昨年の6月、梅雨の走りが青空を覆っていた早朝。職場復帰に向けて心のリハビリを続けていた私は、毎朝近くの公園へ散歩に出掛けていた。ブログの事など考えもしなかった頃である。濃い緑が新しい芽を吹き出し、夏の準備を始めた林の中で子猫の鳴き声が木霊していた。母親の乳房が恋しく、求める親の手元から離されてしまった一匹の寅猫を見つけ出した。怯えるように私の顔を見詰め、鳴き声は一層公園中に響いていた。私以外に人は殆どおらず、通りすがりのおばさんは林の奥深くに隠れている子猫の姿を確認出来ず「誰かが拾ってくれますように」と諦めの言葉を掛けてその場を足早に去って行った。私は子どもの頃から猫や犬が好きであったが、自分で飼った事はなかった。捨て犬を拾って帰った私に父は「元の場所に戻して来い」と飼う事を許してくれなかった。私は泣きながら夜の闇を彷徨いながら子犬を抱きしめていた。子猫を拾い上げ抱きしめる。少し震えながら足の爪が私の腕に食い込んで来る。必死に生きようとしている生後間もない命の温もりを感じながら家に帰った。我が家のアイドルとなった子猫も成長し、逞しい野生の本能を見せてくれる。息子は学校から帰るなりタラコを探して抱きしめる。娘も同様で猫との生活が我が家に新しい笑顔をもたらしてくれたのは確実であった。一番の猫好きは家内。自分の子ども同様にかわいくてしょうがない様子。一番嫌われているのは何故かこの私…。猫は女性になつく生き物だからと最近諦めているが猫の仕草にこれほど癒されるとは思ってもいなかった。