ドラコ・マルフォイは闇に紛れて、ヴォルデモートよりの指令を実行しつゝあるが如し、ハリー・ポッターはドラコとスネイプとの会話を耳にし、スネイプへの疑ひを深めぬ。
ドラコは「姿を眩ますキャビネット」なる一世代前の通信技術を使ひて、何者かと連絡を取りゐたる模様なり。
その「キャビネット」はヒットラーの時代に用ひられたるものゝ如し、これ「秘密の地図」や「半純血のプリンスの教科書」の如き秘密の通信手段と考へらる。
ドラコ、この「キャビネット」を用ひて通信する事、数度に及べど、或る日、鳥をこの「キャビネット」に入るゝに、やがて此の鳥、死にて帰さる、ドラコ、これを見て絶望を覚ゆ。
この時、ドラコ、ハリーの追及を受け、二人は戦ひに及び、ドラコは致命傷を受けたれど、スネイプによる蘇生の術もて一命をとりとめたる如し。
さて、ドラコの希望たる「神の鳥」は死したるなり、彼れは既に死したるに等し、しかるに、「必要の部屋」に於いて此の鳥は、黒き鳥となりてハリー達の前に現る。
「半純血のプリンスの教科書」によりて闇の世界に深く関はりて罪に穢れ、白き鳥は黒き鳥となりてハリーの前に現れたれど、この「教科書」を棄つる事によりて罪を免れよとなり。
即ち、ロシアの情報を信ずる事なかれ、との西側世界の偏見によるものならん。
これ或ひは、「半純血のプリンスの教科書」を必ず成功に至る設計図の如きもの、社会主義的、また、計画経済的ものを想像したるにやあらんか。
故に、「必要の部屋」の混沌と、「成功の液体」の積極的行動を促す興奮剤との優位性を強調しゐたるものの如し。
まことは、最も世界を俯瞰したる、深き洞察に裏打ちされたるによつて、成功に最も近き道ならざらんや。