投資を知ろう! 保有資産3億円のシロウト投資家・神田川トウシロウです。

先日、30代の会社員Tさんから、表題の通り「株式投資を始めたいが、住宅ローンの繰り上げ返済を優先した方が良いのか?」という相談を受けました。Tさんは、8年前に住宅を購入し、ローンが3,000万円以上残っています。一方、新NISAもあって株式投資に興味を持ち、投資デビューしたいそうです。

教科書的な答えだと、株式投資を優先するべきです。経済コラムニストの高井宏章さんも言うように、住宅ローンを繰り上げ返済せずに投資すれば、資産と負債を両建てで持つことになり、自分が死ねば住宅ローンはちゃらになり、資産だけ家族に残せるからです(高井さんの記事はこちら)。また、株式投資では経験が重要ですし、複利効果があるので、早く始めるほど運用成績が上がります。

ただし、注意するべき点がいくつかあります。

まず、心配なのが今後かなり確実にやってくる金利上昇。変動金利で借りている場合、住宅ローンの返済が膨らみ、投資でも失敗すると、悲惨な状況になります。変動金利の人は、繰り上げ返済を優先し、返済負担を軽減させるべきでしょう。

意外と盲点なのが、本当に株式投資に十分な資金を回せるか、という点。理屈の上では、住宅ローンの返済が少ない分、投資に資金を回せるはずです。しかし、実際には、子供の教育費だ、遊興費だと金を使ってしまい、少額しか投資できません。人間の意志は弱いものです。

また、ローン返済を続けている間は、資金的に余裕がないので投資で「絶対に負けられない」という意識が強くなります。すると「小さく勝って大きく負ける」ということになり、返って財産を減らしてしまいます(「小さく勝って大きく負ける」という失敗についてはこちらを参照)。

これらを考えると、ローン返済を優先し、完済したらすっきりした状態で株式投資に臨むべきです。

とTさんに伝えたところ、「それだといつまで経っても投資デビューできない」と言われました。でも、それで良いのです。株式投資は余剰資金ができたらやるべきもので、無理してデビューする必要はないように思います(Tさんは不服そうな顔だったので、たぶん投資デビューすると思います)。