熊の気持ちになってみよう。 | プールサイドの人魚姫
熊に襲われる被害が各地で相次いでいる。秋も深まり、冬が足音を立てながら近づく山奥で熊は冬眠の準備に追われ、空っぽの胃袋を満たさなければ冬は越せない。自分のテリトリーを見回しても食べられそうな物は殆ど見つからず、しぶしぶ山を下りるのである。手馴れた獣道は無く、八方塞りの状態で恐々民家の近くまで下りて来ると、実りの秋を迎えた食物たちが至る所に転がって見えた。「やった」と熊は思う。これで冬を安全に越すことが出来ると…。慣れない畑で作物を食い尽くす。とにかく今はこの腹を満腹にする事で熊の頭は一杯だった。そこへ農作業を終えた畑の主が置き忘れた作業服を取りに戻って来た。その瞬間だった…先に驚いたのが熊か人間か分からない。恐怖に怯えた熊は防御本能で人間に襲い掛かる。人間の悲鳴と熊の唸り声で畑は騒然となった。次の日、農家の一団が十数名、猟銃を片手に「熊狩りに行くぞ!」と叫ぶ。山が恐怖に揺れる。山狩りは毎年の事だった。日が暮れる頃一匹の月の輪熊が二人の男に担がれて山を下りて来た。リゾート地で有名な軽井沢、夏ともなれば避暑地で過ごそうと観光客も多く別荘を持つ人もいる。この地で熊に出会うのは珍しくない。どちらかと言えば出会う確立が高い。何故なら此処は元々熊のテリトリーだったからで、そこへ人間が踏み込んだ訳である。動物保護団体がボランティアで熊の捕獲に力を入れてはいるが、大量の食料に有り付ける場所を覚えてしまった熊や他の動物を寄せ付けないようにするには大変難しいと言われる。欲の深い人間は自然の掟を破ってまで自分達のテリトリーを広げているのだろうか?

