伏見稲荷大社 お茶屋(京都市伏見区) | 三日月の館

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境内図。

神楽殿の裏にあって本殿と共に国の重要文化財に指定されているお茶屋。

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通常非公開であるが、今夏特別公開がありました。
拝観料800円をお支払いして入る。
この玄関は松の下屋の玄関。

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お茶屋へ。

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お茶屋の玄関。

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伏見稲荷大社(以下、「当社」)の「お茶屋(重要文化財)」は、躙口(にじりぐち)をもたない所謂貴人好みの茶室・書院式茶室の遺構とされている。

その創建は詳らかではないが、16世紀末乃至17世紀初頭のものとされていて、寛永18年(1641)に後水尾天皇より、院の非蔵人として仕えていた当社目代羽倉延次に下賜されたものである。

もとは「仙洞御所」に存したと伝承されて来たが、実は当時の御所の造営関係記録や各種資料より勘案して、「御所の古御殿の一部」を賜わったとする方が妥当であろうと、当社「御茶屋修理報告書」は記す。

かくて、下賜された建造物は解体の上搬送、延次邸へ移建。

寛永20年9月15日「書院披露」のことを、当社の中社神主であった毛利公慶の日記に見る。

目代家日記慶安5年(1652)5月28日条に、後陽成院の稲荷大明神神号軸を床に掛けたとあるが、これは恐らく当書院のことであろう。

下って天明8年(1788)の絵図に、この書院(座敷)をもって、「後水尾院御茶屋」と記されている。

身舎(もや)・玄関・車寄はすべて単層で、屋根は入母屋造り、腰葺(鞍部は桟瓦葺、腰廻りは桧皮葺)、軒は一重疎樺(まばらたるき)、小舞打ちで内外長押付き、妻飾りは木連格子、懸魚付き、総素木で、随所に飾り金具を打っている。

正面に張り出た一畳の本床、その左手に違い棚・右手の花頭窓のある書院を構えた上の間は七畳で、続いて菱格子の欄間を境に八畳の下の間がある。

床・棚・書院を一箇所に集める空間構成は、書院造りの基本があって、茶室と云ってもかなり堅い意匠で、貴人好みらしい格調の高さをもっている。

もっとも、現状のすべてが拝領以前の規模を伝えているものではないが、竹の子面のある床柱など、上の間の主要部のみに用いられている面皮柱は創建時のものと推定され、桂離宮中書院などに代表される数寄屋造りの先駆的デザイン要素とされている。

したがって、単に茶屋としての価値以上に、書院造りが数寄屋造り化していく過程を示す重要な遺構である。

なお、上の間とその北側の広縁とを仕切る四枚の板戸内側の襖の墨絵は、狩野探幽筆中梅竹図、正面違い棚上部の戸袋襖2枚は、狩野永徳筆金地設色草花図と、(西)羽倉家では伝承されてきた。

(「拝観の手引」より)

 

内部は撮影禁止だったので、外観のみ撮影。

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お茶屋に付属して建つ松の下屋。
旧当社秦姓祠官松本家の居宅の跡で、建物は大正年間のもの。

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正面から見る。

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松の下屋の前にある回遊式庭園。
稲荷山三ヶ峰を借景としているらしい。
奥に茶室「瑞芳軒」がある。

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松の下屋、庭園、お茶屋を見る。

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次回の特別公開が待ち遠しいお茶屋でした。

 

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