毎日鞄の中にしまっておくのがこのスーツケース。名刺入れと電卓が入ってます。私は像のような巨人ではありません。スーツケースを見ると母を想い出す。階段を降りて行った時、大きなスーツケースを持っていた。私はいつものように歌を唄って見送った。それっきり帰って来なかった母。私が3歳の時である。その面影だけしか母については記憶に残っていない。もし『届かなかった僕の歌』がベストセラーになったら、その印税で私は母の墓を建てようと思っている。韓国にも行き、祖父の故郷をこの足で踏みしめて来ようと思っている。「届かなかった僕の歌」がいつか貴方に届く日が必ず来ると信じている。