わたしが彼に出会ったのは今年の2月、市川真間にある小さなライブハウスだった。春はまだ遠くにいて芽吹く様子すら凍える北風に震えていた。その晩も友人である江戸川レノンさんの歌声を聴きに行った時のこと。
一晩のライブで演奏するミュージシャンは5組ほどであるが、個性溢れる多くのシンガーたちが集いそれぞれのオリジナルからカバーまでを披露する。ピアノやギターの弾き語りが中心だが、シンガーとそれを聴く者の距離感はぐっと近くなる。
これが大きなコンサート会場にはない良さである。以前、赤毛のマディーズを紹介したが彼等の前に登場したのがこの田所せいじさんであった。彼の曲はCDに収められ販売されているので、気に入った方は購入されてみるとよいだろう。アマゾンなどで手軽に手に入る。
さて、田所せいじさんを初めて見た(聴いた)感想であるが、決して大きくな身体に隙間なく密着した小型のレキントギターが彼の歴史を物語っていた。その風貌と見事な顎髭は高田渡と小室等を彷彿とさせるものがあった。
まさにフォークシンガー、このハイボールブルースには二日酔いの情景が男の哀愁とユーモアをまじえて見事に表現されいる。今宵は水割りを飲みながら彼の歌声に耳を傾け、古き良き時代を思い出してみるのもいいだろう。