錬金術師の名前 | 古典技法額縁制作修復 KANESEI

錬金術師の名前

 

ホカホカマリア様?」でお話したイタリア語の単語「Bagnomaria」(湯煎)のつづき。

気になって追及しましたが、ご興味あればぜひ。

 

湯煎は古典技法絵画だけではなく、いちばん使われるのはお料理の分野でしょうか。チョコレートを溶かしたり卵を少しずつ加熱したり。

イタリアに料理修行に来られる方も沢山いらっしゃいますので、きっとこの「Bagnomaria」に「はてな❔」と思われた方は沢山いらっしゃるのではないかと期待しております。

 

さて、わたしの手持ちの伊伊辞書をまず引いてみます。

 

▲イタリア語によるイタリア語の辞書。Novitaとあるが古い・・・

 

 

「容器に入れたものを熱湯に浸す。加熱する。」ですって。

いや、そりゃ分かっておるのじゃよ・・・!語源が載っているかと思ったのだけど。

 

次なる手段、イタリア人に聞く。

そうしましたところ、こんなスクショが送られてきて「わたしも知らなかった」ですって。まぁこんなこといちいち気にするのは我ながら煩いと思いますからね、ハハハ。

 

 

「この言葉の元はおそらく、モーセの姉で錬金術師のMyriam (ミリアム;ヘブライ語のマリア)に由来しており、この調理法を初めて使ったのがミリアムとされている。”マリアのお風呂”と呼ばれる調理法。」

つまるところ、モーセの姉が「わたしが開発したこの方法、わたしの名前を付けるべし!」だったのかも?という伝説・・・へぇえええええええ!

Maria は聖母マリア様ではなくて、もっと古い旧約聖書の時代のMaria (Myriam) だったのでした。

 

これにて一件落着!ついでに etimologia (語源、語源学)という単語も知ることが出来て一石二鳥。

モーセの姉がミリアムであり、ラテン語でマリアになる。これも初めて知ることが出来ました。一石二鳥、いや四鳥で友人には感謝でございます。

 

モーセの姉ミリアム。弟のモーセが十戒の石板を掲げている横で、大きな焚火に大鍋をかけて何やら怪しい薬草やら鉱物を湯煎でグツグツ・・・「フフフ!これぞ新しい技法、わたしが発明したのよ!」と呟いていたりして。変な風景を想像しています。