本日は、投資物件についてまわる『明け渡し』と『強制執行』に関してのお話です。

弊社のように不動産の免許を持ちながら不動産投資をしていると、たまに割の良い(!?)話が舞い込みます。

場所:代々木上原
物件のタイプ:ワンルームマンション
想定賃料:6.2万円  売却価格:490万円
管理費:約12000円/月   築:昭和55年

これだけを表面利回りで計算すると
5万円×12カ月=60万円 60万円-6万円(固都税)=54万円
54万円÷490万円=約11%

うん~、なかなかですね。 ただし、本当に割の良い話かと言えば、それなりの理由があります。

じゃん↓。
(ビフォーアフター風)なんということでしょう。そこには、足場の踏み場もない室内。




賃借人が大量の荷物を置いたまま居なくなってしまった物件なのです。
相手が居ない場合、任意の交渉もできません。

そう、結局は割が良いわけではないんです。

早速、必要な経費に関して算出します。
期間:6ヶ月  弁護士費用:10万円~15万円  裁判ならびに強制執行=約100万円
当社の場合、弁護士は普段の顧問契約をしているので、多少安くやっていただけますが、強制執行等に掛る費用は誰がやっても一緒です。
また、執行に掛る費用等(荷物の移動に必要な人工等)は執行官の見立てによるので何とも言えませんが、多目に見積もります。

家賃の滞納をしても、日本の法律には自力救済禁止の原則があります。勝手に鍵を換えたり、勝手に荷物を処分すれば、返って所有者に不利な判決がで決して得にはなりません。

但し、今回の投資物件の場合、借主が外国人で帰国を期に、5年姿を見せていないそうです。
(って、所有者さん!5年も放っておいたんですか!! )おまけに、年齢も70歳近く。

明らかに裁判を起こしても欠席で勝訴のパターン。よっぽど自力救済の誘惑にかられましたが、顧問弁護士に相談するとやはり『ダメ』の一言。そりゃそうですよね。
まぁ、我々も法令順守は社是でもありますので、そこはちゃんと事業計画にのせる事に。

それにしても、日本の裁判は時間が掛りますよね。結局所有権を手に入れてから4ヶ月。月末に判決はでますが、それから公告して、執行は上手く言って年内とか。 ここらへんをもっと効率的にしてほしいですよね。

当日のボランティアは朝の8:00AMから始まりました。

内容は、支援物資の配給です。 すでに避難所等への物資の支給は始まっていましたが、自宅で過ごしている被災者の多くは車も流され、物資が不足しているとの事。 多くの支援物資をトラックに積んで、孤立した町会や集落へ物資を支給します。


支給するのは、全国の個人、企業から今回の主催者団体宛にいただいた物資。加えて、自衛隊の基地に集められた同様の物資。


まずは、自衛隊の臨時基地に行き、全国から集まった物資をもらいます。


不動産投資のABC ←この許可証で基地内の支援物資を必要なだけもらえます。

不動産投資のABC ←スタジアムの横にずらりとならぶ緊急車両

ちなみに道にみえる場所はヌカルんだ芝に砂利を敷き詰めてあります。


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加えて、この基地ではボランティア団体に対して無償で軽油も配給しています。

この基地も、サッカー場や運動競技場を臨時の駐屯地として設営したもので、この光景を見てもまるで戦場を思い起こさせます。


トラックをいっぱいの物資を詰め込み、いざ孤立した被災地を探します。


ところが、大量の瓦礫のが道の左右にうず高く詰まれ、なかなかトラックを停めて、ビニールシートを広げるスペースが見つかりません。


不動産投資のABC

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やっとのことで、閉じているスーパーの駐車場を見つけ、その場所をお借りする許可をいただき物資を広げます。


ビニールシートを広げ、物資の詰まるダンボールを開けて物資を広げます。 食品は食品、市販薬は市販薬、下着は下着と分類していると、あっという間に、物資の周りに長蛇の列が出来上がります。

中には泥だらけの上着を羽織っている人もいます。


不動産投資のABC

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そして中には、ダンボールにメッセージを書き込んでくれている人もいます。


この様な状況の中、じっと文句も言わず列も乱さず待つ被災者の人々、我が事のように、全国から送られてくる善意。


私はこの国に生まれた事を本当に誇りに思います。


そして列に並んで、色々なものを取ってもらうのですが、決して奪い合うことなく、次の人への思いやりをもって、必要最低限のものだけを袋に入れていく被災者の皆さんに頭が下がります。


配り終えたあと、皆さんが口々に「ありがとう」と言ってくれます。


こんな事を午前と午後繰り返しました。



不動産投資のABC  ← ありがとうございます!頂いた支援物資は私たちが確かに現地に渡しました。


自分たちがやったことが、どれだけ被災地の復興に役立ったかはわかりません。


ただ、自然の猛威に対しても規律を持ち、健気に普段の生活を保とうとする東北(石巻)の皆さんに逆に元気をいただいたように思います。


夕方、仙台に戻る大渋滞を抜け、現地で食事をとり、後輩たちの運転する車が東京に着いたときには、3:00AM近くになっていました。 体は疲れていましたが、多くの事を感じることの出来たこの24時間は、一生のうちで間違いなく一番感慨深い体験だったと充足を感じている自分がいました。


また、近いうちに出来ることを出来るだけしに、東北に行こうと思いました。

当日は、いったん仙台に宿泊です。仙台市内のビジネスホテルは、エアコン無し、お湯無し、シーツの交換無しと言う状況。 でも、大丈夫。似非登山家の私は、冬用の寝袋持参。これをマットレスの上に引けば、山のテントより100倍快適です。


そこで、仮眠をとって朝5:30に石巻に向かって出発しました。


石巻に向かう高速道路は、すでに緊急車両、特に自衛隊のあらゆる種類の車両が、平日の首都高並みにの量です。


じっと外を見ていると、所々瓦の崩れた家にビニールシートがかぶしてある以外は、見た目にはほとんどダメージが無いように思えます。


が、衝撃の瞬間は石巻のインターを降りてからでした。 


どこにでもある見慣れたイオンのモールの駐車場にゴミが散乱し、壁も部分的に破損しています。 湾岸方面に向かう道も、コンビニ、牛丼屋、通常なら24時間やっているような店舗も中は真っ暗。周りのガラス壁も破損しています。


これが町の様子です。(4月7日現在)


ボランティアの様子は後日お伝えします。(すいません引っ張って。)


なかなか、現地で見た衝撃は伝えられませんが、今日は現地で取った写真をお見せして、津波と言う普段我々があまり経験したことの無かった災害の恐ろしさをお伝えしたいと思います。


不動産投資のABC 不動産投資のABC

見慣れたチェーン店の悲惨な状況はやはり遠くの国ではなく、自分たちの国で起こったことを感じさせます。


不動産投資のABC

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海から1kmほどの住宅地。 津波の威力が凄すぎたのか、瓦礫さえも残っていません。


不動産投資のABC

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日本製紙の石巻工場です。 日本の紙の4割近くがこの工場で生産されていたとか。停車中のコンテナさえもまるでおもちゃのように流されています。

ここに来るまでテレビや雑誌で何度も見ていたはずの光景が、自分の目でみるとその凄惨さが思った以上に伝わってきます。 「本当にこんな事がおきるのか?」「人間の営みなんてなんて自然の驚異の前にいかに小さいのだろう。」

そんなことを思いながらいくら見ても、これが本当におきたことなのか信じることが出来ません。

まるで、目の前でどこか違う国のドキュメンタリー番組でもみているように思えてなりません。

ここに2枚の写真があります。
不動産投資のABC

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角度が少しずれていますが、上の桜が写っている写真は観光ガイドにあった津波前の写真です。

そして、下が津波あとの写真。

小さい写真でわからないかもしれませんが、何も無くなってしまった町をみるとやはり現実感が沸きません。

これらの光景をみて思ったこと、やはり微力でも何かをしないと、何かをし続けないと、そして、普段の仕事の悩みなど、本当に小さな事であることを深く感じました。