ハリー・ポッター論 謎のプリンス篇3 | 神鳥古賛のブログ

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古典。読めば分かる。

ドラコ・マルフォイは闇に紛れて、ヴォルデモートよりの指令を実行しつゝあるが如し、ハリー・ポッターはドラコとスネイプとの会話を耳にし、スネイプへの疑ひを深めぬ。

ドラコは「姿を眩ますキャビネット」なる一世代前の通信技術を使ひて、何者かと連絡を取りゐたる模様なり。

その「キャビネット」はヒットラーの時代に用ひられたるものゝ如し、これ「秘密の地図」や「半純血のプリンスの教科書」の如き秘密の通信手段と考へらる。

ドラコ、この「キャビネット」を用ひて通信する事、数度に及べど、或る日、鳥をこの「キャビネット」に入るゝに、やがて此の鳥、死にて帰さる、ドラコ、これを見て絶望を覚ゆ。

この時、ドラコ、ハリーの追及を受け、二人は戦ひに及び、ドラコは致命傷を受けたれど、スネイプによる蘇生の術もて一命をとりとめたる如し。

さて、ドラコの希望たる「神の鳥」は死したるなり、彼れは既に死したるに等し、しかるに、「必要の部屋」に於いて此の鳥は、黒き鳥となりてハリー達の前に現る。

「半純血のプリンスの教科書」によりて闇の世界に深く関はりて罪に穢れ、白き鳥は黒き鳥となりてハリーの前に現れたれど、この「教科書」を棄つる事によりて罪を免れよとなり。

即ち、ロシアの情報を信ずる事なかれ、との西側世界の偏見によるものならん。

これ或ひは、「半純血のプリンスの教科書」を必ず成功に至る設計図の如きもの、社会主義的、また、計画経済的ものを想像したるにやあらんか。

故に、「必要の部屋」の混沌と、「成功の液体」の積極的行動を促す興奮剤との優位性を強調しゐたるものの如し。

まことは、最も世界を俯瞰したる、深き洞察に裏打ちされたるによつて、成功に最も近き道ならざらんや。