私は満点の星空ツアー 派!
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東京に住んでいると、「星の降るような空」(あれ、なんで「降るような」なんでしょうねえ)なんて見たことないです。蛍もないけど。
蛍を見たのは、一番最近は湯河原かな。といっても十年以上前になります。ここで蛍が見られるという場所にいったのですが、観光客が他にもたくさん来ていました。
蛍はちらほらと草の中に。ちらほらは風情があっていいんですが、人がたくさんいるので日本の情趣は感じにくい。連れは男だったしねえ。
「恋に焦がれて鳴くセミよりも。鳴かぬ蛍が身を焦がす」なんて独々逸坊扇歌をひいて口ずさむと、乙な年増がトーンとくる、なんシチュエーションではなくて…。
ツアーとしてどっちがいいかということでいえば、やはり星空じゃないんですかね。ツアーというからには大勢で行くわけでしょ。蛍がたくさんいて、集めたらLED電球の代わりに受験勉強に使えるぐらいたくさんいても、大勢で、「わー、蛍だ、すごーい」ってツアーは、どうなんでしょうか。蛍のイメージじゃないような。
満点の星空だったら、空が広く見える場所に大勢が集まって、「おお」とか「すごい」とか、ツアー一行から感嘆の声が上がっても、わりとアリなんじゃないか。
ところで和歌では星はあまり詠まれていないと、どこかで読んだ覚えがあります。七夕の天の川と織り姫・彦星以外は、星には関心が薄かったとか。中国の真似をして、万葉それなりににはあるでしょうけど、平安時代はどうだったかな。海洋を移動する民だとか、大陸に住んでいると、方角を知るために星への関心が高いのでしょうけど、日本は陸地の見えないような船路は少ない。神話だって太陽と月以外の人格化は、そういえば思いつかない。農事暦に星が関係すれば、」いろんな民俗伝承や文学素材があったのでしょうけど。
それに比べれば、蛍のほうは、在原業平から言づけを頼まれたり、和泉式部から魂体離脱したりしております。
蛍は、ツアーでなくカップルかなんぞでしみじみと眺めるほうがいいのではないかしら。