ダリ回顧展が上野の森美術館で開催されている中、ほぼ同時に渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで催されているスーパーエッシャー展。もうご覧になった人も多いだろう。美術館で本物を見なくとも別の機会に一度は見た事のある有名な作品「滝」と題されたリトグラフ。彼の創造した作品の前に立つと、首を傾げ頭の中は疑問符だらけになるのではないだろうか。トリック或いはだまし絵として紹介されてきたエッシャーの世界であるが、その作品群からはひとつのメッセージが込められているのも確かである。人間の住む世の中は混沌としていてどれ一つとっても確かな物は存在しない。見た目では分からないまさにトリックが仕掛けられており、その巧妙な手口につい騙されてしまうのである。一昨年辺りから流行出した振り込め詐欺、その手口は次々と変化し、被害額は数億円にも上るという。気の毒なのはお年よりがターゲットになる事。騙され易いご老人は疑う事を知らない子どものような優しい素直な心を持っているので、電話一本でころりと騙されるのである。エッシャーの作品と振り込め詐欺を比較するのは多少無理はあるが、エッシャーが我々に送るメッセージは自分の五感を信じろと訴えているのではないだろうか。