投資を知ろう! 保有資産3億円のシロウト投資家・神田川トウシロウです。

今週読んだ投資本を良かったものも良くなかったものも含めて紹介するシリーズの第2回目。

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馬渕磨理子『黒字転換2倍株で勝つ投資術』<お勧め度★★☆☆☆>

メディアで大活躍のアナリスト・馬渕磨理子さんの本。数年前に買ったきり読み忘れていましたが(ということが多い)、今回改めて読んでみました。

内容は、題名の通り。黒字転換2倍株投資とは、四半期決算で営業利益・経常利益が赤字から黒字に転換する銘柄を見つけて買い、2倍になったら売るという投資法です。

さすがに専門家だけあって、そこらの成功自慢本と違い、考え方や銘柄選択・売買技術などを初心者でもわかるように書かれています。

ということで、そんなに悪い本ではありませんが、では、この投資法で素人が儲けられるかというと、かなり疑問です。

まず、会社がリリースする四半期決算や業績予想の修正を見て素人が慌てて買っても、たいてい手遅れです。決算や業績予想をプロの専門家がウォッチして早めに買っており、発表前に「織り込み済み」。実際に会社が発表した頃には、プロにとって「材料出尽くし」です。

しかも、仮にプロも知らなかったサプライズで黒字転換したとしても、その後の上げが長く続いて2倍にまでなるかどうかは、まったく不透明です。
黒字基調がずっと続くなら楽々2倍になりますが、「黒字転換は一時的」とみなされたり、「黒字転換したが、事前に期待されたほどではない」として、決算発表をピークに下落に転じることがよくあります。かなり熟練したプロでないと、黒字転換した後に業績が順調に伸びるかどうか予測困難です。

ということで、馬渕さんが言う「個人投資家でも簡単に実行でき、リスクが小さい投資法」というのは、完全に嘘ですね。そんな投資法があったら、世の中には億万長者だらけです。

決して悪い投資法ではなく、実際にこの投資法で大成功している知人もいます。ただ、この投資法を実践するには、銘柄をきちんとウォッチする時間・根気と分析のスキルが必要。つまり、プロ向きの投資法で、時間もスキルもない素人が手を出すのは危険だと思います。