ヴオルフガング・アマデウス・モオツアルトのコンサート・アリアの数あるうち、その日本語版を適宜作成せんとす。そのソプラノ編。
アリア「いで、な渡りそよ」K272
いで、な渡りそよ、その川波を、
我が心のおもかげよ。
いで、な渡りそよ、その川波を矣。
渡り川の彼の岸へ、
おもかげ、我が身に添へ、
いざ給へ、給へ、この我れと。
いで、な渡りそよ、
とまれかし矣。
アリア「何しかも、湧き出づる」K294
何しかも、湧き出づる、
かなしらに、思ふ心、
うつろひて、謎めきて、
生(あ)れにしや、胸のこゝに、
渦巻きぬ、血の道と、
思ひは駆け巡り、
何しかも、湧き出づる。
うちにもたぐる
心しらひの過ぎたる、
満ち足りな為(せ)そ
情けのみとは。