「呪われし地にようこそ!」
「血に飢えたる煉獄での再会を祝す」
「安寧の地より帰還し次なる犠牲者たらんことを志願した尾奈の蛮勇を称えん!」
「貴殿こそが次代の新天地の指導者となるかもしれぬ」
……
半年ぶりに再転入でこの学校に戻ってきた尾奈は、旧友たちからのおどろおどろしい祝福に両手を振って応えた。
ここを舞台にして隔週ペースで戦慄の出来事が発生していることはマスメディア等によりもちろん知っているが、意外に恐怖感や緊迫感は感じなかった。
旧友たちの様子が立て続けに恐ろしい事件が勃発しているにもかかわらず案外淀んでいなくて乾燥気味なのと、もう一つ、隣の席の美人かつ胸のでかい人物の放つ芳香が別の方向へと心を騒がすおかげだ。
隣席の女の子は、真っすぐでつやつやの長い髪に濁りのない白肌、顔立ちは大人っぽくてなおかつ清楚だけどあまりに整い過ぎているためツンと冷たく見え、高嶺の花っぽいオーラを鎧のように身にまとっている、目を見張るような美人だ。
表情の変化は乏しく、黒目がちの目は大きくて澄んでいるが常に眠そうに虚空に向けられ、アンニュイなムードを漂わせている。
背が高くて手脚が長く、決して太ってはいないが適度にむちむちして気持ちよさそうな体をしていて、とりわけ胸がばかでかい。
これ見よがしに 肉 感 的 な肢体に作為的っぽい清純さと蠱惑的な気配を併せ持つ、まさに セ ッ ク ス・アンドロイド。
名前は淡島二菜という。
「あ、あの……あわ、あわしま……になと申します……よろしく、お願いします」
という、肉 感 的 高嶺の花のイメージには不似合いなふにゃふにゃ声での気弱そうでたどたどしくおどおどした挨拶を聞くまでもなく、彼女が、尾奈が半年前に一身上の都合により遠隔地へ転出することを余儀なくされたのとほとんど入れ違いに転校してきたと風の便りで聞いていた「絶世に近い美女」だということに気づいていた。
クラスの面々の中で、尾奈が唯一見知らぬ顔だったのみならず、彼女が心底美人だったから。