審判奇譚 第八章45 | 神鳥古賛のブログ

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古典。読めば分かる。

 「この男に教へんとするを、我れ、ためらへればなん。」と弁護の士云ひ、かしらをわづかに動かせしと見えしが、


こは、レニの手の触れ心地を、更に味はゝんとてなるによるらし。


ブロクたるや、これ斯くの如く耳そばだゝしめて聞くを、悪ろき事為すと云はんとするがさまに、うなだれ、かつ聞きゐぬ。


「何ぞや、ためらはせ給ふ。」とレニ問ひぬ。


K、何しかも、はや、聞き慣らひ果てたる話の有りさまを聞くが如き心地したり。


これまでも、しばしば繰り返され来たる話のさまたり、この後ちも、しばしば繰り返さるべき話のさまたりしかど、


しかるを、ブロクのみは、これに鮮らけき思ひを失はざるなり。


「この男よ、今日は(コンニッタ)、何事か為せる。」と弁護の士、返り言するにはあらで問ひ聞きぬ。


レニ、これに答へんとする先に、ブロクのかたを見下ろして、


この男の、をみなへもろ手捧げて、をろがみ奉り、すり合はせゐるさまを、暫しがあひだ、うち眺めゐぬ。


果ては、をみな、思ひ切つたる顔ばせにうなづきうなづきしつゝ、弁護の士に向き直りて云ひぬ。


「落ちゐて、学びに励みゐたりしか。」となん。


老いらくの商うどたり、長き髭をもたくはへし此の男にして、いはけたる若き娘に、身贔屓に証しせよと冀ふにこそは。


下たに心当てありたればとて、余所目にも、さる体たらくをうけがへさするもの、ひとつとてあるべきやは。


弁護の士、これ以て、かゝる芝居を打ち、我れの思ひを靡かしめんなど、何ゆゑ斯かる事、思ひ寄らんとするにや、Kには、およそ思ひも付かず。


去んぬるひまに我れを追ひ遣らはざると云ふとも、かゝるさまを見せられなば、逃げ失すべきはうつなかりしを。


見る者をして、おとしめ侮づるものと云はんに似たり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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