプロポーション。
まっすぐで長ったらしい黒髪をはらりふわりと揺らしながら踊る様もセクシーだ。
もう一人は頭ひとつ分以上小柄だけど乳がとんでもなくでかい、ギャップが魅惑の 巨 乳 ロ リ ロ リ。ただし年齢は ロ リ でないけど。
ショートボブが快晴の空みたいな色に染め抜かれているのが薄ら寒いが、これは非現実感の演出なのだろうから批判するつもりはない。
そんな彼女たちの前で、僕の時間は止まった。
しかしながら、ひととき僕がねずみみニンフェッツを忘れて見入ってしまった理由は、こむラブさんたちがかわいいからでもいい体をしているからでも、ましてや音楽に聞き惚れたからでもない。
でかいほうのメンバーと僕に、特別な関係があったからだ


両腕を上げて奇麗な腋の下を露わにして、くるくる回転。
くるくるの途上のほんの一瞬、斜め横から凝視していた僕と、長身なほうのメンバーの視線が真正面からぶつかった。
瞬時、彼女はただでさえ大きめな目をさらに三倍の大きさに見開いて驚いたような顔をしたが、回転を終えて再び目が合った時には、元の笑顔に戻っていた。
僕はと言えば、自分でも口がぽかーんと阿呆みたいに開いたまま戻らないのがわかった。
しばらくそのままで動けず、彼女たちの歌も左の耳から右の耳へと抜けるだけだった。


やがて、舞台も椅子も照明設備も空調も備えた立派なホールの開場時間が近づき、オーディエンスたちは散って行った。
僕一人、蛇に睨まれた蛙のように、足がすくんで動けなかった。
胸部が激烈なほうの人がふぅっと寂しそうにため息をつき、ラジカセのスイッチを押して音を止めた。
閑古鳥と枯れた風だけが支配する空間に、みくちゃんに握手とつんつんをしてもらいに行くのも忘れて、僕だけが残っていた。
「ふふっ、ばれたか……」
首をちょこんと傾けて舌をぺろっと出したのは、由々乃揶揄(ゆゆの・やゆ)。
舌を出す仕草がぎこちなくて、さまになっていない。
顔はどんなにかわいくても、彼女の人間性を少しでも知る者にとっては、これほどまでにかわいらしい仕草が似合わない人はいないと感じるどころか、不気味でさえあるのだ。
年齢は二十七歳で、本業は小学校の先生。
彼女に関してなぜこんなに詳しいかというと、マイナーアイドルのオタクだからとかではなくて、彼女が高校の同級生であり、つい最近、久々の再会直後に青天の霹靂のように男女交際することになったからだ。

『こむラブ』


  患  者



フ ェ ラ が丘国際文化ホール前の公園。
ここは大通りからホールへ入る人々が必ず通らなければならない場所であり、未来を夢見る未だ売れていない無名アイドルどもの主戦場でもある。
ホールで「成功したアイドルたち」のコンサートやイベントが行われる日に、そのお客さんをターゲットとして何組もの下層アイドルないしはアイドル予備軍による玉石混交のゲリラライブが繰り広げられるのは、すっかりここの風物詩となっている。
奴らは皆、有名アイドルたちからあわよくばファンを奪い取ってやろうと企てているのだ。
今日はホールでは昨年末にデビューして、僕の中では今年最大の注目株である『ねずみみニンフェッツ』なるグループの握手会が行われる。
一様に気が弱そうでふにゃふにゃした女の子十二人が、ネズミのをデフォルメした耳を頭につけることによって強い女の子へと変身変質改変して キ チ ガ イ 沙汰とも見えるほど激しい歌とダンスを繰り広げるというのがコンセプトの、それはそれはキュートでポップで蠱惑的なグループだ。
時々MC中に耳を外されて、急に気弱で恥ずかしがり屋でドジな女の子たちに戻ってしどろもどろしたりする様子もたまらない。
ルックスも手が届きそうな範囲での上級だという手頃さもあって、人気急上昇中。
今日のイベントは、CDを購入した者が一枚につきメンバー一人と握手のみならず耳の先っぽでつんつんしてもらえる仕組みであり、相当な集客力が予想される。
かく言う僕もその一人で、ねずみみ十一号の栗戸みく(くりと・みく)ちゃんにもてあそんでもらうためにここに来たのだ。
そういうわけでここでゲリラライブを行う輩もいつもに増して多く、あっちこっちで人だかりができている。
そんな有象無象の中の一組、『こむラブ』なる女性二人組のレトロなテクノアイドルユニットの前で、僕は思わず足を止めてしまった。

クレアの生涯 配下の物語 『こいぶみ』



ある淑女がとある紳士に恋文を贈った。
『お慕いしています。交際願います』
それに対して、
『いいよ! 毎日 フ ェ ラ チ オ してね!』
……淑女は毎日 ア ナ ル を舐めるつもりでいた。
フ ェ ラ チ オ よりも、ア ナ ル を舐めるほうが好きだったのだ。
趣味が合わないので、せっかく叶った恋を断念した。
という、昔話。
「この話を聞いてもったいないと思う人は、僕らの仲間に入れられないね」
インダス坊や一味が、メロンジュースをちびりちびり飲みながら談笑した。

『葛藤迷路』



もう セ ッ ク ス しないで絶対に生き延びてやる、と誓っていた。
だが、扉を開けるとまたひとつ、絶望が万砂吽托(まずな・うんたく)にのしかかった。


還暦を過ぎているのに外見が ロ リ ロ リ ロ リ ロ リ している「性を熟知した童女」との濃密な一戦を終えて次の部屋の扉を開けると、むんとした別の体臭が流れ込み、その向こうで お っ ぱ い のお化けみたいな女が媚態を振りまき手ぐすねを引いていた。
あまりにも 巨 乳 すぎて、お っ ぱ い に首や胴体や手足が生えているようにしか見えない。
山のような お っ ぱ い の彼方に、不自然なほど均整のとれた美しい顔がちょこんと付着している。
「お願い、気持ち悪がらないで、犯して……」
美しい顔の薄い唇から誘いの声が漏れた。
女は泣いていた。
明らかに畸形なのだが、これはまたとんでもなく凄いのが現れたものだ。
こんな機会は二度とないだろう。
セ ッ ク ス しないわけにはいかない。
無視して通り過ぎれば、生存の可能性が増すことはわかっている。
だが、今まで通った幾つもの部屋で、吽托は我慢できずに生命を削り落としてきた。
そしてここでも、すでに限界を超えているであろう ち ん ぽ が、それでも新たな視覚と嗅覚に喚起させられてむくむくと肥大するのを、我ながら浅ましいと思いながらもどうしようもないと諦観した。
もう一度だけ……
最後に、この途轍もない相手とだけ……
フラフラと歩み寄り、それでもしっかりと、何人目かもわからなくなった女に、吽托は挑みかかった。


***


広大などという安易な形容ではとても追いつかない規模の超豪邸。
蜂の巣状に幾百もの部屋が並んで、巨大に錯綜した迷路を織り成している。
万砂吽托はとある罪行の懲罰としてこの屋敷に軟禁され、飲食物を与えられぬまま、出口を求めて彷徨している。
生きてゴールにたどり着ければ罪を赦されて解放されることになっている。
迷路みたいだとはいえ、無限の大地に築かれているのではなく部屋数には限りがあるのだから、普通であれば攻略はそれほど難しくないはずだ。
だがここには罠が、常軌を逸した、しかも魅力的で自ら進んで絡め取られたくなるような罠が部屋の数だけ仕掛けられていて、吽托の脱出を厳しく阻んでいるのだ。
全ての部屋にはそれぞれに美しかったり優れた肉体を持っていたり、ヤ リ マ ン 的魅力を備えていたり、不細工だけどそれがかえってそそられるタイプだったり、フ リ ー ク ス 的で興味をそそられる体をしていたり……ありとあらゆる種類の、セ ッ ク ス 向きの女性が、女郎蜘蛛の蜘蛛みたいに吽托を待ち受けている。
そして、彼女たちを自由に犯すことが許されているのだからたまらない。
吽托が セ ッ ク ス の誘惑に抗して、体力を損耗し尽くさずに生きて出ることは至難の業ともいえるだろう。
万砂吽托にこんな奇妙な刑罰が与えられた理由は、処罰者の祖先が吽托の祖先に恩を受けているからだ。
だから、死刑に処すにしても、先祖の恩に報いて壮絶な 快 感 を与えた末に、自ら死を選択させよう。
『祖先の恩』⇒『祖先』⇒『生 殖 で血脈が連なっている』⇒『生 殖』⇒『セ ッ ク ス』
こういう連関で、セ ッ ク ス にまつわる罰を下すことにしたのだ。


***


万砂吽托はここに至るまでにすでに相当数の セ ッ ク ス を繰り広げてきた。
短時間でこんなに多くの 射 精 をしたのはもちろん初めてで、海 綿 体 は疲弊して破れ、精 子 母細胞はとっくに枯渇して 睾 丸 内の 残 滓 をどうにか搾り出しているだけの状態なのだが、それでもまだ 勃 起 するのは、それだけ途方もない相手が次々に出現し、しかも キ ワ モ ノ 度がどんどん増してきて興味も 欲 情 も尽きない仕組みになっているからだ。


魔物じみた乳の女にのしかかって お っ ぱ い にしゃぶりつくと、大きすぎて柔らかすぎる 乳 肉 に顔が埋まり、溺れて窒息しそうになった。
普通にもてあそぶことが無理だとわかったので、吽托は乳の重さのため寝転がることしかできない女の傍らに膝立ちになり、小児の体ほどもある方乳を両手で抱きかかえ、拳ほどもある 乳 首 を口いっぱいに含んでちゅうちゅう音を立てて吸いながら、ち ん ぽ をこすりつけた。
こんなに大きくても神経が鋭く通っているらしく、女は お っ ぱ い をぶるんぶるんさせながら身悶え、揺れのたびに吽托は弾き飛ばされそうになった。
「う、うぅ……お ま ん こ にも、おなさけをかけてください……」
女が懇願したが、吽托は暴れ者の お っ ぱ い を支えてもてあそぶのに精一杯で、お ま ん こ にまでは手が回らなかった。
どうにかしてやりたかったが、かなりアクロバット的な 体 位 でなければこの女には挿入は無理だ。
吽托が諦めるのと同時に、射 精 の靴音が近づいてきた。
吽托は女の お っ ぱ い を ち ん ぽ に向けて捻じ曲げて、乳 頭 に ち ん ぽ を挿した。
とっさの思いつきでしたことなのだが、異形の乳 ま ん こ は、お ま ん こ と同等か、それ以上に気持ち良かった。
「あ、あ、だめっ、だめっ、ザ ー メ ン は、お ま ん こ にっ! お ま ん こ を! お ま ん こ を!」
女の叫びが虚しく響く中、吽托は お っ ぱ い の奥に 精 液 を漏らした。
射 精 というような猛々しいものではなく、まさに「漏らす」あるいは「滴らせる」と表現するのが相応しいものだった。
乳に埋まって見えなかったが、スポイトでシャーレに薄い溶液を垂らすような、そんな 射 精 だった。
吽托は ち ん ぽ を抜き、なおも お ま ん こ お ま ん こ と叫ぶ女を放置し、次の部屋への扉を選んだ。

クレアの生涯 配下の物語 『失敗女神』



お ま ん こ が濡れすぎて困る女がいた。
彼女が住む地方は水不足に陥ることが決してなく、農作物は豊穣に実った。
インダス坊やの設計により、彼女の お ま ん こ にホースを取りつけ、湿りの一部を別の地域に移した。
水路を変えるのは危険だ。
これが裏目に出て、彼女の住む地方の水量が激減し食循環が滅びた。
インダス坊やは人民に石を投げられ、ほうほうの態で逃走した。
夜明けは近かった。

さっきまで俺が座っていた場所に、男が座っていた。
大きな灰色の顔をした、座高の高い、若い男だ。
姉の知り合いかと思いながら近づくと、ぼそぼそと地味な声で、
「……お願いだやらせてください、こんないい体を見せつけて挑発する貴女に落ち度があるんですよ、ああ、いたいけな男の前で無防備な体をひけらかしたりして、貴女にはやらせる義務がある、見せるだけ見せておいてやらせてくれないなんてひどすぎますよ……云々」
口説いてる!
そして気づいたのだが、男の斜め後ろに男たちが列になって立っている。
その数、十数人。
風体も年齢も雑多で、それぞれが知り合いというのでもなさそうだ。
想像するに、口説きの順番待ちをしているのだろう。
前の男が挫折したら、次にアタックする……。
それに対して姉はどう思ってるのか? と、見てみると、姉は肉を焼く網を見つめて、相変わらずぱくぱくとホルモンを口に放り込んでいる。
男をちらりとも見ないどころか、声が届いているかどうかすら怪しい。
男の口調に苛立ちが現われてきた。
「……ねえ黙ってないで僕の話を聞いてくれ、やりたいんだ、貴女みたいな素敵な人と、貴女みたいなぶっ飛んだ人と、やりまくりたいんだ、可愛がったり可愛がられたりしたいんだ、僕のナニは大きいぞ、絶対後悔させない、あ へ あ へ 言わせる自信はある、宇宙の果てまで連れてってやる、貴女が望むなら今すぐこの場でぶち込んでもいい、貴女は 露 出 狂だから セ ッ ク ス も他人に見られたほうが興奮するんだろ、見てくれる人が多ければ多いほどいいんだろ、僕も同類なんだ、正確にはたった今同類になったんだ、とにかく ち ん ぽ を見てほしい、気に入ってもらえるはずだ、あぁん貴女みたいな ビ ッ チ 大好きだ、これほどまでに素敵な ビ ッ チ は滅多にお目にかかれないからどうしても貴女を手に入れたいんだ、お願いしますわかってください、うおお、やらせろお、やらせてください、金は……ないけど、ち ん ぽ はでかいよ、でかい ち ん ぽ は人類の宝、貴女も欲しくないですか、欲しいでしょう、やらせろ、そのホルモンみたいに口でむぐむぐしてもいいんですよ、美味しいよお」
男はしつこく食い下がる。
次第に浮かんできた汗がテーブルに滴り、俺用のタレに垂れる。汚い。
お前なんか相手にする気がないってことぐらいわかるだろ。あっちに行けよ! と言ってやりたかったが、男が肉切りバサミをいじくっているから、言えなかった。
変な奴だから、いきなりじょきじょき切りつけられかねない。
やがて男は業を煮やしたらしく、表情と鼻息を荒げて、
「おいお前、頭のイカレた糞女にお情けで声をかけてやってるんだぞ、何か言え!」
上ずった声で怒鳴った。
姉は、初めて男に一瞥を与えた。
それから、大きく膨らんだ腹をさすりながら立ち上がり、おいで、と手招きするように手を振った。
そして、喜色を表して姉にふわっと寄りかかった男に、
ぐぶぼっ!!
くぐもった音を立てて、パンチを見舞った。
姉の拳が男の腹に埋まり、背中がギャグ漫画みたいに拳の形に突き出た。
男が巨大なレバーを吐いて倒れた。
ここで食ったものなのか、それとも男自身のハラワタなのかは……考えたら俺にまで吐き気が伝播しそうなので、見なかったことにした。

『葛藤迷路』



扉を開けると、むんとした別の体臭が流れ込み、その向こうに 全 裸 のとてつもなく 巨 乳 な女が媚態を振りまいて手ぐすねを引いていた。
「あぁまた魅力炸裂な女が……」
無視して通り過ぎれば、生存の可能性が万砂吽托(まずな・うんたく)に一歩近づく。
だが、今まで通った幾つもの部屋で、吽托は我慢できずに生命を削り落としてきた。
そしてここでも、すでに限界を超えているであろう ち ん ぽ が、それでも新たな視覚と嗅覚に喚起させられてむくむくと肥大するのを、我ながら浅ましいと思いながらもどうしようもないと諦観した。
フラフラと歩み寄り、それでもしっかりと、何人目かもわからなくなった女に、吽托は挑みかかった。


***


広大などという安易な形容ではとても追いつかない規模の超豪邸。
幾百もある部屋が巨大に錯綜した迷路を織り成している。
万砂吽托はとある罪行の懲罰としてこの屋敷に軟禁され、飲食物を与えられぬまま、出口を求めて彷徨している。
生きて外に出ることができれば罪を許されて解放されることになっている。
部屋が幾百もあるといっても限りはあるのだから、普通に考えれば生還は容易だと思われるだろう。
だがここには罠が、常軌を逸した、しかも魅力的で自ら進んで絡め取られたくなるような罠が部屋の数だけ仕掛けられ、吽托の脱出を頑なに阻んでいるのだ。


各部屋には六方に扉があり、蜂の巣状の迷路を形成している。
闇雲にでもどんどん進んでゆけば、さほど体力を消耗せずにゴールにたどり着けるはずだ。
だが、全ての部屋にはそれぞれに美しかったり優れた肉体を持っていたり、ヤ リ マ ン 的魅力を備えていたり、不細工だけどそれがかえってそそられるタイプだったり、フリークス的で興味をそそられる体をしていたり……ありとあらゆる種類の、セ ッ ク ス 向きの女性が、女郎蜘蛛の蜘蛛みたいに吽托を待ち受けている。
そして、彼女たちを自由に犯すことが許されているのだからたまらない。
吽托が彼女たちの魅力に抗して、体力の損耗を抑えて生きて出ることは至難の業ともいえるだろう。


考えようによっては素敵な刑罰
罰を下した人物は、祖先が吽托の祖先に恩を受けている。
だから、死刑に処すにしても、いい思いをした結果として死を授けよう
『祖先の恩』⇒『祖先』⇒『生殖で血脈が連なっている』⇒『生 殖』⇒『セ ッ ク ス』
こういう連関で、セ ッ ク ス にまつわる罰を下すことにしたのだ。