刑務所で焼いたパン | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

パン私が子供の頃はコッペパン、ジャムパン、メロンパン位の物だったが、今では様々なパンがあってどれも美味しそうで全部味見して見たくなるほどだ。パン屋さんも工夫を凝らして独自のパンを焼く。そう言えば父が府中の刑務所に服役中、パンを焼く仕事をしていた。パンをどんな風に焼くのか話してくれたものだ。折角パンを焼く技術を身に着けたのだから出所後パン工場にでも勤めればいいものをと思うが世間は冷たい。務所帰りの人間はそうそう仕事にあり付けない。元々仕事嫌いのやくざ者だった父だけに仕事の事は眼中になく毎日酒を浴び飲んだくれていた。パンを見ると時々父の事を思い出すが父のくれた葉書にパンを私に食べさせたいと言う事が書いてあった。結局それは果たせずパンどころか飯もろくに食べさせて貰えなかったが、遠足の時父が作ってくれた大きな丸いオニギリの味は今でも忘れない。どんなご馳走でも愛情がこもっていない料理は旨いとは言えない。見た目だけ綺麗でも作った人の気持ちがやはり一番大事なんだろう。