自己肯定感を高めなくても良いよっていう話(金子論) | 陸上競技クラブ オホーツクAC/キッズ監督 金子航太のブログ

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走幅跳が専門のアスリート「金子航太」が,毎日のいろいろ「ん?」って思ったことを,コーチの視点とアスリートの視点から綴ります.

最近の世の中の風潮で少し違和感のあることがあります.

「自己肯定感」を高めよう・・・そういう類の本や方法がチラホラと目に入るようになりました.

「自己肯定感」ってなに?

 

「自己肯定感」とはありのままの自分を肯定する(その通りであると認める)感覚を指します.

他者と比較することなく,自分自身が今の自分を認め尊重をすることで生まれる.物事を前に進める原動力となる.

 

・・・このような意味のようです.

そしてこういった「自己肯定感」の高い人は「主体性があり・行動や思考が前向きで・失敗を恐れない」と言った特徴があるのだと言われています.

 

素晴らしい.

そういった人間になれれば人生はスムーズに過ごしていくことができそうです.

・・・ってんなわけあるかい!

 

主体性がある

これは大切であり,自分の人生の主人公は自分.他人じゃない.

自分で責任を持って行動をするのは当たり前のことであるし,自分を一番に大切にしてほしいので自己肯定感うんぬんの前にこれは持っていてほしい.

 

行動や仕事が前向きで

前向きな人間と一緒に仕事はできません.

後ろ向きであるからこそ,人が気付けないようなこともに気づくことができるし,小さなことにも真剣になれる.

特にアスリートこそ後ろ向きであるべきだと本気で思っています.不安は常につきもので,不安だからこそ,不安を少しでも減らして大会にのぞむために,必要な細かいことを積み重ねて準備をする.それでも不安はなくならないのだけれども,そういった準備を誰よりもすることができる.

 

そういった準備をした結果,大会時に開き直って「おっしゃ!」と気合いが入っている姿を見て周りから見たら前向きに見えるということはあるのかもしれません.(私の場合は完全にそういう感じ.誰よりも不安で後ろ向きだから誰よりも準備をします.)

 

失敗を恐れない

いや,恐れてよ!

失敗っていやでしょ.怖いでしょ.恥ずかしいでしょ.

だから失敗をしないためにたくさんの準備をするんでしょ.

それでも失敗をしてしまった時はその失敗をしないように忘れないように次から準備を新たに増やすのです.

 

自己肯定感という言葉が近頃は1人歩きをしているように感じています.

なんだか怖い風潮だな〜と感じたので考えをまとめてみました.

 

おそらく,他者から見たらオホーツクキッズのコーチングスタッフって自己肯定感が高い部類に見られるかと思いますが,全く違います.誰よりも不安で誰よりも心配性で誰よりもネガティブ.だからこそ誰よりも真剣に学んで,指導のための準備をしているのです.

 

コーチの中でも最も自己肯定感というものが低いのは間違いなく監督の私です.

そこには誰よりも自信があります.最強のネガティブ思考です.