クマの子見ていたかくれんぼ。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。


プールサイドの人魚姫-クマの子

 このGifアニメを見て、この歌を思い出した人はどれだけいただろうか。「日本昔話」のエンディングテーマである。

 「いいな、いいな、人間っていいな…」この歌詞が実に皮肉である。噛みつき猿は生け捕りにしても、熊の場合は射殺される。

 今年の秋は列島各地でクマに襲われる被害が相次いでいる。先日のニュースでは小熊を引き連れた親クマが街中に現れ、パニックに陥る人とクマの姿が映し出されていた。幸いこの親子は射殺されることなく山に帰って行ったようだ。

 狩猟民族のアイヌ或いはユーラシア大陸に住む人たちの間には「熊送り(熊祭り)」という文化(儀礼)がある。狩猟で殺した熊の魂を天に還す儀式のことであるが、人間が自然と絶妙のバランスを保っていた頃、山は神であり、そこに棲む動物たちもまた神の子であった。

 山を育む人間への恵みは「豊穣の森」であり、人間もまた山を畏れ敬っていた。専門家の話に寄れば、今年は熊の餌である「どんぐり」が不作だという。冬篭りをする動物たちは、秋の内にその空腹を満たし、春が芽吹くまでは光も届かぬ穴の中で越冬しなければならない。

 山に餌がないから仕方なく人里に下りなくてはならず、生きるために必死なのであろう。クマ自身が人間を恐れなくなったという意見もあるが、クマにとって人間が天敵であることに変わりはない。

 ハンターたちの銃で射殺された熊の黒い姿を見ると、戦場で敵兵に撃たれ死んだ兵士のように見えてしまう。

 クマが人間に近づき過ぎたのか、それとも人間がクマに近づき過ぎたのか…あなたはどちらだと思いますか?