「そりゃないぜ、兄貴」~幕間の小咄~ | さらさの「粗野がーる」

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アメーバの携帯ゲーム「艶がーる」の主人公を、28歳・恋愛偏差値20の女性に置き換えた実験的小説を書いています。

あくまでフィクションなので、深く考えずに読んでください

 

三谷さんと交代するようにして、男衆の佐平次さんが他出から戻ってきた。

なんたるバッドタイミング。


佐平次さんは、番頭さんに次ぐ立場の人で、帳場を任されることもある。

つまり、彼の帰宅は、番頭さんが帳場を空けられるということで。

このタイミングで、帳場を立った番頭さんがすることといったら、ただひとつ。



「さくらはん、ちょっと」


ほら、きた。

帳場の奥、台所の土間と接した板の間に正座させられた。


「あんさん、どういうつもりや」



番頭さんときたら、自分だけちゃかり円座(丸い座布団)を敷いて。剣道をやっていたから板の間での正座は慣れている。けれど、それにも限度がある。番頭さんの説教は、とにかくクドクドしいのだ。


早く切り上げてもらうには、何を言われても塩らしく「はい」と言うに限るのだが。


「旦那さんのお留守に、あない男連れ込んで」

「連れ込んでませんっっ」


これが、黙っていられようか。

いや、いられない。


「勝手に忍び込んできたんです!」

「それにしたって、あんた。あの塩っ。播州産の上物なんやで。一斤でいくらする思うてますの」


えええ、あれそんないい塩だったの?


「でも、あれはっ」


又吉さんが、と続けるのは寸でのところでやめにした。

告げ口するようで気が引けて、それでも助け舟を期待して台所を顧みる。


又吉さんは、じっとこっちを見ていた。

磨いだ包丁を付近で包みながら、又吉さんが口を開く。


「わては」


頼みます、兄貴っ!


「言うてまへん。撒けとは、一言も」


―――覚えてろ。

晩のお菜に、正座ダコの酢の物を出してやるーーーっ。


おしまい(・∀・) →本編に戻る