「え、部屋をかわりたい?」
バレンタインデーの翌朝。
朝食の席で。
目の下に隈を作った沖田の訴えを、近藤が鸚鵡返しにした。
理由を尋ねられると、寝付けないと言う。
ちなみに、近藤家の部屋割りは、一階にある和室が近藤。
その真上が、新婚土方夫妻。
その両隣にそれぞれ、沖田と永倉となっている。
故に。
どうして寝付けないのかと問うた近藤に、隣の声が・・・と言いかけた沖田の口を、土方は慌てて塞いだ。
まあ塞ぐまでもなく、キッチンでさくらが鍋をひっくり返した物音のせいで、沖田の声はかき消されたのだが。
それでも、永倉の耳には届いていたらしく、ぶっと噴き出した彼は、「俺も眠れないー」とニヤニヤ笑った。
「嘘つけっ。お前はでけぇイビキかいて寝てんだろうが。こっちまで聞こえてんだよ」
永倉に噛みつく土方を、寝起きのぼんやりした顔のまま怪訝な顔をしてみやった近藤は、「なんだか知らんが、二階の部屋割は好きにしてくれ」と、着替えをしに自室に消えた。
その後を、さくらが追って行く。
また今日も、ネクタイを結んでやるのだろう。
そのどうにも羞恥に耐えられないといった、いたたまれな気な様子を見て、土方は沖田に蹴りを入れた。
「お前、そういうことは近藤さんじゃなくて俺に言え」
「痛いっ。なんで、土方さんに? 家主は近藤さんでしょう」
わかっている。
沖田にそんな気づかいを求める方が無駄なのは。
「そもそも、土方さん、さくらさんに何してるんですか? 時々泣き声が聞こえますけど」
「・・・・・・・」
本気で言っているのだろうか。
多分、本気なのだろう。
沖田の星では、性教育が行われていないらしい。
朝からどっと疲れを感じて席をたった土方を、「信じられねぇ」と呟きながら永倉が追ってきて。
「土方さん、これやるよ。遠慮なくつかってくれ」と、名刺のようなものを手渡された。
確認したそれは、いわゆるラ●ホのポイントカードで。
「
いらねぇよっ、阿呆!!」
突き返しつつ、土方は思った。
タ●ホームより、取り急ぎエイ●ルに行こう・・・・・・。
おしまい(・∀・)
14に続く