イタリアへ
2月16日から1か月間、イタリアへ行って参ります。
ここ数年は毎年この時期にイタリアへ行き、会いたかった人々、見たかったもの、行きたかった場所、食べたかったもの等々、欲望を満たすことに勤しんでいます。この時間があるから制作が出来ている・・・と思っています。
アウトプットして中身が空っぽ状態の今、イタリアでじゃんじゃんとインプットする所存です。
毎度のことではあるのですが、イタリアへの出発間近になりますと何故か「行きたくない症候群」を発病します。自分で行くと決めて準備したくせに。だれも行けと言っていないのに。先取りホームシック。
でもまぁ当然ながら、着いてしまえば楽しく嬉しく過ごすのです。それが分かっているから出発できるのです・・・。
例年ですとブログを書き溜めて投稿するのですが、今年は帰国後までお休みすることにいたしました。
とは言え!
3月後半には必ず再開いたしますので、その際には変わらぬご贔屓をお願い申し上げます。
イタリアで得たものを制作に生かす、そして皆様に見て頂けるよう。
行って参ります。
一歩進めた額縁
何時作り始めたか記憶も定かではない「果物ぐるぐる額縁」は、昨年12月半ばに石膏をようやく磨き終え、また1か月半放置。
作業部屋で埃を被りながら、じっとわたしを見つめてくる額縁・・・(もちろんわたしの妄想ですが)、もうその視線に耐えられない!と箔貼りを決行しました。
やるべき作業は他にあります。分かっているけれど。
ここからコッテリ古典技法の話になります。
▲石膏下地で放置された姿。無言でわたしを責め立てる。
赤色ボーロを全体に塗りました。彫刻で凹凸の深い場合は黄色ボーロを塗ってから凸に赤ボーロがセオリーですが、今回は赤のみです。
▲すこし厚めに塗りました。
普段は4号箔を使っていますが、思い立って秘蔵の3号箔を貼ることに。
ここ最近の金相場の上がり様には仰け反るばかり、4号箔と3号箔の価格の差も結構なものでして悩ましい。
ですが、しばらく4号以外の金箔を扱っておらず、もしかしたら近々に1号箔というもう少し純金に近い箔(23.7カラット等)を使う機会があるかもしれず、気休め程度の練習も兼ねて3号箔をば。
ちなみに1号箔のさらに上に純金箔24カラットもあります。1号箔と3号箔は2%程度しか金の量は変わりませんが、3号より1号のほうが赤味が強くとても柔らかい。作業の感覚も変わるのです。
さて、そんな訳で3号箔を引っ張り出して貼ります。貼るというか、金箔で包む感じでしょうか。
▲一番高い場所から貼り始める。
▲3時間かかってここまで(遅い)。側面は翌日に貼り終えました。
作業部屋か寒いので、メノウ磨きは居間の床暖に座ってガサゴソ。
さぁ、磨き終わりです。
▲金の反射でなにがなんだか。
今回は中央の彫刻無し部分と、ねじねじリボンの内側は磨かずに艶消しにします。すこし変化を付けてみる。
さてさて、残すは古色付けを残すのみ。ここからまたしばらく時間が空きそうです・・・。
天の采配か?
昨年から作り始めた楕円形の額縁、作るのも楽しく、お客様からも「楕円の額縁を探していたけれど中々気に入ったものが見つからなかった。やっと手に入って嬉しい。」とのお言葉を頂戴して、わたしも喜んでおります。
問題は木地の入手が難しいこと。
楕円ってバランスが難しい、需要が少ない、材料に無駄が多く出る等理由はあるのです。
昨年使っていた木地は友人がフィレンツェで手に入れてくれたものですから、もったいなくて使えない&ご注文を受けるのも難しい(サイズが選べない)という問題が。
▲秘蔵の楕円木地。残り僅か・・・
そして一念発起(大げさ)しまして様々探しましたところ、ようやく楕円形額縁の木地を販売するイタリアの会社をオンラインで見つけました。やったー!
おまけに裏板とガラスもあるのです!これまたバンザーイ!
楕円型額縁制作の課題の一つがガラスでした。普段はアクリルガラスを自分でカットしますが、楕円に切る苦労と言ったらもう。もちろん工具があれば簡単ですが、わたしの場合は手切りですので、小さなアクリル板を楕円に切り出すだけで1時間はかかってしまう!
ひとまず最小サイズから30センチ弱まで7種類を注文しました。Paypal決済ができて日本までの発送も可。
今回はイタリア在住の友人宅へ発送してもらいました。発注から3日後には到着!素晴らしい・・・!訪伊時に受け取って持ち帰る予定です。
日本へ配送をお願いした場合は・・・もしかしたら購入価格より送料が高くなる可能性もありますが、まぁ、友人と共同で買うとか、大量にストックしてじゃんじゃん作るとか、また改めて考えます。
最近やる気がないなどとブツクサ言っていたから、天が「じゃぁこれでどうだ」とばかりに楕円木地をくれたのな、つまり「怠けてないでどんどん作れ」という天の采配かな、とふと思ったりして。
それでどうするのぉぉ~
先日、友人に差し上げるお菓子を選ぼうとデパ地下に参りました。
「はて和か洋か、甘味か塩味か・・・」と楽しく迷いながら歩いておりましたら、ふと目に留まってしまったのでした。ラデュレの小箱が・・・!
▲蓋と身の絵柄がずれていて恐縮です・・・
な、なんちゅーかわいい箱じゃろか。
友人用に、とか言いつつちゃっかり自分用にも買ってしまいました。この際、友人の好みかどうかなど飛んで行ってしまいました。恐るべしラデュレの箱。
▲サイズは手のひらに乗るくらい。
中には金平糖。3種類あって、これはライチ味でした。金平糖としては珍しい味ですね。そしてとても美味しかったのでした。
ちなみに他のふたつの箱は黄色とピンク。味は覚えていません・・・なにせメインは箱なのであります。
▲うっすら透明感のある艶消し純白の金平糖が、すこし入っていました。
帰宅後に家族に鼻息荒く「見て!かわいい!!」と見せびらかしたところ
「・・・箱ぉ?・・・それでどうするのぉぉ・・・?」ですって。暗に「また箱⁉」と言いたげな。
そうです、美しい空箱がいくつもいくつも溜まっている。その上で自分でも小箱を作っちゃうのですからね、我が家にいったいいくつの空箱がある事やら。
どうするのぉぉ?って、そうですねぇ、どうもしないですよぉぉぉ・・・眺めて終わり。手元にあることの喜び、でしょうか。
毎度痛いところを突く家族。でも「おいしい金平糖だねぇぇ」と言い、翌朝にはしっかり
保存容器に入れてくれていたので(わたしは箱が手に入ったら中身は忘れてしまうので)、ありがたや!と思っております。
ラデュレとデメルの箱・・・ううう・・・♡
ブローチとわたし
昨日、ついに待ちに待ったものが届きました。
坂田あづみさんの作品、ブローチです。
坂田さんとはお互いの個展に行ったり何度か美味しいお酒をご一緒したり、とても楽しくお付き合いさせて頂いています。
ある日、彼女の胸にこの紋章型のブローチがついていて、あまりの欲しさにその場で「作ってほしい!」とお願いしました。
「これ、ずいぶん前に作ったんだけど、この形は作るのが大変だから最近は作っていなくて・・・」と仰るところ、無理にお願いしてしまいました。
わたしは小箱にも紋章模様を入れるのが好き、そして黒と金のコントラストが好き、なのでこのブローチはわたしの心の中心目掛けて刺さったのでした。
▲微妙にピンボケ・・・
このデザインは「EX VOTO」、本来は宗教的な意味合いのものですが、勝手に「熱く燃える志」と自己流に解釈しています。
当然ですがすべて手刺繍、金属の糸、ビーズが使われて、かなり立体的です。この刺繍技法はヨーロッパで古くからあってゴールドワークと呼ばれるとか。カトリックの豪華な詩祭服や軍服のモールなどのイメージでしょうか。
▲とても細かい。周囲のステッチには青も入っています・・・
ちいさなブローチからは、制作に対する真摯な気持ちや迫力、緻密で正確な作業など、手で作ったものならではの存在感が感じられる。坂田さんのブローチをお守りとして身に着ける人もいるというのも頷けるのです。(坂田さんご本人はお守りのつもりはないと思いますが・・・。)
黒いコートの襟につけたら絶対かわいいぞ!とニヤニヤしています。
坂田さんもわたしも、ひたすらひとりでせっせと物を作る日々、このブローチはわたしのお守りと言うより、自分への応援の気持ちが強いかもしれません。