声変わりはチョークでは治らない | かんちくログ

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1発屋どころか、まだ1発も打ち上がってませんが。勝負は、これから。

 風邪引いて峠は越して体は元気になったのだけども、咳と声枯れが治らない。喉が痛いということはあったけれど声が枯れるという経験は初めてで、このまま声が戻らなかったらどうしよう…って考えて、しゅーんって落ちこむ。
 朗読劇の本番までまだ一ヵ月以上あるけど、ようやく形が出来上がってきて、ほかの人が仕上がってきて、演出家としての肩の荷が下りて、今度はキャストとしてがんばって練習せねばって思ってた矢先なのに。ぬぬ。

 そういえば何かの童話で、声がガラガラなのを治すためにチョークを食べるという話があったな…とふいに思い出してネットで調べたら、出てきた。「狼と7匹の子羊」だった。チョークを食べても声はきれいになったりはしないらしい。そりゃそうだ。でも、子供の時はなんの違和感もなく納得していたなあ。顔におしろいはたいて綺麗になるように、声も白いチョークできれいになるんかな…と。子供って恐ろしい。もしわたしが、ガラガラ声に悩む子供だったら、チョークを食べたかもしれない…。訳を見直すべき?

 訳といえば、翻訳というのは時代によって更新しなければいけないという話を池澤夏樹さんがいつかしていた。もちろん古いままでもいいのだけれど、新しくできるのが翻訳のメリットだという話。昔のままでは古くさくて読めなくても、時代に合う訳がつけば物語の本質を変えることなくいつまでもフレッシュな気持ちで読むことができる。

 わたしがやっている朗読劇は、そんな「新訳」に近い試みかもしれない。金色夜叉も原作は擬古文調の文章がかなりとっつきにくいし、斜陽も読みなれていない人には時代がかったぎこちない文章に見えるだろう。「斜陽」の冒頭の「スプウン」や「スウプ」という表記に挫折したという感想を聞いて、さもありなんと思った。(わたしはそれに萌えるけれども。)

 この朗読劇では、現代の作家が書き下ろした新訳で、現代の役者がしゃべる斜陽の世界を聞いてみてほしい。テレビドラマでも見るような気楽な気持ちで来てくれたら嬉しいです。

 あ、昨日は取材をしてもらいました。1人じゃなくてメンバーみんなと一緒に。他の人と一緒の取材は初めてで、記者さんの質問に答える他のメンバーの言葉を聞いて、「へえ、そうだったのか…!」と感心しまくる貴重な時間でした。
 少人数でやっていると、そこに誰か別の人がひとり加わっただけで場が変わる。見せてくれる顔も変わる。それがとっても面白い。ふたりのとき、三人のとき、四人のとき。後輩がいるとき、いないとき。知らない人がいるとき、いないとき。

 人と人との緊張感。それの面白さをTREESでは出していきたい。3人、もしくは4人。相手によって見せる顔が違う。1人になったときももちろん違う。ある人には偉そうにしていて、ある人にはしおらしかったり。それを言葉で表現していく。積み重なって化学反応を起こしていく。

完成するのが楽しみ。かず子は絶賛声変わり中ですけども。ああ、治らなかったらどうしよう。チョークの代わりにこの白い粉を食べています。



のど飴でおなじみの龍角散の薬があったから買ってみた。この小さじにすくって、水を使わず舌の上にのせて喉に送って粘膜に届かせるのだそうだ。漢方なのでもちろんまずい。が、甘みのない龍角散のど飴だと思えば我慢できないこともない。

しかし、この量見てよ。660円くらいだったんだけど。何杯分あるんでしょうか…。

まあ焦らなくても日にちがたてば治るんだろうけれど、いざというときのためにいろいろ試してみようと思います。あと、趣味なんで。薬の効能とか知るの。自分の体で人体実験!

TREES公演詳細はこちら。早いうちに埋まってしまえばずいぶん気が楽になるんだけどなあ。焦らずいきましょう。何事も。
http://www.sakkanotamago.com/trees.html

しかし、執筆は焦った方がいい気がする。ああ、どんなトーンで書くのか、それさえ決まれば。書きはじめられるはず。