北海道高等学校陸上競技選手権大会! | 陸上競技クラブ オホーツクAC/キッズ監督 金子航太のブログ

陸上競技クラブ オホーツクAC/キッズ監督 金子航太のブログ

走幅跳が専門のアスリート「金子航太」が,毎日のいろいろ「ん?」って思ったことを,コーチの視点とアスリートの視点から綴ります.

北海道高等学校陸上競技選手権大会が6月11日〜14日の日程で旭川市にておこなわれました.

この大会はほとんどの種目が6位までが福岡市で行われる全国高等学校陸上競技対校選手権大会へと出場を決めることができます.(一部種目は3位まで)

 

高校生は中学生とはことなり,順位で全てが決まります.

ある意味では中学よりも全国へはいきやすいのですが,そのぶん「戦い」の要素は中学よりも強いです.

記録が高いだけでは勝つことはできず,ラウンドを増やしても同じパフォーマンスをすることのできる「強さ」が求められるのが高校生の陸上競技です.

 

冬の鍛錬を終えて,力をつけてきた2〜3年生.

まだ高校の陸上競技を肌では感じていない1年生.

どのようなパフォーマンスをしてくれるのか.

 

3年生はJチーム卒団後にもオホーツクキッズの練習が受けられる「サポートアスリート制」が1年生から始まった世代です.

我々コーチングスタッフもそれまでは「見守る」ことしかできなかったのですが,今では全面的に競技に関わっています.

この世代が満足に戦えなければ我々のコーチングは意味がありません.

どのような結果になるのか,楽しみです.

 

1日目はまずは女子棒高跳で富永咲愛が自己ベスト20cm更新の3m10で第4位!

見事にインターハイ出場を決めました.実は咲愛はもともとオホーツクキッズに所属をしてはいません.中学時代から黙々と頑張っている姿を見ていたのと,「力はあるのに使い方がわかっていない」状況のなかでもがいている姿を見ていて,最後のシーズンは手助けをしてあげたいと声かけをさせてもらい加入をしました.

 

棒高跳担当の吉田祐輔コーチ(棒高跳 PB:4m80)の指導のもとと,2023年から北見市が冬に旧上仁頃小学校の体育館で棒高跳使用の許可を出してくださり,指導者と環境面が整った状態でサポートをしていきました.

 

もともとの力はあったので,グイグイとスポンジのように技術を吸収.

その結果のインターハイ出場です.素晴らしいジャンプでした.おめでとう!!

 

咲愛のジャンプ!

踏切からの踏切脚の残しが素晴らしい・・・おめでとう!

 

やり投げでは相馬夏好が無念の2位.

圧倒的な持ち記録を持っていましたが,肘の痛みと不安からいつもの投げができずにライバルの自己ベストに優勝と2連覇を逃してしまいました.当たり前ですが,陸上競技をするのはロボットではなく,人間です.人間は基本的には「痛みを出さないようにする」生き物なので,少しでも身体のどこかに痛みや不安があると「いつもの動きを痛みを避けた動きに変換する」ことを自然とおこなってしまいます.

 

その結果の43m台の記録でした.技術が勢いが調整が練習が・・・ではなく,まずは痛みが一番の原因.やっていきていること,トレーニングは絶対に間違ってはいない.間違っていたら48mという大記録は達成できていません.

 

ここからが正念場.インターハイに向けて,トレーニングを積みつつ,肘の痛みをとること.不安材料なしで思いっきり投げられるようになること.幼い頃から今までずっと夏好の魅力は「全力をだしきれること」.これは力のなかった時代からずっと夏好の身体にある武器です.ドッヂボールのときなども必要以上に大きくふりかぶって投げてました.福岡の地で,思いっきり投げ切れる姿を楽しみにしています.頑張れ!!

 

夏好の投げ!

良く頑張りました.

小学生時代から知っているのでランキングトップで注目される中でも堂々と大きな声を出して投げてるだけでも嬉しいんです.インターハイ頑張ろう!

 

石田晴大,田辺采子のルーキー2名は悔しすぎる入賞.

晴大は走幅跳8位,采子はやり投げ7位.北海道大会に1年生ながらの入賞は素晴らしいこと.

だけれども高校生のこの順位での入賞は「最もインターハイに近づけた」ことの証でもあります.北海道で一番悔しい思いをしたのがこの2人.悔しさは次に活かさないと.ただ悔しいだけじゃだめだよな.秋にリベンジをしよう.

 

2日目は女子砲丸投で前日のやり投げで悔しい順位でインターハイ出場を逃した采子と同じく悔しい思いをした夏好が出場.予選では順調に二人とも決勝へ進出.その中でも采子の1投目に自己ベストと同じレベルの10m64を投げることができたのは大きな収穫です.どちらかというと尻上がりのタイプで徐々に記録を伸ばしてくることが多かったので.アスリートとして一皮剥けたと思います.

 

決勝では采子が11m13で第2位,夏好が10m80で第5位.2名がインターハイ出場権を獲得です.決勝のメンバーを見ていても強豪校とオホーツクキッズ関係のみという特殊な状況でした.技術系種目はその種目とどれだけ向き合えるのかが鍵を握ります.本人の努力と向き合えるだけの環境を整えることが重要であることを改めて実感しました.二人ともおめでとう!!

 

采子の投げ!

采子らしい基本に忠実な投げができています.

インターハイに向けて,速さを追求していって欲しい.

采子は身体は小さいけれども,どの投擲選手よりも速く動けるのが武器です.

頑張ろう!!!

 

投擲二人インターハイ決定!!

良い表情なのがたまらなく嬉しいです.

おめでとう!!

 

男子棒高跳では高校2年生世代唯一の全国中学出場を果たした豊原隆介が登場.

昨年度は高校での練習の変化から動きに精細さをかけて安定した跳躍をすることができずに,インターハイに出場をすることができませんでした.

 

棒高跳の吉田祐輔コーチ(棒高跳 PB:4m80)がオホーツクキッズのコーチに就任して,二人三脚で少しずつ棒高跳というものを頭だけではなく,身体でも知り,少しずつ自分の動きとして身につけてきました.

 

まだまだ荒削りな部分は多々ありますが,しっかりとした形に近づきつつあり,その状態で,この大会を迎えることができました.結果は2年ぶりの自己ベスト更新となる4m20での第2位でインターハイ出場決定!

 

中学で全国を決めた時,北海道チャンピオンになった時に「この跳び方では必ず伸び悩む時期がくるよ」と多くの先生方に言われました.でも,誰一人も何をすればその伸び悩みをしなくなるのかを教えてくれる先生はいませんでした.

 

指導者経験ゼロだった吉田コーチと隆介の二人の取り組みでその「伸び悩み」ってやつをぶっ飛ばしてくれました.中学で「伸び悩むよ」と言われ続けた子が,高校2年生ですでに北海道2位にまで駆け上がりました.

 

次に行く場所はたった一つのみ.

必ず最も高い位置に立ってくれることと思います.

二人とも本当におめでとう!

 

隆介の4m20.

素晴らしいジャンプでした!

 

二人とも良い笑顔です.

おめでとう!!!(なんで全国中学のTシャツを着てるのだろう・・・)

 

そして,なんと言っても3年生の酒井柊優の八種競技!

事前のランキングではインターハイ圏外.それが地道にコツコツと得点を積み重ねて,堂々の3位入賞でインターハイ出場決定です!

 

小学生時代・中学生時代は北海道大会入賞経験なし.

中学生時代は北海道大会に出場すらもしていません.そういうアスリートが八種競技と出会って,年々アスリートらしく,誰もが認める努力を積み重ねてきました.柊優ひたむきに努力ができるアスリートがインターハイに出場をすることができたのはオホーツクキッズの後輩達にとって大きな刺激になることと思います.

 

中学生で花が開かなくても,高校で花を開くことができる.

勇気をもらいました.柊優,本当におめでとう!!

 

柊優の得意のやり投げ!

50m越えの大投擲.

痺れました!!最高!!!

 

3日目は円盤投で夏好が3種目目の決勝へ進出・・・も,惜しくも9位で入賞を逃しました.

ほぼ練習のない円盤投で決勝への進出はそれだけ身体をつくってきてこれた証拠です.ちょっと休んで,専門のやり投げで思いっきり大投擲をしてもらいたいです.お疲れ様.

 

フィールド種目が目立っていますが,ルーキーの井上大和も800mで2分04秒台の自己ベスト更新!同年代の中・長距離のメンバーが強力すぎて記録の感覚が変になってしまいますが,例年で見ていくと1年生としてはかなりの好記録.専門は長めの距離なので,この力を活かしていってほしい.頑張りました.

 

4日目は岩崎鼓太郎の砲丸投!

予選は順調に突破だったのですが,決勝では思ったような投げがなかなかでずに苦しみました.その中で5投目に13m18で大逆転の第6位.見事にインターハイ出場をもぎ取りました!

 

内木一貴コーチ(砲丸投 PB:14m45)に平日にフィジカルトレーニングを,土日に本間勝人コーチ(砲丸投 PB:14m83)に投げの動きを見てもらう両輪でのサポートが4月から本格的に始まり,メキメキと力をつけてきました.

 

外から見ていても「投げ」に対する向き合い方が変わってきたことがわかります.

アスリートとしての偏差値があるとするならば間違いなく,急激に高まりました.

その結果として,この数ヶ月での1m以上の記録の更新です.本当に素晴らしい.

鼓太郎,おめでとう!!!

 

鼓太郎の投げ!

大逆転の13m18!

インターハイが決まった瞬間は中学3年の北海道中学校陸上競技大会で全国に届かずに泣きじゃくってる姿を思い出しました.目標の全国に2年越しに届きました.おめでとう!!

 

そして井田悠仁と相馬可夏子の混成コンビ.

悠仁は八種競技では自己ベストなものの第7位とインターハイ出場を逃す悔しい思いをしました.そういう中での110mH.

 

予選15"34と大幅な自己ベスト更新!

周囲はものすごく驚いていたようです.

ですが,このタイムは想定内で,このタイムの動きや走りは練習中にできていました.

今シーズンなかなかタイムが高まらなかったのは,ハードルの高さに対応できていないことによる「怖さと不安」の影響で,試合になると必要以上に安全に跳ぶ癖があったからなのです.

 

練習ではドリルからしっかりと入り,感覚を刷り込ませて安心した状態をつくって跳んでいるので,それが試合でできればタイムはでるな・・・と.決勝でも勝負強さで15"24の素晴らしいタイムで第4位.インターハイ出場を勝ち取りました.おめでとう!

 

悠仁の15"24.

勝負強い悠仁らしいレースでした.

おめでとう!!

 

可夏子は蓋を開けて見ると見事な第2位でインターハイ出場は決定.

でも,道のりは半端なく険しく,大会直前の金曜日の練習での走幅跳での着地で思いっきり捻挫.足首がゆるく,痛みがある中での試合になりましたが,持ち前の根性でなんとか記録を伸ばすことができました.インターハイ出場,おめでとう!!

 

得意のハードル!

まだオーバーストライドでのインターバルなので,この部分をトレーニングで身体を変えて動きを変えていきます.頑張るぞ!!!

 

二人とも高校1年生からインターハイにいくことに意味があると言い続けていたのでひと安心.あとはインターハイで先輩達に思いっきりボコボコにしてもらいます.二人とも課題はジャンプ系トレーニング.少し,種目練習から距離を置いて身体作りにシフトしていこうと思います.

 

4日間を終えて,総合結果を見てみるとインターハイ出場人数は過去最多の8人!

種目は9種目と素晴らしい結果を出してくれました.

 

種目の種類を見てみると

棒高跳,やり投げ,砲丸投,八種競技,七種競技,110mHと記録が見事に分散しています.

各種目の少人数制指導とコーチングスタッフの指導の賜物です.本当に良いチームになってきました.感謝です.

 

今回のインターハイ出場は北見市としては初?となる全ての高等学校でインターハイ出場が決まったようです.陸上競技弱小の地域だったオホーツクはもうありませんね.強く逞しい地域になりました.

 

顧問の先生方と子ども達の頑張りの成果です.

小学校・中学校が指導の中心の陸上競技クラブの人間としてはこんなに心強いことはありません.感謝です.

 

これからもやるべきことは変わりません.

子ども達と今まで以上に本気で向き合っていこうと思います.

可能性は無限大.さぁ,頑張ろう.

 

以下にインターハイ出場者と全体の結果を掲載します.

 

インターハイ出場決定者とその記録

酒井柊優

八種競技 4780点 第3位

(11"65-5m92-10m80-53"16-17"82-51m74-1m72-4分59秒16)

 

相馬夏好

やり投げ 43m05 第2位

砲丸投 10m80 第5位

 

富永咲愛

棒高跳 3m10 第4位

 

豊原隆介

棒高跳 4m20 第2位

 

岩崎鼓太郎

砲丸投 13m18 第6位

 

井田悠仁

110mH 15"24 第4位

 

田辺采子

砲丸投 11m13 第2位

 

相馬可夏子

七種競技 3945点 第2位

(15"81-1m43-8m45-27"41-4m79-28m82-2分37秒63)

 

【北海道高等学校陸上競技選手権大会】

サポートアスリート

豊原隆介

棒高跳

4m20 自己ベスト 第2位

※インターハイ出場決定!

 

石田晴大

走幅跳

予選6m67

決勝6m50 第8位

 

加藤遼太

走幅跳

予選6m23

 

中崎楽久

走幅跳

予選6m12

 

酒井柊優

八種競技 4780点 自己ベスト 第3位

※インターハイ出場決定!

 

岩崎鼓太郎

砲丸投

予選13m01

決勝13m18 第6位 自己ベスト

※インターハイ出場決定!

 

松田優飛

110mH

予選16"24

準決勝15"81

 

井田悠仁

八種競技 4273点 自己ベスト 第7位

110mH

予選15"34 自己ベスト

準決勝15"40

決勝15"24 自己ベスト 第4位

※インターハイ出場決定!

 

井上大和

800m 予選2分04秒78 自己ベスト

 

相馬夏好

やり投げ

予選41m80

決勝43m05 第2位

 

砲丸投

予選9m99

決勝10m80 第5位

 

円盤投

予選28m26

決勝30m23 自己ベスト

※やり投げ・砲丸投の2種目でインターハイ出場決定!

 

富永咲愛

棒高跳 3m10 自己ベスト 第4位 

走幅跳 予選4m31

 

相馬可夏子

七種競技 3945点 自己ベスト 第2位

 

100mH

予選15″71

準決勝15"68

※七種競技でインターハイ出場決定!

 

田辺采子

やり投げ

予選36m72

決勝37m43 第7位

 

円盤投

予選24m87

 

砲丸投

予選10m64

決勝11m13 第2位

※砲丸投でインターハイ出場決定!

 

近藤アンナ

走幅跳

予選4m54

 

卒団生

穴澤日菜

やり投げ

予選33m04

 

走幅跳

予選4m14

 

飯島空輝

棒高跳 NM

 

野村柚果

400mH

予選1分08秒52 自己ベスト

準決勝1分09秒08