三遊亭小笑という二つ目の落語家がいる。
恐らく、相当な落語芸術協会のマニアでなければきかない名前だろう。寄席でどれだけお客様を爆笑させ続けても、何故か無名な笑遊師匠の弟子である。
師弟そろって呪いをかけられているとしか思えない。
これだけ情報の氾濫している時代に小笑兄さんの情報はとびかっていない。どの評論家も全く目をつけていないし、多くの寄席芸人好きがオールスルーである。
そのうえで小笑兄さんの私生活はヴェールに包まれている。誰も興味がないにも関わらず、やたらヴェールに包まれている。
寄席芸人写真名鑑にもちゃんと出ているのだ。目を通して頂きたい。小笑兄さんの最終学歴が凄い。専門学校なのだが、学校の名前がいい。
「福岡お茶水医療福祉秘書専門学校」である。
何の専門なのか全く分からない。
これを兄さんに突っ込んでもヘラヘラ笑うだけで、全く広げないのである。
そのくせ、資格はとったという。何の資格ですか❓と聞くと、それには答えてくれないのである。
何という、どうでもいいヴェールであろうか。
小笑兄さんという人は、自分で何かをするタイプではない。兄さんの名言で
「いつか誰かが何とかしてくれる」
というものがある。何という他力本願であろうか。死んだらいいのだ。
同級生の鯉八兄さんに対する憧れが学生時代から強かった兄さんは、憧れの鯉八兄さんを追っかけるようにこの業界に入ってきた。生まれたてのひよこと同じ思考である。
ここでいう誰かが何とかしてくれる、誰かとは鯉八とイコールである。多少ぼかして誰かにしているのである。
小笑兄さんが誤算だったのは、鯉八兄さんも「いつか誰かが何とかしてくれる」思考で、俺ほどの才能があれば、落語界はひっくり返ると思ったのであろうが、センスのある新作落語はセンスのある人にしか伝わらず、現時点であんまりうまくひっくり返らなかった所である。(この事に関してはいつか書く)
二人して頭を抱えているのが今の現状であろう。
そこで小笑兄さんは気がついた。鯉八からの独立である。
小笑兄さんの名言だ。
「誠さんは(鯉八兄の本名)源氏なの。源氏。でもいつか平家の時代は終わると思ってるけど、終わらねぇーなぁー。ずっーと平家の世の中だ。」
誰が平家なのか全く分からない例えで面白かった。鯉八兄は誰と闘っているのであろう。
それで、さりげなく小笑兄さんに
「何か会をやろうと思ってるんですけどー」
っと言い、一緒にやりませんかと釣り糸を垂らしたら、餌なしですぐさまパクッーっとくらいついてきた。
それで、「小笑と松之丞の会」というのをやるに至る。
それの進化系としてやる事にしたのが、「グズグズ寺」である。
明日は小笑兄さんの芸について。